透析ライフ

腹膜透析の生活パターン ~よりよい透析生活のために③~

東海大学医学部付属八王子病院 教授 角田 隆俊 先生

腹膜透析の生活パターン ~よりよい透析生活のために③~

掲載日:2017/02/10

腹膜透析の生活パターン ~よりよい透析生活のために③~

腹膜透析は、お腹の中にある腹膜の機能を利用して血液をろ過する方法です。腹膜とは、腹壁と胃や腸などの内臓を覆う薄い生体膜のことで、お腹の中と外をつなぐ専用の管(カテーテル)から透析液を注入し、一定時間入れたままにすると、腹膜の細い血管を介して、老廃物や余分な水分が徐々に透析液へ移動します。一定時間経過後に、この透析液を体の外に排出し、新しいものと交換することで、血液をきれいにしますが浄化されます。

腹膜透析の仕組み

腹膜透析は、透析液を1日4回程度交換することで24時間持続的に緩やかな透析が行えるため、比較的体への負担が少ないことが特長です。そのため、残腎機能が保たれやすく、血液透析に比べると水分やカリウムの制限も緩やかです。
また、一般的な血液透析では週3回透析施設に通院するのに対し、腹膜透析では通院が月1〜2回程度で済むため、社会復帰がしやすいという利点もあります。

PDの月間生活パターン

一方で、基本的には自分自身で透析液の交換を行う治療で、透析液バッグの交換時やカテーテル出口部の感染に注意が必要です。また、腹膜の機能に寿命があることや、お腹からカテーテルが出ていることで見た目が問題になることもあります。

感染対策&カテーテル出口部

■透析液バッグの交換の流れ
透析液バッグの交換は、以下のような手順で行います。

透析液バッグの交換操作

透析液の交換に要する時間は30分程度です。腹腔内から出した廃液はトイレに流して処理します。
清潔な場所が確保できれば、会社の会議室や車の中などでも透析液の交換を行うことができます。

■腹膜透析の1日の生活パターン

CAPDの1日の生活パターン

夜間寝ている間に、機械を用いて自動で透析液を交換する自動腹膜透析(APD)という方法もあります。

APDの1日の生活パターン

夜間の自動腹膜透析だけで治療可能な場合は、日中は透析液バッグの交換を行わずに過ごすことができます。もし残腎機能が低下してAPDだけでは十分な透析が行えなくなった場合などは、日中に手動での透析液を交換する方法を加えることもできます。
2015年末時点の調査によると、腹膜透析患者さんの半数近くがAPDを使用しています(*1)

■血液透析との併用パターン
残腎機能や腹膜の機能が低下して、腹膜透析だけでは十分に老廃物や余分な水分を除去できなくなった場合などは、血液透析を併用することもできます。例えば、基本的に毎日腹膜透析を行い、週1日のみ透析施設で血液透析を行う、というパターンもあります。

PD+HDの生活パターン

2015年末時点の調査によると、腹膜透析患者さんの2割程度が腹膜透析と血液透析を併用しています(*2)

アシステッドPD

■高齢者の腹膜透析の支援(アシステッドPD)
腹膜透析は、比較的体への負担が少ない透析方法であるため、高齢者にも向いているとされています。近年では、訪問看護師やヘルパーなどが、透析液バッグの交換などの自己管理が難しい高齢患者さんの腹膜透析を支援するケアシステム(アシステッドPD)も注目されており、体制整備が進められている地域もあります。

透析液バッグ

■透析液バッグの管理
透析液バッグは、医師の処方に基づいて透析液メーカーが自宅に宅配してくれるのが一般的です。処方量にもよりますが、1か月分の透析液の量は35cm×25cm×25cmのダンボールが30箱ほどで、月1回、もしくは2回にわけて届けられます。
透析液バッグは、通常は2Lのものを用います。外出先で透析液交換を行う場合は、車に積んで持ち運んだり、交換を行う場所に郵送したりします。

■日々の自己管理
腹膜透析の場合、病院に通院するのは月1,2回程度です。その分、日々の自己管理が大切になります。食事療法の継続はもちろんのこと、体重の増えすぎや血圧の上昇にも注意します。お腹からカテーテルが出ている部分を常に清潔に保つことも必要です。体に異変を感じたり、廃液した透析液がにごっているときなどは病院を受診しましょう。

体重&血圧測定

*1 一般社団法人 日本透析医学会 統計調査委員会「わが国の慢性透析療法の現況(2015年12月31日現在)」:44
*2 一般社団法人 日本透析医学会 統計調査委員会「わが国の慢性透析療法の現況(2015年12月31日現在)」:43


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