2017.08.24 教えて!ドクター
Chapter 1: 東邦大学医療センター大森病院における療法選択外来の歴史
-----まず、山田さんが腎不全患者さんの看護に携わるようになった経緯から教えてください。
以前は、循環器内科や血液内科などの科を担当していましたが、正直そのころは、腎不全看護にはあまり興味がありませんでした。ところが、一旦退職後、別の病院に就職した際に、たまたま透析室の配属となり、そこで長期の透析患者さんを看護する機会を頂きました。その病院の透析患者さん達は皆明るく前向きで、そこでの患者さん達との出会いによって、腎不全患者さんや透析患者さんを支えていきたいと考えるようになりました。
その後、その病院の循環器科へ異動となったのですが、やはり腎不全患者さんの看護に携わっていきたいという気持ちが強くなり、血液透析、腹膜透析、腎移植も含めた、総合腎臓病診療を行っている当院へ再度就職しました。
-----循環器内科や血液内科で仕事をされていた時は、腎移植などの末期腎不全の治療に関して、どの程度ご存知でしたか。
基本的な知識はありましたが、別の科で勤務していたこともあり、自分が勤務する病院で腎移植が行われていることさえ知りませんでした。また当時は、腎移植はごく限られた人しか受けられない治療だと思っていたので、再び当院に就職してから、身近な医療なのだということを知りました。
-----こちらの病院では、いつ頃から療法選択外来が行われているのでしょうか。
外来は2009年から始まりました。以前、私が透析患者さんの看護をしていた際、ある患者さんから、「私たち患者にとって、治療を始める前にその治療についてしっかりと教育してもらうことが、その後の生活のためにはとても大切なことなのです」とお聞きしました。その言葉がきっかけとなり、以前からこのような外来をやりたいと考えていました。
私が2009年に透析看護認定看護師の資格を取った段階で、当院の酒井謙先生(腎センター 教授)にそういった場を作りたいと相談したところ、先生も以前からそのようなお考えをお持ちだったようで、それであれば外来を開設したらいい、という話になり、外来枠を1つ頂き、そこからスタートしました。
-----どんなときに、この外来をやっていてよかったと感じますか。
3つの治療法について、全く知識が無かった患者さんや、先生方から治療の概要については聞いていたけれど、理解が出来ていなかった患者さんが、この外来でじっくりと話をしていく中で、徐々に治療について理解し、ご自身に合った治療法を選ぶことができたとき、この外来をやっていてよかったと思います。また、治療を開始してしばらく経ち、順調に生活できるようになった患者さんから、「やっと生活パターンが安定しました。あの時、この外来で説明を聞いて、自分に合った治療法を選ぶことができて良かったです。」と言われると、ほっとしてうれしくなります。
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