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C3(シー・スリー)腎症は、慢性腎臓病の原因疾患である膜性増殖性糸球体腎炎の1つとして、近年新しく分類された病気です。免疫の役割を果たす「補体」の活性を調節する機能に異常があり、主にC3という補体が腎臓の糸球体に沈着することが特徴です。
C3腎症は、根本的な原因がまだはっきりとわかっていません。小児で発症する場合もありますが、必ずしも遺伝性があるわけではありません。
症状としては、ネフローゼ症候群を伴う場合があります。ネフローゼ症候群になると、脚や顔などにむくみが現れたり、血液中の悪玉コレステロールが増えたり、血液が固まりやすくなったりします。
治療としては、飲み薬や点滴による薬物療法があります。また、塩分・タンパク質の摂取制限が必要になることもあります。
完治が難しい病気のため、基本的には上記のような治療を継続する必要があります。医療費の助成が受けられる場合もあります。
☞ 参考:慢性腎臓病の基礎知識「慢性腎臓病に関わる医療費助成制度」
C3腎症は、患者数についての十分なデータがまだありませんが、C3腎症を含む膜性増殖性糸球体腎炎全体では、ネフローゼ症候群を伴う場合、診断後10年で約60%の患者さんが末期腎不全に至るとされています(*)。
末期腎不全になると、腎臓が十分な役割を果たせなくなり、腎移植や透析が必要になります。
まだわかっていないことも多いC3腎症ですが、少しずつ発症のメカニズムが解明されつつあります。そのようなメカニズムに注目して病気の進行をくい止める研究が続けられており、新しい治療法の登場が期待されています。
☞ 参考:慢性腎臓病の基礎知識「C3腎症」
※ 治療は必ず主治医の指示のもとに行い、必要に応じて主治医に相談しましょう。
<出典>
* 矢崎義雄(編)内科学 第11版 朝倉書店