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数字で見るCKD!

監修:金沢医科大学医学部腎臓内科学講座 教授 横山 仁 先生

慢性腎臓病(CKD)患者さんは、日本国内に1,330万人(成人の8人に1人)いるとされ、 新たな国民病と言われています(日本腎臓学会 CKD診療ガイド2012)。 CKDや腎代替療法にまつわる、さまざまな「数字」を紹介します。

ぼくがご案内します!画面をスクロールしてください。

1透析患者さんが多い国は・・・

透析患者数 上位5か国(人口100万人あたり:2013年)透析患者数 上位5か国(人口100万人あたり:2013年)
1位
台湾の国旗
台湾
3,021人
2位
日本の国旗
日本
2,411人
3位
アメリカの国旗
アメリカ
1,482人
4位
シンガポールの国旗
シンガポール
1,436人
5位
韓国の国旗
韓国
1,151人

United States Renal Data System 2015 USRDS Annual Data Report vol.2:Figure 13.15より作成

人口100万人あたりの透析患者さんの数を国別に比較すると、日本は2番目に多いという結果が出ています。

2国によって 透析方法の選び方もさまざまです

各国の透析患者の 透析形態の内訳(2013年)各国の透析患者の 透析形態の内訳(2013年)
日本 アイコン
日本
人口100万人あたりの透析患者数
約2,411人
血液透析 96.9%
血液透析 イメージ
香港 アイコン
香港
人口100万人あたりの透析患者数
約742人
腹膜透析 71.8%
腹膜透析 イメージ
ニュージーランド アイコン
ニュージーランド
人口100万人あたりの透析患者数
約582人
在宅血液透析 18.4%
在宅血液透析 イメージ
  • 血液透析
  • 腹膜透析
  • 在宅血液透析
United States Renal Data System. 2015 USRDS annual data report Vol.2:Figure13.17より作成
日本では通院で血液透析を受けている患者さんが圧倒的に多いですが、香港では透析患者さんの7割以上が腹膜透析を行っています。また、ニュージーランドは、世界的に見ても在宅血液透析を行っている患者さんの割合が高いことが特徴です(*)
国によって、透析方法の選択状況は大きく異なっています。
* United States Renal Data System 2015 USRDS Annual Data Report vol.2 ESRD in the United States:319

3世界の腎移植を比較すると 日本は・・・

各国の年間腎移植件数 および 献腎移植と生体腎移植の割合各国の年間腎移植件数 および 献腎移植と生体腎移植の割合
生体腎移植
献腎移植
アメリカ
アメリカの国旗
55.7人
アメリカ イメージ
フランス
フランスの国旗
48.4人
フランス イメージ
韓国
韓国の国旗
33.8人
韓国 イメージ
ブラジル
ブラジルの国旗
27.0人
ブラジル イメージ
日本
日本の国旗
12.5人
日本 イメージ
United States Renal Data System. 2015 USRDS annual data report Vol.2:Figure13.18および13.20より作成
残念ながら、世界的に見ると日本の年間腎移植件数(人口100万人あたり)は多くありません(*)
また、日本は他の国に比べると、腎移植件数に占める献腎移植の割合が非常に低くなっています。
* United States Renal Data System 2015 USRDS Annual Data Report vol.2 ESRD in the United States:327

4それでも 日本の腎移植件数は年々増えています!

腎移植件数の推移腎移植件数の推移
グラフ線
432
1,494
172
167
604
1,661
生体腎移植
献腎移植
→
約2.8倍

日本移植学会 2016臓器移植ファクトブック:表2 年次別腎移植患者数 より作成

日本の腎移植件数は、この20年ほどで大幅に増え、特に生体腎移植の件数が3倍以上に伸びています。

☞参考: 腎移植件数

5最近の生体腎移植のドナーは配偶者も多い

生体腎ドナーの内訳(2015年に行われた生体腎移植において)生体腎ドナーの内訳(2015年に行われた生体腎移植において)
生体腎ドナーになれる親族(一部)
家系図
兄弟・姉妹イラスト
親イラスト
配偶者イラスト
生体腎ドナーの内訳
その他
未入力
兄弟・姉妹
親
配偶者

日本移植学会・日本臨床腎移植学会 腎移植臨床登録集計報告(2016) 移植 Vol.51 No.2・3:138 表16より作成

免疫抑制薬や移植医療の発展のおかげで、近年では、ABO血液型不適合のドナーからの腎移植も可能になったため、配偶者が生体腎ドナーとなることも多くなっています。

☞参考: 夫婦間腎移植

6移植腎が10年間機能している人の割合も増えています!

年代別 移植腎の10年生着率 年代別 移植腎の10年生着率
グラフ線
移植した年:1983年~2000年(5,486例)
移植した年:2001年~2009年(6,141例)
青グラフ1
青グラフ2
61.1%
87.0%
生体腎移植
→
グラフ線
移植した年:1983年~2000年(2,253例)
移植した年:2001年~2009年(1,151例)
緑グラフ1
緑グラフ2
51.4%
71.1%
献腎移植
→

日本移植学会 2016 臓器移植ファクトブック:図6、図7 年代別生着率 より作成

近年の免疫抑制薬や移植医療の発展により、移植した腎臓が機能している人の割合(生着率)は、生体腎移植も献腎移植も飛躍的に向上しています。
2001年~2009年に行われた腎移植において、移植の10年後も移植腎が機能していた方の割合は、生体腎移植で87.0%、献腎移植で71.1%です。

☞参考: 腎移植の成績

7透析導入患者さんの平均年齢は・・・

透析導入患者の年齢透析導入患者の年齢
グラフ線
95~
90~
85~
80~
75~
70~
65~
60~
55~
50~
45~
40~
35~
30~
25~
20~
15~
10~
5~
5歳未満
グラフ 男性
グラフ 女性
グラフ 男性 最高値
グラフ 女性 最高値
15.4%
16.3%
男性
女性

日本透析医学会 統計調査委員会「図説 わが国の慢性透析療法の現況(2015年12月31日現在)」:図表7より作成

透析導入時の年齢を5歳刻みでみると、一番多い年齢層は、男性が65~69歳、女性が80~84歳です。透析導入時の患者さんの年齢は年々上がっており、2015年に透析導入した患者さんの平均年齢は69.2歳でした(*)。
*日本透析医学会 統計調査委員会「図説 わが国の慢性透析療法の現況(2015年12月31日現在)」:8

830年以上透析を続けている患者さんも こんなにいらっしゃいます

30年以上透析を続けている透析患者の数(2015年末時点)30年以上透析を続けている透析患者の数(2015年末時点)
地図
患者
6,630人

日本透析医学会 統計調査委員会「図説 わが国の慢性透析療法の現況(2015年12月31日現在)」:図表12より算出

1985年末時点の透析患者さんは66,310人ですので(*1)、そのうちの約10%が30年以上透析を続けていることになります。ちなみに、40年以上続けている患者さんは2015年末時点で617人でした(*2) *1日本透析医学会 統計調査委員会「図説 わが国の慢性透析療法の現況(2015年12月31日現在)」:3
*2日本透析医学会 統計調査委員会「図説 わが国の慢性透析療法の現況(2015年12月31日現在)」:13

9全てのCKD患者さんが末期腎不全になるわけではありません

日本人(成人)の腎機能の程度別CKD患者数日本人(成人)の腎機能の程度別CKD患者数
グラフ線
グラフ G3a
グラフ G3b
グラフ G4
グラフ G5
腎臓のはたらきの程度(eGFR値)
G3a(59~45)軽度~中等度低下
G3b(44~30)中等度~高度低下
G4(29~15)高度低下
G5(15未満)末期腎不全
944
130
19
5
G3aの腎臓
G3bの腎臓
G4の腎臓
G5の腎臓

※G5の患者数には透析患者は含まれません。

平成23年度 厚生労働省 CKDの早期発見・予防・治療標準化・進展阻止に関する研究調査 より作成

末期腎不全になると腎移植か透析が必要になりますが、全てのCKD患者さんが末期腎不全に至るわけではありません。
CKDは、早期に発見して、早期に治療を行うことで、治癒もしくは悪化抑制の可能性が高くなります。

☞ クレアチニンの値が分かればeGFRをご自身で算出することもできます。 「あなたのeGFRは?」をご利用ください。

10CKDの合併症にも気を付けましょう!

日本人(成人)の腎機能の程度別CKD患者数日本人(成人)の腎機能の程度別CKD患者数
うっ血性心不全のイメージ
うっ血性心不全
27.8%
脳梗塞の既往もしくはTIAの存在のイメージ
脳梗塞の既往もしくはTIAの存在
15.2%
心筋梗塞の既往のイメージ
心筋梗塞の既往
27.8%

日本透析医学会 統計調査委員会 統計解析小委員会 わが国の慢性透析療法の現況(2007年12月31日現在)透析会誌 2009;42(1):39 表53より作成

CKD患者さんは、腎機能の低下だけではなく、心臓や血管に関わる合併症(心血管疾患)にも気を付けなければなりません。欧米においては、透析導入されるCKD患者さんよりも、心血管疾患によって亡くなるCKD患者さんの方が多いと言われています(*1)。日本人でも、CKDステージG3bより進んだCKD患者さんは、心血管疾患によって亡くなるリスクが増加します(*2)

*1 日本腎臓学会 CKD診療ガイド2012:7
*2 慢性腎不全診療最適化による新規透析導入減少実現のための診療システム構築に関する研究班 CKDステージG3b~5診療ガイドライン 2017(2015追補版):7

■上記①~③の図に用いているデータはUnited States Renal Data System (USRDS)より提供されたものです。これらのデータの解釈及び公表については当社の責に帰するもので、アメリカ合衆国政府の公的な方針や解釈を示すものではありません。予めご了承ください。
出典:United States Renal Data System. 2015 USRDS annual data report: Epidemiology of kidney disease in the United States. National Institutes of Health, National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases, Bethesda, MD, 2015.

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