ドクターインタビュー

神戸大学医学部附属病院
腎臓内科/腎・血液浄化センター 教授・センター長

西 愼一 先生
神戸大学医学部附属病院
腎臓内科/腎・血液浄化センター 教授・センター長

西 愼一 先生
西 愼一 <font size="4">先生</font>先生

目次

Chapter 3: 神戸大学医学部附属病院 腎臓内科 腎・血液浄化センターの取り組みについて

-----神戸大学医学部附属病院 腎臓内科 腎・血液浄化センターにおける診療の特徴についてお聞かせください。

西先生3

当診療科では、CKDの早期段階である腎炎・ネフローゼ症候群の診療から、末期段階での治療となる透析・腎移植までの総合的な疾患対策を行っています。
また、CKDの予防対策にも力を入れています。CKDは確実に治す方法がなく、予防が非常に重要ですので、病院内での診療活動の他に、県や市と一緒になってCKDキャンペーンを推進したり、透析患者さんの会とも協力して、CKD予防のための啓発活動を行ったりしています。


-----腎臓内科 腎・血液浄化センターとして今後やっていきたいことや、必要と考えていることはどのようなことですか。

やはり腎機能を改善する治療法の発見、薬の開発ができれば最高です。残念ながら、基礎研究においても臨床研究においても、まだそこには到達できていませんが、将来的には達成したいと思って、少しずつチャレンジをしているところです。

-----とても夢があるお話で、腎機能を改善する治療法や薬が見つかれば、本当にすばらしいことですね。

全ての腎臓内科医の夢だと思いますし、一番力を入れていきたいことです。
一方で、透析患者さんの高齢化が進み、認知症を合併している患者さんのケア・介護の充実が課題になっています。介護もできて透析も受けられる施設が不足しているので、県内にそのような施設が増えることが願いでもあります。

-----腎移植についてはいかがでしょうか。

泌尿器科とのタイアップによって当院の腎移植件数はこの数年間で増えつつあります。今後さらに増やせるように、泌尿器科と一緒に努力していきたいと思っています。また、当院では膵腎同時移植も行っており、こちらに関しては肝胆膵外科の先生方とのチームで推進していきたいと考えています。

-----こちらの病院ではCKDステージに合わせたさまざまな治療を行っていらっしゃいますが、それぞれのステージに応じて、具体的にどのような治療を行っているのでしょうか。

CKDの治療においては、腎臓だけをターゲットにするのではなく、CKDが誘発する全身の血管病を治療・研究のテーマの一つとしています。CKDの患者さんは、心血管・脳血管障害を合併することが非常に多く、その対策が重要なので、発症メカニズム、予防法などを基礎と臨床の両面から研究しています。
透析に関しては、大学病院なので維持透析は行っておらず、透析導入、透析合併症の治療のための入院、腎移植時の透析に対応しています。透析の合併症としては心血管系の合併症が圧倒的に多いのですが、手術をして合併症自体は治癒するものの、その後にADLが低下してしまうことが大きな問題になっています。そのような方々にも、また元気になってもらえるようにと努めていますが、これは現在直面している一番難しい課題です。
※ADL:日常生活動作(Activities of Daily Living)
腎移植については、移植手術とその後の基本的なフォローは泌尿器科で行っていますが、内科的な合併症が多い患者さんには、泌尿器科を受診する日に当診療科も受診していただき、合併症の悪化を防ぐようにしています。また、腎代替療法を選ぶときに先行的腎移植を希望される方が多く、泌尿器科の先生方とチームを組んで移植を推進しています。
※先行的腎移植:維持透析を経ないで腎移植を行うこと。

-----最後に、腎援隊サイトを見ている、現在CKD治療を行っている患者さんや、腎代替療法を検討している患者さんへのメッセージをお願いします。

CKDは、さまざまな合併症を伴いますし、自分がCKDであることに気づかないことも多いので、まずはこのサイトを通じてCKDに関するいろいろな事を知っていただきたいと思います。
その情報をもとに、CKDが進行しないように、一人ではなく、同じ病気に悩む多くの"仲間"と一緒に対策を立てていく。そのようにこのサイトを利用していただけると、医療者としても大変ありがたく思います。


慢性腎臓病の進行抑制と腎代替療法の選択②(1:02)


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