ドクターインタビュー

進歩し続ける慢性腎臓病治療

筑波大学医学医療系臨床医学域腎臓内科学 教授
山縣 邦弘 先生

進歩し続ける慢性腎臓病治療

筑波大学医学医療系臨床医学域腎臓内科学 教授
山縣 邦弘 先生

山縣先生

目次

Chapter 3:近年の慢性腎臓病治療の進歩と今後の展望

次々と新しいお薬が登場。病気の完治を目指す研究も

----- 慢性腎臓病の治療法には、近年どのような進歩がありましたか。

慢性腎臓病の薬物療法は、近年目覚ましい進歩を遂げています。まず、血圧のお薬であるRAS阻害薬が、腎臓を保護する作用を持つことが分かり、慢性腎臓病治療の支持療法として一般的に用いられるようになりました。
また、最近では、SGLT2阻害薬などの腎機能の低下を抑える新しいお薬もいくつか登場しています。今後、長期的に服用したときの治療成績(予後)を検証していく必要がありますが、患者さんの予後を改善する可能性を持つお薬として期待されています。

----- 新しいお薬が出ると、患者さんの方から「自分にも処方してほしい」と言われることは多いですか。

そうですね。ただ、患者さんにしっかり理解していただきたいのは、どのようなお薬にも副作用が起こる可能性があるということです。また、患者さんの状態によっては、十分な効果が得られなかったり、むしろ病状を悪化させたりする場合もあります。主治医の指示に従い、注意点を守って正しく服用していただきたいと思います。

----- 新しいお薬の誕生は、患者さんにとって嬉しいニュースですね。

慢性糸球体腎炎の治療薬においては、さらなる進歩が期待されています。現在は、ステロイド薬などのお薬が主に用いられていますが、さまざまな副作用の問題で使用量が限定され、十分な効果が得られない場合もあります。しかし、病気のメカニズムが少しずつ解明されており、直接的に発症を抑えるお薬の開発が現在多数進められています。向こう10年くらいで治療が大きく変わる可能性があり、医療者も期待に胸を膨らませています。

----- より根本的に病気を治療する研究も進んでいるのですね。

そうですね。難治性ネフローゼ症候群などの指定難病については、遺伝子レベルの研究も進んでいます。病気を発症する遺伝子を突き止めることができれば、近い将来、病気の進行を抑えるだけでなく、完全に治すことも可能になるかもしれません。その日のためにも、患者さんには慢性腎臓病が進行しないように現在の治療をしっかりと続けていただきたいと思います。

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