ドクターインタビュー

増子記念病院 理事長

両角 國男 先生
増子記念病院 理事長

両角 國男 先生
両角 國男 <font size="4">先生</font>先生

目次

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Chapter 3: 増子記念病院における腎臓病治療について

-----後半は、増子記念病院の腎臓病治療についてお聞きしたいと思います。病院や腎臓内科の特徴を教えていただけますでしょうか。

我々の施設が目指すのは、「腎臓病総合医療センター」です。腎臓内科、人工透析センター、移植外科を中核として、糖尿病科、泌尿器科も含めて緊密な連携をとりながら、全ての腎臓病患者さんの要望に応えられる病院になりたいと考えています。
患者さんは、「病気を治したい、悪化させたくない」と思って病院を訪れます。それに対して我々は、「治していく病院、悪化させない病院」でありたい。そのためにこだわるのは、診断と、病態分析と、治療法の選択です。時には腎生検という検査手法を用いることもあります。腎生検による腎臓病診断と病態解析に基づく治療方針立案は、当院が最も得意とする分野です。
また、積極的な治療ができない方、高齢で腎機能が低下した方には、腎臓の保護療法を行います。腎機能別の病期に応じて、日常生活、食事、仕事の仕方、服薬、血圧の記録など、何をすべきかを約1週間の入院で学んでいただきます。
保存期の治療では、「検証」も大切にしています。減塩やタンパク質制限を指導するだけでなく、達成できているかどうかを確認できる体制も整えています。例えば、外来患者さんが24時間尿を持ってきた場合、来院1時間後には血液検査結果と一緒に24時間尿のデータも揃え、塩分やタンパク質摂取量の確認と指導を行います。24時間尿を持参できない人には、データの正確性はやや欠けますが、随時尿で同じように確認と指導を行っています。これにより、患者さん自身も、治療がうまくいっているのかを実感できるのです。
さらに、調理実習室も備えておりますので、外来の待ち時間などを利用して、看護師や管理栄養士による調理実習も行っています。患者さん達には、「共に工夫し、情報共有し、もっとうまく、楽に治療していきましょうね」と伝えています。

-----調理実習にはおよそ40年の歴史があるそうですね。

はい。病院一丸となって、少しでも腎臓病を悪化させないように取り組んでいます。
また、残念ながら末期腎不全に至った患者さんには、腎代替療法の話を進めながら、その人にあった治療法を選択していただくようにしています。その場合も、血液透析、腹膜透析、腎移植の全てが実施できる体制をとっています。

-----透析はもちろん、腎移植をされた方の外来も積極的に行われていますね。

主に、名古屋赤十字病院、愛知医科大学病院などで腎移植をされた患者さんが300名、ドナーの方も150名が来院されています。外来では通常、移植外科医と内科医がペアで診察しています。

-----移植後の患者さんは、移植外科だけではなく内科医の外来も受診しているのですか。

外科医だけでなく、内科医にも診てもらうようにしています。腎移植後の外来は、現在は週に4日ですが、いずれは週6日にする予定です。

-----移植外科医の先生は、免疫抑制薬の処方や管理を行っているのですか。

そうですね。免疫抑制薬の処方なども含めトータルに診察しています。内科医は、腎臓病の状態と生活習慣病を把握しています。患者さんとの各種連絡、調整などは、コーディネーターが行っています。また、当院では、腎移植後の患者さんのフォローアップだけでなく、腎移植手術も行っています。今年(2015年)は既に3件の移植手術を実施しています。

-----腎移植後のフォローアップ外来だけでなく、腎移植手術も行っているのですね。一方、透析センターについてはどのような特徴がありますか。

当院では、5つの透析施設があり、それぞれ患者さんの状況に応じて部屋を分けています。
1つは、比較的元気な方、仕事に就いている方のための部屋です。ベッドは全てパーティションで仕切られていて、プライバシーも確保されています。2つ目は、高齢でやや体力が落ちている方のための部屋です。透析時間を利用してリハビリが行えます。3つ目は、入院透析の患者さんで複数の疾患を持つ方や透析を始めたばかりで慣れていない方、あるいはサービス付き高齢者住宅に住んでおられる車椅子の方のための部屋です。4つ目は、長時間透析室です。22時から朝6時までのオーバーナイト透析室を用意しています。そして5つ目が通院透析患者さんのためのクリニック、といった構成です。そのほか、在宅透析も行っています。

-----患者さんの状況に応じて透析室を分けるというのは、とても斬新な発想ですね。お聞きしていると、すでに「腎臓病総合医療センター」としての役割を果たされているように感じますが、さらなる理想像というのはありますでしょうか。

両角先生右

CKDに関連した本や資料をみるとよく、腎機能の程度によって末期腎不全に至るリスクが何十倍になるとか、死亡する確率が高くなる、といったことが書かれていますが、そういった内容はあくまでCKDの治療の重要性を伝えるためのものです。そのような数字だけが一人歩きしてしまうと、患者さんは不安になるばかりですので、そうした患者さんの不安を取り除き、どのステージであってもきちんと治療をすれば改善できる可能性がある、と伝えることが専門医の役割です。

-----医療技術はもちろん、コミュニケーション力も含めて、患者さんに安心感を与え、信頼関係を築くことが必要だということですね。

そうですね。CKDの治療は、患者さんととても長いお付き合いになります。患者さんや家族と一緒に、治療を考えながら、病気と闘っていきます。 万が一、不幸にして末期腎不全に至り、腎移植や透析療法を行うことになったとしても、患者さんが「こんなに頑張ったのだから悔いはない」と思えるような治療を一緒に行いたい。それが、私が理想とする診療です。
しかしながら、そうした考えを持つ人間が1カ所の施設にいるだけでは、できることに限りがあります。同じ信念を持つ人材を育て、増やしていけば、できることも増えます。将来的には、当院が、患者さんに安心感を与えられる医師、看護師、栄養士を養成する、教育機関としての役割を担えるようにしたいと思っています。

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