慢性腎臓病の原因疾患

慢性腎臓病の原疾患(原因疾患)にはさまざまなものがあります。

C3腎症

監修:大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学 教授 猪阪 善隆 先生

近年新しく分類された病気

慢性腎臓病の原因疾患の1つに、慢性糸球体腎炎があります。慢性糸球体腎炎にはいくつかのタイプがあり、その中に膜性増殖性糸球体腎炎があります。近年、研究が進み、膜性増殖性糸球体腎炎のうち、C3という「補体」が特に関係しているものを、C3(シー・スリー)腎症と呼ぶようになりました。

原因疾患


<補体とは>
私たちの体には、侵入した異物を排除する「免疫」という防御システムが備わっています。免疫において重要な役割を果たすものには抗体がありますが、補体も同様に、免疫の一部を担っています。補体には、C3やC5、C9などの種類があり、体内に細菌などの異物が侵入すると、それらが連鎖するように活性化していき、最終的にそれらが結合した複合体が異物を攻撃します。

補体

膜性増殖性糸球体腎炎では、腎臓の糸球体に抗体や補体の沈着がみられますが、C3腎症は、そのほとんどがC3であることが特徴です。

C3腎症

少しずつわかってきた発症メカニズム

C3腎症は、根本的な原因がよくわかっていません。また、抗体が糸球体に沈着しないのに、なぜC3が糸球体に沈着するのか、どのように糸球体を障害するのかも、はっきりとはわかっていません。

ただし、補体の活性を抑える機能に異常があることがわかっています。補体は体内に侵入した異物を排除するように活性化しますが、異物がないときなどは、必要以上に活性化しないようにそれを抑える機能が備わっています。しかし、C3腎症の場合、この機能に異常があり、異物がないときでも抑えが効かず、補体が必要以上に活性化しています。このことが、病気の発症に関係していると考えられています。

機序

小児でも発症する難病

C3腎症は新しく分類された病気であり、患者数にかかわる十分な調査結果はまだありませんが、まれな病気であり、また、小児でも発症することがわかっています。
C3腎症を含む膜性増殖性糸球体腎炎は、50%以上の患者さんで、経過中にネフローゼ症候群を伴うとされています(*)。ネフローゼ症候群になると、脚や顔などにむくみが現れたり、血液中の悪玉コレステロールが増えたり、血液が固まりやすくなったりします。

むくみ

また、ネフローゼ症候群を伴う膜性増殖性糸球体腎炎の場合、診断後10年で約60%の患者さんが末期腎不全に至るとされています(*)

膜性増殖性糸球体腎炎は、原因や発症メカニズムが明らかになっていないことや、患者数が少ないことなどから、国が定める難病の1つとされています。指定された条件を満たしている場合、医療費の助成を受けることができます。

※ 一次性膜性増殖性糸球体腎炎(原因となる病気がなく発症する膜性増殖性糸球体腎炎)を難病として定めています。

☞ 参考:慢性腎臓病の基礎知識「慢性腎臓病にかかわる医療費助成制度について

主な治療法

C3腎症は完治させることが難しいため、基本的には、飲み薬などによる薬物療法や食事療法を継続することが必要になります。
食事療法では、腎臓の負担を軽減するため、ネフローゼ症候群や腎機能障害の程度に応じて、塩分・タンパク質の摂取制限を行います。

食事療法


C3腎症は、近年新しく分類された病気のため、十分に治療法が確立しているわけではありません。しかし、前述のように発症のメカニズムが少しずつ分かってきており、より適切な新しい治療法の開発が期待されています。

※ 治療は必ず主治医の指示のもとに行い、必要に応じて主治医に相談しましょう。

<出典>
* 矢崎義雄(編)内科学 第11版 朝倉書店


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