腎移植者インタビュー

3療法(腹膜透析・血液透析・腎移植)
経験者インタビュー
松尾 裕子 さん

3療法(腹膜透析・血液透析・腎移植)
経験者インタビュー
松尾 裕子 さん

3療法<font size="2">(腹膜透析・血液透析・腎移植)</font><br/>経験者インタビュー 松尾裕子さん

腎移植を受けられた方や透析療法を受けている方にお話をお聞きする、腎援隊インタビューシリーズ。今回は、腹膜透析、血液透析、腎移植の3つの治療法を経験された松尾裕子さんのインタビューです。
松尾さんは37歳の時にIgA腎症と診断され、39歳で腹膜透析導入、43歳の時に血液透析に移行し、その4年後に生体腎移植を受けられました。
3つの腎代替療法を経験され、現在は移植後のフォローアップのために名古屋第二赤十字病院(現 日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第二病院)に通院されている松尾さんと、腎移植時から現在まで関わられている後藤憲彦先生に、さまざまなお話をお伺いしました。

☞ 「病院を探そう!」日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第二病院のご紹介ページ

取材日:2018/07/10

目次

※このインタビューは、日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第二病院より候補となる方をご紹介いただき、ご本人様に応諾いただけた方を対象に実施しました。事前にご了承いただけた範囲で関連する情報を開示しております。記事の内容につきましては患者様から伺ったお話をそのまま掲載しておりますが、あくまで個人の経験と主観に基づくご意見・ご感想です。

経緯

Chapter 1: 最初に選んだ腹膜透析

----- まず、腹膜透析導入に至るまでの経緯についてお聞かせください。

松尾さん
子どもの頃に健康診断で腎機能の異常を指摘されたことはありましたが、精密検査の結果に問題はありませんでした。20歳の時に腎盂腎炎になりましたが、通院で治療し完治しました。妊娠・出産した際にも腎機能に異常が出ることはありませんでした。
しかしその後、健康診断で度々腎機能の異常を指摘されるようになり、37歳の時に腎生検を受けたところ、IgA(アイ・ジー・エー)腎症と診断されました。
そして、腎機能はさらに低下していったため、当時通院していた病院の先生と相談して、39歳で腹膜透析導入となりました。

----- どのような理由で腹膜透析を選んだのですか。

松尾さん
選択肢として血液透析か腹膜透析がありましたが、子どもがまだ小学生と中学生で手のかかる年頃だったので、できるだけ時間を取られない治療法を選びたいと先生にお伝えしたところ、腹膜透析を勧めてくださいました。自宅で治療ができるので、血液透析のように週3回透析施設に通院する必要もありませんし、就寝中に透析が行えるAPDにすれば、日中は活動時間を確保できるということでしたので、当時の自分の生活に合っていると思いました。

----- その時は、腎移植は検討しなかったのですか。

松尾さん
当時、献腎移植については知っており、説明会にも参加しましたが、臓器提供を受けるためには10年くらい待つということでしたので、その時は移植希望登録を行っただけでした。生体腎移植という方法があることは知りませんでした。
※ 2021年末時点において、献腎移植の腎提供を受けるまでの待機期間は平均約14年8カ月(小児を含む)(*1)です。

----- 実際に腹膜透析を行ってみて、良いと感じたのはどのような点ですか。

松尾さん

松尾さん
治療にかける時間が比較的少なくて済む点です。基本的には自宅で治療ができるので、育児の時間を確保することができました。
透析液の交換を自分で行う必要はありましたが、その点においても特に苦労はしませんでした。APDを行っていたときは、寝ている間に専用の機械が自動で透析液を交換してくれましたし、その後、CAPDに切り替えて手動で透析液を交換していたときも、それほど大変ではありませんでした。旅行のときも、透析液バッグを製造している会社に依頼して旅行先に郵送してもらい、車の中やホテルの部屋で透析液を交換することができました。

☞ 参考:透析ライフ「腹膜透析の生活パターン

----- 一方で、あまり良くなかったと感じたのはどのような点ですか。

松尾さん
私にとっては十分な治療効果が得られなかった点です。治療法として私の体には合っていなかったようで、老廃物や余分な水分が十分に除去できず、肺に水が溜まったり、むくんで脚が象のようになってしまったりしました。また、CAPDをしていたときは、日中も常にお腹に透析液が入っていたので体が重く感じられました。

----- ご自身の体に合わなかったために、治療法を変更することになったのですか。

松尾さん
はい。私の場合、腹膜自体はまだ透析が行える状態でしたが、十分な透析ができなかったため、血液透析に移行することになりました。
※ 以前は、腹膜透析液の刺激が長時間続くと、腹膜の透析機能が低下したり合併症を起こしたりするため、腹膜透析を長期間継続することは難しいとされていました。現在は、腹膜への刺激が少ない透析液が使われるようになったため、腹膜透析を長期間継続できる患者さんが増えると期待されています(*2)

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☞ 【参考】
腎移植者インタビュー
生体腎ドナーインタビュー
透析患者インタビュー

<出典>
*1 日本臓器移植ネットワーク. NEWS LETTER Vol.26,2022:7
*2 日本腎臓学会 他. 腎不全 治療選択とその実際 2023年版:30


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