2017.08.24 教えて!ドクター
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Chapter 3: 自分に合った治療法を選ぶために
-----末期腎不全の治療法を選ぶ際には、どのような点を重視すればよいですか。
これからどのような生活を望むのか、自分の生活で何を大切にしたいのかを患者さん自身で考えていただき、それをもとに選んでいただきたいと思います。
大切にしたいもの、優先度が高いものは、仕事であったり、家族であったり、社会での役割だったり、人によってさまざまなので、それをお聞きした上で私も一緒に考えていきたいと思っています。
-----やはり、このような外来で、3つの治療法についてしっかりと説明を受けていない患者さんは、治療法についての理解が不足している方も多いのでしょうか。
そうですね。血液透析導入した方でも、腹膜透析や腎移植という言葉はご存知の方が多いのですが、ご自身が受けられる治療かどうかを理解されていない方は多いと思います。合併症の治療などで当院を受診された維持血液透析患者さんに、「腹膜透析や腎移植はお考えにならなったのですか?」とお聞きすると、「え?自分は受けられないでしょ?」とおっしゃることが多いです。
実際の治療が始まる前に余裕をもって、患者さんが自分に合う治療法を医療者と一緒に検討することが、当たり前になってほしいと思います。
-----7年間で外来を行った人数はどのくらいになりますか。
年間40~50人なので、既に200人以上にはお会いしていると思います。
-----今後、「腎と健康サポート外来」(療法選択外来)をどのようなものにしていきたいですか。
現状は、腎機能がぎりぎりの段階で外来に来られる方がほとんどですので、複数回外来に来た方がいいと思う方も、1回だけで終わることがとても多いです。できればもう少し早い段階から、腎不全に関して学べる講習などの場があり、さらに、ある程度の腎機能になったら、自動的にこちらの外来で一度話を聞いてもらう流れができるといいと思っています。
-----その後の人生のためにも、可能であれば何回か話を聞き、じっくりと考えて治療法を決められるようになるといいですね。最後に腎援隊の読者に向けてメッセージをお願いします。
腎臓が悪いと言われたら、自覚症状が無くても、まずは定期的に専門家を受診してほしいと思います。健康チェックという意味でも定期的に受診して先生と話をし、ご自身の現状をきちんと把握してほしいです。定期的に受診すれば、腎機能の悪化を抑えることもできると思います。
そしてもしCKDステージが4になってしまったら、早めに療法選択外来などで、治療法についての説明を受け、今後のご自身やご家族の生活に、どの治療法が合っているのかを検討してほしいと思います。そうすることによって、本当に腎代替療法が必要になった場合にも、それまでのライフスタイルをそれほど崩すことなく、ご自身がなりたい未来につなげていくことができると思います。
☞ 参考:3療法経験者インタビュー 松尾 裕子 さん
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