透析患者さんに起きやすい合併症

透析療法を続けていると、さまざまな合併症が起こることがあります。透析患者さんに起きやすい合併症について説明します。

透析患者さんの合併症④:透析療法に伴う合併症

監修:JCHO仙台病院 腎センター内科 臨床工学部長 木村 朋由 先生

透析療法(血液透析腹膜透析)は、体に溜まった余分な水分や塩分、老廃物を腎臓の代わりに取り除く治療法ですが、腎臓とは異なる方法でその役割を果たしています。また、血液透析であれば腕にシャント血管を作る必要がありますし、腹膜透析であればカテーテルという管をお腹に埋め込む必要があります。このような透析療法の特性が原因となって合併症が起こる場合もあります。

血液透析に伴う合併症

不均衡症候群
透析中や透析終了後数時間のうちに見られる、頭痛、吐き気、だるさ、手足の痙攣(けいれん)などのさまざまな症状のことです。

頭痛、だるさ

<原因>
透析を行うと、血液中の老廃物が急激に除去されるため、血液中の老廃物の濃度よりも、細胞内の老廃物の濃度が高くなります。すると、「浸透」という自然現象により、細胞内の老廃物の濃度を薄めるように、血液中の水分が細胞内に移動します。その結果、水分が入り込んだ細胞(特に脳細胞)はむくみ、体を流れる血液量は減少します。これらのことが、上記のような症状を引き起こすと考えられています。

不均衡症候群の原因

<対策>
除去する老廃物が体に溜まり過ぎないように、食事制限をしっかりと守ります。また、透析時間を長くしたり、透析回数を増やしたりして、老廃物の除去を緩やかにすることで発症が抑えられる場合もあります。 なお、体が透析に慣れれば、一般的には不均衡症候群は起こりにくくなります。
食事

低血圧
透析中に低血圧を起こしたり、透析終了後、立ち上がったときに低血圧を起こしたり(起立性低血圧)する場合があります。低血圧を起こすと、吐き気、頭痛、めまい などの症状がみられます。また、前述の不均衡症候群の1つともされています。
吐き気、めまい

<原因>
透析で血液中の余分な水分を除去することにより、体を流れる血液量が急激に減ってしまうことが原因とされています。血液量の減少に合わせて血管が収縮する能力の低下や、血液を体に送り出す心臓の機能不全も原因となります。

<対策>
余分な水分が体に溜まり過ぎないように、水分・塩分の制限を守ります。ドライウェイト※の再設定が必要になる場合もあります。長時間透析血液濾過透析も有効とされています。
※ドライウェイト:血液透析後の適正体重(余分な体の中の水分を取り除いたときの体重で、透析後の目標体重となる)

水分、塩分


こむらがえり
透析中(主に透析後半)に、足がこむらがえりを起こす(足がつる)ことがあります。腕やお腹、胸などの筋肉がこむらがえりを起こす場合もあります。前述の不均衡症候群の1つともされています。

こむらがえり

<原因>
除去する水分の量が多すぎること、除去する速度が速すぎること、血圧低下などが原因と考えられています。

<対策>
低血圧の対策同様に、水分・塩分の制限を守ること、必要に応じたドライウェイトの再設定が有効とされています。また、血液中のナトリウムやカルシウム、マグネシウムなどが不足している場合は、それらを補充します。

シャント血管の感染症

☞ 透析患者さんの合併症③:感染症「シャント血管の感染症」参照

シャント血管の狭窄・閉塞
シャント血管が狭くなったり(狭窄)、詰まったり(閉塞)する場合があり、シャントの再作製が必要になることもあります。

<原因>
原因はさまざまですが、シャント部位を圧迫すると、血流が悪くなって血の塊(血栓)ができ、シャント血管が詰まってしまう場合があります。また、シャント血管の感染症が治った後に、血管が狭くなってしまうこともあります。

シャント閉塞の原因

<対策>
まず、シャントを圧迫しないように日ごろから注意することが大切です。シャントがある方の腕(シャント肢)を腕枕にしたり、シャント肢で重いものを持ったり、シャント部位に衝撃を与えたりしないように心がけます。シャントの状態をこまめにチェックすることも重要です。シャント部位を触って拍動を確認したり、耳に近づけて音を聞いたりして、異常があれば速やかに透析施設に連絡します。
また、シャント血管が感染症を起こさないように注意する必要もあります。

シャントトラブル予防

腹膜透析に伴う合併症

腹膜炎、カテーテル関連感染症

☞ 透析患者さんの合併症③:感染症「腹膜炎、カテーテル関連感染症」参照

被嚢性腹膜硬化症(ひのうせいふくまくこうかしょう:EPS)
腹膜全体が厚くなり、腸が動かなくなる重い合併症です。進行すると、腸閉塞を起こすこともあります。症状としては嘔吐、腹痛などがあり、進行している場合は、腹膜透析を続けることができなくなります。

腹痛

<原因>
腹膜透析を長期間行うことで腹腔内に入れた透析液が腹膜を劣化させることが主な原因とされています。腹膜炎が原因となる場合もあります。
ただし、近年は透析液が進歩したため、以前に比べると被嚢性腹膜硬化症を発症するリスクは低くなったと考えられています(*)

<対策>
腹膜機能検査を受けて腹膜の状態を定期的に確認することが大切です。腹膜炎を起こさないようにすることも重要です。

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☞【参考】
腎移植・腹膜透析・血液透析...どうやって治療法を選ぶ?「腎代替療法 私の選び方
動画体験シリーズ「血液透析

<出典>
* Nakayama M, Miyazaki M, et al. Encapsulating peritoneal sclerosis in the era of a multi-disciplinary approach based on biocompatible solutions: the NEXT-PD study. Perit Dial Int 2014;34:766-774


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