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C3腎症…どうなるのだろう、この先は そんなあなたの不安に寄り添いたい

困難に一人で立ち向かう必要はありません。

本サイトでは、C3腎症の患者さんがC3腎症とともに生き、語り合えるように、
C3腎症に関する情報や対処法を紹介しています。

C3腎症は非常に稀な腎臓病です。

2020年の報告によると、C3腎症の世界の有病率は100万人あたりわずか1~2人だと推定されています1)
普段聞きなれない希少疾患を慢性疾患として抱えながら生活することは、困難を伴うことが多いかもしれません。
腎臓の状態とC3腎症が起こる原因について理解を深めることは、医師とのコミュニケーションに役立つでしょう。

C3腎症を抱える患者さんには、さまざまな苦悩があります。本サイトではC3腎症に関連する情報をまとめています。

C3腎症の根本的な原因と人々の健康に及ぼす影響について理解しましょう。

C3:病原微生物などからからだを守る免疫の一種に、補体という一連のたんぱく質が連動して働くしくみがあります。C3は、これらの補体たんぱく質のひとつです。

C3腎症について詳しく学ぶ

原因と症状|C3腎症とは?

C3腎症は非常に稀な進行性の慢性腎臓病で、免疫が自身の腎臓に障害を与えてしまう自己免疫疾患です。

  • C3腎症は非常に稀な疾患です。
  • C3腎症は、大半の患者さんで一生続く慢性疾患であり、治療をせずに放っておくと進行していく可能性があります。
  • C3腎症自体について、そして腎臓を守るためにできることをよく理解することで、自信を持って医師と有意義なコミュニケーションを行うことができます。

C3腎症では何が起きていますか?

補体は病原微生物などからからだを守る免疫の一種です。

  • 補体は、複数のたんぱく質が連動して感染症の原因となりうる病原微生物などを特定し、除去しています。
  • C3はこれらの補体たんぱく質のひとつです。

C3腎症ではどのようにして腎臓が障害されていますか?

C3腎症の患者さんでは、補体が過剰に働いています。

  • 補体が過剰に働くことで、腎臓の糸球体にC3たんぱく質が蓄積して炎症を引き起こし、腎臓に障害を与え、腎臓による血液のろ過を妨げます。
  • 腎臓の障害は時間が経つにつれて進行し、腎機能が低下していきます。

C3腎症患者さんは腎臓で障害が起こっています。

C3腎症の診断を確定するためには腎生検が必要です。

腎臓の障害が進行すると、正常に働かなくなることがあります。

C3腎症はどれぐらい稀なのでしょうか?

C3腎症はとても珍しい病気です

世界的に、C3腎症を新たに発症する人は毎年100万人あたり1~2人と推定されています1)

C3腎症の徴候や症状は?

C3腎症の徴候や症状は患者さんによって大きく異なります。

初期では、病気の徴候や症状が出ない場合があります。腎臓の機能が低下することで、ご自身では気づかない、あるいは気にならない程度で以下のような徴候や症状がみられることもあります。

だるさ2)

腎臓病では赤血球数が低下する可能性があり(貧血)、これにより体がだるく感じる可能性があります。

高血圧3,4)

腎臓が正常に機能していない場合、体液が溜まって動脈内で血圧が上昇している可能性があります。

上気道感染などの感染症4)

C3腎症は、免疫システムが正常に機能しないことで起こるため、上気道感染などの感染症にかかりやすくなったりする可能性があります。

C3腎症が進行して腎機能が悪化すると、潜在的な徴候や症状が目立つようになり、受診が必要になる可能性が高まります。主な徴候や症状として以下のようなものが挙げられます。

手足のむくみ
(浮腫)2)

腎臓がうまく機能しないと、体液が溜まり、足や手、足首、目の周りが腫れることがあります。

尿中の血液
(血尿)3,4)

C3腎症では腎臓にある小さなろ過ユニット(糸球体)に障害が起こり、赤血球が尿中に漏れることで、尿がピンク、赤、あるいは茶色に変化します。

たんぱく尿3,4)

たんぱく尿とは、尿中のたんぱく質が正常値よりも増えた状態を示します。尿が黒ずんだり、濁ったり、泡状になったりします。

ご自身で自覚のあった全ての症状や徴候について、主治医と話し合いましょう。

普段と比べて疲れを感じますか?体調を崩しやすくなっていませんか?足がむくんでいませんか?

これらの症状がひとつ又は複数ある場合は、C3腎症が悪化している可能性があります。疾患の徴候を知り、医師に相談しましょう。

こちらもご覧ください「2分でわかるC3腎症」

C3腎症動画サムネ
C3腎症動画サムネ

C3腎症の確定診断は健康状態を長期的に管理するために重要です。

C3:病原微生物などからからだを守る免疫の一種に、補体という一連のたんぱく質が連動して働くしくみがあります。C3は、これらの補体たんぱく質のひとつです。

診断と検査|C3腎症の診療にかかわる検査

  • C3腎症の確定診断のためには腎生検が必要です。
  • 腎生検では、詳細な検査のために腎臓から少量の組織を採取し、組織内に過剰なC3たんぱく質が蓄積していないかを調べます。
  • 腎生検の結果は、あなたにとって適切な治療を決定するために必要です。

C3腎症が疑われる場合、腎生検を受ける前に尿検査と血液検査などを行い、腎臓の状態を把握して、他の疾患の可能性を排除します。

腎臓病にはさまざまな種類/タイプがあるため、主治医は最初にいくつかの検査を実施して、腎臓の状態をより詳しく把握して、他の可能性を除外することが重要です。

腎生検を行う前に、尿検査および血液検査を行い、腎臓がどの程度働いているかを調べます。検査結果からC3腎症の可能性が疑われる場合、腎生検を行います。

尿検査

尿検査では、尿に含まれるたんぱく質などのさまざまな成分を検査します。

血液検査

血液検査でわかる糸球体ろ過率(GFR)は、腎臓がどの程度老廃物や不要な水分を血液から排除できているかを示す指標になります。

尿検査と血液検査の結果に基づいて、薬による治療が必要かどうかが検討されます。

C3腎症で起こる腎臓の障害が進行すると元には戻らないため、尿たんぱくやGFRを測定して、管理していくことが重要です。

尿たんぱく値の増加
通常、健康な尿における平均的なたんぱく質量は、1日あたり150mg未満です5)。尿中のたんぱく質量が基準値よりも増えている状態をたんぱく尿と呼び、腎臓で障害が起こっている可能性を示します。
GFR値の低下

GFRが90mL/分/1.73m2を下回っている場合、腎臓が正常に機能していない可能性があります。健康な腎臓のGFRは90mL/分/1.73m2以上です5)

C3腎症では、尿たんぱく値とGFR値を常に把握して、値の変化をみながら腎臓の状態を把握することが重要です。血液検査や尿検査は腎臓病の有無や病期を判断するのに役立ちますが、これらの検査でC3腎症の確定診断をすることはできません。C3腎症の診断を確定する唯一の方法は腎生検です。

C3腎症に対するさまざまな治療や支持療法について学びましょう。

C3:病原微生物などからからだを守る免疫の一種に、補体という一連のたんぱく質が連動して働くしくみがあります。C3は、これらの補体たんぱく質のひとつです。

治療|C3腎症の治療

C3腎症の薬物療法には、免疫抑制療法(糸球体の炎症を抑える方法)や支持療法(腎臓の負担を軽減する方法)があります。
治療には、飲み薬の他に、点滴などの注射薬が用いられる場合もあります。

免疫抑制療法(糸球体の炎症を抑える方法)
免疫システムの異常によって糸球体に蓄積した補体(C3)が炎症を起こしているため、過剰な免疫を抑制したり、炎症を抑えたりすることを目的とした治療が行われます4)
炎症の抑制
炎症の抑制
支持療法(腎臓の負担を軽減する方法)
腎機能が低下すると、体に余分な水分が溜まり、血液量が増えて、高血圧を生じやすくなります。しかも、高血圧は腎臓に負担を与えるため、悪循環が生じます。この悪循環を止め、腎臓にかかっている負担を小さくするために、血圧を下げる薬剤が用いられます6)
高血圧と腎機能低下
高血圧と腎機能低下
治療薬
治療薬
※ノバルティスの薬で治療を受けている患者さんとご家族の方は、こちらをご覧ください。
医療機関で処方されたお薬情報(患者さん向け):C3腎症
体調を改善し維持させるために、生活習慣の見直しを求められる場合があります。
  • 定期的なエクササイズと体重管理

  • 禁煙

  • アルコール摂取制限

C3腎症による症状を感じていない場合でも、処方された薬を自己判断で中止するべきではありません。主治医の指示に従って正しく服用することはとても重要です。薬の副作用と思われる症状がみられた場合は主治医に相談しましょう。副作用を軽減するために、薬の用量が変更されたり、別の薬を提案されたり、追加の薬が処方されたりすることがあります。

C3腎症の管理では、病気の進行を遅らせて腎臓がこれ以上障害されることを防ぐことが重要です。

ご自身に必要な治療を決めるために、治療に関する最新情報や不安に思っていることなどを、主治医に聞いてみましょう。

C3:病原微生物などからからだを守る免疫の一種に、補体という一連のたんぱく質が連動して働くしくみがあります。C3は、これらの補体たんぱく質のひとつです。

腎障害の進行|C3腎症では、整った生活習慣の下での体調管理と定期的な経過観察が重要なのはなぜですか?

C3腎症により生じる腎臓の障害が進行すると元には戻りません。
病気の進行速度も人によって違うので、定期的な経過観察が必要です。

C3腎症とともに生きていく上で、非常に重要な2つの目標:
  • 病気の進行を遅らせること

  • これ以上の腎臓の障害を避けること

  • これらの目標達成のためには、自己判断で中断・中止することなく、主治医の指示に従ってきちんと治療を続けていくことが重要です。
  • 血液検査や尿検査、血圧などの結果を記録し、検査値の推移と体調管理の状況について、主治医と話すようにしましょう。
  • これらの目標に向かって治療を続けることで、将来、透析や腎臓移植が必要となる状況を回避し、生活の質の向上につながる可能性があります。

C3腎症が進行したらどうなりますか?

C3腎症は腎臓の正常な機能を妨げます。

腎臓が過度に障害を受けると、血液を適切にろ過できなくなり、健康不良につながる可能性があります。 C3腎症を含む一次性膜性増殖性糸球体腎炎では、無治療の場合は、10〜15年で50〜60%が末期腎不全(まっきじんふぜん)に至るといわれています7)。末期腎不全へと進行した際は、透析や腎臓移植など、腎代替療法(じんだいたいりょうほう)と呼ばれる治療が必要となります。


※明らかな原因疾患がないものを一次性、膠原病や感染症などに続発するものを二次性と呼び、区別されています。



病気の進行と治療の目安
病気の進行と治療の目安
(イメージ図)
NPO法人 腎臓サポート協会 腎不全とその治療法より改変
透析は腎不全に対する治療です8)
C3腎症によって腎臓が修復不能な障害を受け、腎臓の本来の機能が失われると腎不全と診断され、透析が行われます。透析では、血液を機械に通して洗浄します。週に数回程度この処置を行うことで、血液から老廃物や余分な水分を除去します。
腎臓移植が必要となる場合もあります 。
腎臓移植は、正常に機能しなくなった腎臓をドナーの健康な腎臓に置き換えるために行われる手術です。ただし、C3腎症の原因となる補体C3たんぱく質は主に肝臓で産生されるため、腎移植による効果は一時的である可能性があります9)

C3腎症の診断から1年が経過した時点で尿たんぱく量が少ない患者さんは、腎不全になるリスクも低いという研究結果もあります10)
腎臓の障害が進行すると元には戻らないため、定期的に尿たんぱくやeGFRを確認しながら病状を管理していくことが重要です。


※eGFR(estimated Glomerular Filtration Rate:推算糸球体ろ過量):血清クレアチニン値と年齢・性別を用いて算出する腎機能の指標


腎臓の状態とC3腎症が起こる原因について理解を深めることは、医師とのコミュニケーションに役立つでしょう。

C3:病原微生物などからからだを守る免疫の一種に、補体という一連のたんぱく質が連動して働くしくみがあります。C3は、これらの補体たんぱく質のひとつです。

C3腎症に関連する研究

C3腎症は補体の制御異常によって引き起こされる希少な腎臓の病気です。補体については古くから研究が行われてきましたが、補体のはたらきの異常が引き起こす疾患の存在は1980年ころから知られていました。
膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)は腎臓で「ふるい」のようなはたらきをする糸球体の膜が厚くなることで腎機能が低下する病気です。MPGNを引き起こす様々な要因について研究が進められてきた結果、MPGNの中に、C3たんぱく質が糸球体に沈着するタイプがあることが報告されました。このタイプが後にC3腎症という疾患として新たに定義されるようになったのは、2012年でした。
C3腎症という病気は、まだ発見されてから10年ほどの新しい病気ですが、糸球体を炎症させてしまう補体のはたらきに焦点を当てた研究が日々行われています。



補体研究の歴史・C3腎症の疾患概念の変遷の図
補体研究の歴史・C3腎症の疾患概念の変遷の図

腎臓の状態について学ぶ

C3腎症は非常に稀な進行性の慢性腎臓病です。

腎臓病とは、腎臓が障害されている状態です。
  • 腎臓が障害されると、正常に血液をろ過できなくなることで、有害な老廃物が体内に溜まります。
  • 時間の経過とともに進行する腎臓病を慢性腎臓病と呼びます。
正常な腎臓は血液をろ過して老廃物や毒素、余分な水分を体内から除去します。
腎臓が老廃物をろ過する図
  • 腎臓は血液から老廃物や余分な水分を除去し、尿に変えます。
  • 腎臓では血圧調節や赤血球生成が行われ、強い骨の維持を助けるホルモンが分泌されています。

C3腎症が疑われる場合、腎生検を受ける前に尿検査と血液検査などを行い、腎臓の状態を把握して、他の疾患の可能性を排除します。

腎臓病にはさまざまな種類/タイプがあるため、主治医は最初にいくつかの検査を実施して、腎臓の状態をより詳しく把握して、他の可能性を除外することが重要です。

腎生検を行う前に、尿検査および血液検査を行い、腎臓がどの程度働いているかを調べます。検査結果からC3腎症の可能性が疑われる場合、腎生検を行います。

尿検査

腎臓病は感染症や腎臓の障害、糖尿病、高血圧、遺伝などによって引き起こされます。原因不明の場合もあります。

血液検査

免疫システムが正常に機能せず、自身の臓器を攻撃して病気を引き起こすことがあります。こうした病気を自己免疫疾患と呼びます。

C3腎症は自己免疫疾患です9)

  • 健康な人では、免疫システムの働きにより、感染症を引き起こす病原体などからからだが守られています。
  • しかし、免疫システムが過剰に働くようになると、自身の臓器を誤って攻撃し、損傷を与えてしまいます。

役立つ情報を探す

日常的に経験している困難を理解できる人が周囲にほとんどいない場合、C3腎症とともに生きることは困難を伴う可能性があります。

不安、混乱、恐怖などといったさまざまな気持ちに落ち込むかもしれませんが、それは当然のことです。

以下の情報が役立つ場合があります。(家族と考える慢性腎臓病サイト~腎援隊(じんえんたい)コンテンツへ遷移します)

C3:病原微生物などからからだを守る免疫の一種に、補体という一連のたんぱく質が連動して働くしくみがあります。C3は、これらの補体たんぱく質のひとつです。
Schena F, et al., Int J Mol Sci. 2020; 21(2): 525. 日本腎臓学会. 腎臓の病気について調べる. 3.腎臓がわるくなったときの症状
https://jsn.or.jp/general/kidneydisease/symptoms03.php (2025年4月閲覧)
Mehdi A, et al., Cleve Clin J Med. 2023; 90 (6 suppl 1): e1-e4. Smith RJH, et al., Nat Rev Nephrol. 2019; 15(3): 129-143. 日本腎臓学会編. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン. 2023 P3-4. 日本腎臓学会編. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン. 2023 P21-22. 難病情報センター 一次性膜性増殖性糸球体腎炎(指定難病223)
https://www.nanbyou.or.jp/entry/4424 (2025年9月閲覧)
日本腎臓学会. 腎不全 治療選択とその実際
https://jsn.or.jp/jsn_new/iryou/kaiin/free/primers/pdf/2021allpage.pdf (2025年4月閲覧)
Heiderscheit AK, et al. Am J Med Genet C Semin Med Genet. 2022; 190(3): 344-357. Masoud S, et al., Kidney Int. 2025; 108: 455–469. Wong EKS, et al., Semin Immunopathol. 2018; 40(1): 49-64.

C3腎症とともに生きる日常は
簡単なものではありません。

独りで悩みを抱え込む必要はありません。
主治医に自分の気持ちを話し、周囲の人とのつながりを大切にして
自分の体験を共有することで、自分が支えられていることを感じられます。

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