腎移植者インタビュー

レシピエントインタビュー
生体腎移植者 高須 武雄 さん

レシピエントインタビュー
生体腎移植者 高須 武雄 さん

レシピエントインタビュー<br/>生体腎移植者 高須武雄さん

腎移植を実際に受けられた方に直接お話をお聞きする、腎援隊「レシピエントインタビュー」の第2回目は、約2年前に義理の弟さんがドナーとなり、生体腎移植を受けた高須武雄さんです。
高須さんは64歳頃から腎機能が低下し、66歳のときには通院先の病院で、「2年後には透析導入となる」と告げられました。しかし、治療の選択肢を求めて受診した他の病院で腎移植医療を知り、義弟さんの温かい申し出によって、透析を受けずに生体腎移植を受けることができました。
生体腎移植後、それまで以上に精力的に仕事をし、充実した毎日を過ごされている高須さんと、主治医である大阪大学医学部附属病院 今村亮一先生にさまざまなお話をお聞きしました。

取材協力:医療法人蒼龍会 井上病院

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取材日:2016/07/14

目次

※このインタビューは、大阪大学医学部附属病院 泌尿器科より候補者をご紹介いただき、ご本人様に応諾頂けた方を対象に実施しました。事前にご了承いただけた範囲で関連する情報を開示しております。記事の内容につきましては患者様から伺ったお話をそのまま掲載しておりますが、あくまで個人の経験と主観に基づくご意見・ご感想です。

移植経緯

Chapter 1: 腎移植という選択肢

-----高須さんは68歳の時に生体腎移植を受けられたとのことですが、いつ頃から腎不全の症状があったのでしょうか。

高須さん
会社の健康診断で腎嚢胞を指摘されたことはありましたが、特に治療の必要はないとのことでしたので、長い間経過観察を続けていました。その後64歳頃に、クレアチニン値が3mg/dLを超えていると指摘を受けましたが、自覚症状はありませんでした。ただその後、腎結石を指摘された際に結石をうまく破砕できず、残った石を取り除く治療を約2年続けるうちに徐々に腎機能が悪化していきました。
そして66歳のときに受診した総合病院で、「2年後には間違いなく透析導入になると思いますので、早めにシャントを作っておきましょう」と言われてしまいました。ただ、その時点でも自覚症状は無く、心構えもできていませんでしたので、とても驚きました。

-----その後、シャント手術を受けたのですか。

高須さん
当時、透析治療について詳しかったわけではありませんが、週に3日、治療のために長時間拘束されることは知っていましたので、透析はどうしても受けたくないと思っていました。そのため妻と相談し、別の腎臓専門の病院を受診したところ、「もしドナーとなっていただける方がいらっしゃるなら、腎移植も考えてみたらどうですか?」と言われ、大阪大学医学部附属病院(阪大病院)を紹介していただきました。最初に受診した病院では治療の選択肢が透析しかありませんでしたので、腎移植など考えてもいなかったのですが、1つの選択肢として考えてみようということになりました。

-----腎移植という選択肢があることを知り、どのように情報収集されましたか。

高須さん
インターネットでさまざまな情報を調べました。しかし、腎移植はドナーとなっていただける方がいらっしゃらないと成り立たない医療ですので、自分の中では、「このまま腎機能が悪化すれば、いずれは透析を受けるしかない」と考えていました。半年近くいろいろなことで悩みましたが、最終的には妻が「私がドナーになる」と言ってくれていたところに、妻の弟がドナーになることを申し出てくれたのです。まさか義弟からそのような話があるとは考えてもいなかったので、大変驚きました。義弟は、まず私の子ども2人に、「何も心配するな、私がドナーになるから」と話をしてくれ、その後私たち夫婦に自分がドナーになると申し出てくれました。

-----義弟さんにドナーになってもらうことに関しては、すぐには結論が出せなかったのではないでしょうか。

高須さん
そうですね。3カ月くらい悩み、話し合いを重ねました。義弟は自分がドナーになるのが一番いいのではないかと考え、一生懸命調べてくれたようで、「術前の検査で問題がなければ、生体腎ドナーになっても大丈夫だと分かり、決心した」と自分から言ってきてくれました。「本当にいいのか?」と何度も確認したのですが、決心は変わらないということでしたので、その気持ちをありがたく受け止め、一緒に阪大病院を受診しました。
義弟には本当に感謝の気持ちで一杯です。私の子どもたちも、自分の父親を助けてくれた叔父にとても感謝しています。

-----今村先生、生体腎移植を希望して受診した場合でも、必ずしも移植を受けられるわけではないと思うのですが。

今村先生
そうですね。患者さんが腎移植を受けたいと切望し受診されても、こちらからお断りすることもあります。生体腎移植を行う上で一番大事なのは、「ドナーが腎提供後も腎不全にならない」ということです。その最低条件をクリアできない限り、移植に向けて話を進めることはできません。高須さんの場合は、義弟さんが十分な腎機能をもっていることが分かりました。さらに悪性疾患や感染症の有無に関し入念に検査をし、問題ないことが確認できましたので移植を受けていただくことができました。

-----高須さんは他院からの紹介があって阪大病院を受診されましたが、腎移植について相談したい場合は、どこに連絡すればよいのでしょうか。

今村先生
当院の場合は、「腎移植相談ホットライン」という電話窓口(06-6879-3746)を設けておりますので、そこに電話してもらうか、紹介状をお持ちの場合は阪大病院泌尿器科の腎移植外来(月曜日または木曜日午後)を受診していただければと思います。

-----初めて阪大病院を受診してから、実際の移植手術まではどのくらいの期間がありましたか。

高須さん
約1年かけていろいろな検査を受けました。義弟も1年の間、仕事を休んだりしながら検査や治療を受けてくれましたので、本当に大変だったと思います。

-----阪大病院では、ドナーの術前検査はどのような流れで行われるのでしょうか。

今村先生
検査の流れとしては、まずレシピエントとドナーの適合性をみる検査と、ドナーの腎機能を確認するためのイヌリンクリアランス検査を行います。問題がない場合は、悪性疾患や感染症等の合併症を精査するため、全身の画像検査等を行います。腎移植の意思確認目的に精神科受診を行っていただく等、さまざまな検査を行った上で手術となります。

-----検査に必要な期間はどのくらいでしょうか。

今村先生
検査の結果に大きな問題点がなければ3カ月くらいです。

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☞ 【参考】
腎移植者インタビュー
生体腎ドナーインタビュー
透析患者インタビュー

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