2017.12.14 教えて!ドクター
A:腎臓には、血液中の余分な水分・塩分や老廃物の除去などのさまざまな機能がありますが、慢性腎臓病が進行すると、これらの機能は徐々に失われていきます。そして、数か月から数年を経て腎機能が高度に低下すると、以下のような症状や合併症があらわれるようになります。
このような状態にまで腎機能が低下し、保存的治療でも対処が難しいと判断されると、医師からは、透析や腎移植などの腎代替療法を勧められます。もしも、ここで医師からの勧めを拒否し、透析や腎移植をしないままでいると、腎機能低下にともなう症状や合併症はさらに悪化していきます。
水分・塩分の排泄ができなくなってくると、肺に水が溜まって呼吸困難に陥ったり、老廃物がさらに体に溜まることによって、ひどい吐き気をもよおしたり、意識障害を起こしたりするようになります。
そして、やがては心不全などの合併症を起こし、生命の危機にさらされることになります。
現在、日本には約35万人もの透析患者さんがおり、そのうちの約8,000人の患者さんは、30年以上透析を続けています(*1)。現在は透析療法にもいろいろな方法があり、多くの患者さんが自分のライフスタイルに合った方法を選んで、透析とうまくつき合いながら生活しています。
☞参考:透析ライフ
腎代替療法には腎移植という選択肢もあります。現在、日本では年間約1,800件もの腎移植が行われており、近年は夫婦間での腎移植や、60代・70代の患者さんの腎移植も増えています(*2)。
透析療法や腎移植にはさまざまな可能性があります。もし医師から「そろそろ透析か腎移植を考えた方が良い」と言われたら、腎援隊の記事を読んだり、経験者からお話を聞いたりして積極的に情報を集めましょう。その上でご家族と一緒に病院の医師やスタッフによく相談いただき、ご自身に最も合った治療法を選んでください。
☞ 参考:教えて!ドクター「Q. 透析療法の治療成績(生存率)を教えてください」
☞ 参考:教えて!ドクター「Q. 透析をやめることはできますか?」
☞ 「病院を探そう!」伊丹腎クリニックのご紹介ページ
☞【参考】
私はこうして治療法を選びました「腎代替療法 私の選び方」
動画体験シリーズ「自分にあった治療法を見つけよう~療法選択外来の実際~」
3療法経験者インタビュー 松尾 裕子 さん
<出典>
*1 花房規男 他. わが国の慢性透析療法の現況(2021年12月31日現在) 透析会誌 2022;55:665-723
*2 日本移植学会・日本臨床腎移植学会. 腎移植臨床登録集計報告(2022) 移植 2022;57:199-219