管理栄養士コラム

食事療法の基本③ 塩分

川崎医療福祉大学 医療技術学部 臨床栄養学科 特任准教授 市川 和子 先生

食事療法の基本③ 塩分

掲載日:2017/05/11

慢性腎臓病(CKD)と塩分の関係

腎臓は体内の水分と電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、リンなど)のバランスを調節しています。腎臓の機能が低下すると、ナトリウム(塩)と水分(尿)の排泄機能も低下するため、食塩を取り過ぎると体内に溜まり、体液量が増加して浮腫(むくみ)や高血圧の原因となります。高血圧は腎臓に過剰な負担をかけ、腎機能低下の進行を早めてしまいます。
そのため、腎臓の機能が低下している人は、主治医や管理栄養士の指導のもと、個々の状態に応じて食塩制限をする必要があります。

浮腫と血圧上昇の機序


☞ 参考:薬剤師コラム「慢性腎臓病の薬物療法:利尿薬
CKD患者さんの食塩摂取量

日本腎臓学会編「慢性腎臓病に対する食事療法基準2014」では、CKD患者さんの1日の食塩摂取量は、CKDのステージに関わらず1日6g未満としており、CKDステージ3以上では、1日3g以上6g未満の遵守が必要であるとしています(*1)
ただし、高齢のCKD患者さんではナトリウムの保持能が低下しているため、低ナトリウム血症の頻度は高ナトリウム血症の頻度よりも高く、低ナトリウム血症では高ナトリウム血症と同様に総死亡のリスクが増加することが報告されていることから(*2)、3g/日未満の過度の食塩制限は推奨されていません。

☞ 参考:基礎知識「慢性腎臓病の食事療法

減塩の工夫

毎日の食事で減塩するには、食塩量の少ない調味料を使って調理したり、食塩が多く含まれる加工食品を取り過ぎないようにするなど、調理の工夫や食べ方の工夫をする必要があります。

調味料に含まれる食塩量の目安
「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」(文部科学省)http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365297.htm
「計量スプーンや計量カップの容量と重さとの関係」(農林水産省)http://www.maff.go.jp/j/fs/diet/table/spoon.html
を加工して作成

調味料に含まれる食塩量の目安
「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」(文部科学省)http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365297.htm
を加工して作成

■調理の工夫
① 減塩調味料の活用
しょうゆやソース、味噌などの減塩調味料を活用しましょう。ただし、減塩であっても使用量が多くなり過ぎないように注意する必要があります。また、減塩調味料の中には、ナトリウムを塩化カリウムに置き換えて塩辛さを出しているものもあるため、CKD患者さんでカリウム制限が必要な場合は、カリウム量を考慮した減塩調味料を選ぶようにしましょう。減塩調味料

② 加工食品はなるべく使わず、新鮮な食材を使って食材の持ち味を生かす
加工食品、インスタント食品、レトルト食品などは一般的に食塩量が多いため、使用する頻度や量に注意しましょう。 旬の新鮮な食材は、塩を使用しなくても食材の持ち味を生かして美味しく召し上がることができます。 加工食品
また、加工食品などの栄養成分表示で、食塩量がナトリウム(㎎)で表示されている場合もあるので、ナトリウムから食塩量を換算する方法も知っておきましょう。

食塩の計算法

③ 料理の味付けは調理後に行う
肉や魚、野菜などに下味をつけたり下茹でをしたりするときには、食塩を含む調味料で味付けをしないようにしましょう。しょうゆやソース、塩などはきちんと量って小皿に入れ、食べる前に料理の表面に味付けしたり、お刺身のようにつけて食べたりするようにしましょう。
また、サラダなどを食べる際には、ドレッシングの代わりに、ビネガー(酢)やオリーブオイルを利用するのもよいでしょう。 あじつけ

④ 酸味を利用する
レモン、酢などを利用して、酸味を生かした調理をしましょう。
酸味

⑤ 香辛料や薬味を利用する
しょうが、にんにく、こしょう、七味、カレー粉、わさび、青じそ、ごまなどの香辛料や薬味を利用しましょう。
香辛料や薬味

⑥ うま味のある食品を使う
しいたけ、こんぶ、かつおだしなどのうま味を利用して調理しましょう。ただし、顆粒和風だしや固形コンソメなどは食塩が含まれているので注意が必要です。
旨味のある食品


■食べ方の工夫
① ラーメン、うどんなどの麺類の汁は全部飲まない!
汁は全部飲まない

② 調味料は「かける」のではなく「つける」か、予め量が決まっている小パックの調味料を使用する
つける

③ 外食時のメニューの選び方に注意する
味付けの注文ができるところは、「薄味にしてください」と依頼しましょう。
丼ものはすでに調味されており食塩量の調整ができないので、調整がしやすい定食ものを選びましょう。サラダなどは、注文時にドレッシングやマヨネーズは別の皿に入れてもらうとよいでしょう。できれば漬物やスープものは控えるとよいでしょう。
外食
☞ こちらも合わせてお読みください:管理栄養士コラム「食事療法の基本① タンパク質」「食事療法の基本② リン

<出典>
*1 日本腎臓学会 慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版
*2 Kovesdy CP, et al. Hyponatremia, hypernatremia, and mortality in patients with chronic kidney disease with and without congestive heart failure. Circulation 2012;125:677‒84.


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