ドクターコラム

腎移植手術と入院生活について 【生体腎ドナー編】

腎移植手術と入院生活について
【生体腎ドナー編】

岡山大学病院 泌尿器科 講師 荒木 元朗 先生

岡山大学病院 泌尿器科 講師 荒木 元朗 先生

腎移植手術と入院生活について 【生体腎ドナー編】

掲載日:2018/07/26

生体腎ドナーの手術と入院生活について解説します。
一般的に、ドナーさんは手術の1~2日前に入院し、術後7 ± 3日(*)で退院となります。傷が小さく痛みも少なく回復が早い内視鏡(カメラ、腹腔鏡とも呼ばれます)による手術が主流となっています。
(手術の方法や入院期間は、移植施設やドナーさんの状態によって異なる場合もあります)

ドナーの入院・手術の流れ

1.入院

手術の1~2日前に入院します。手術前日より腸を空っぽにするため下剤を使う施設もあります。それに伴い、前日より点滴を行う施設も有りますが、必須ではありません。

2.手術

手術は全身麻酔で行います。術後の痛みのコントロールのため、硬膜外麻酔を併用する施設もあります。
※ 硬膜外麻酔:脊髄(せきずい)の周りのすき間に麻酔薬を注入する局所麻酔の方法。

以前は側腹部を20~30cm皮膚切開する開放手術が行われていました(下図1A)。しかし、手術の進歩に伴い、ドナーさんの負担軽減を配慮し、現在では内視鏡(カメラ)による手術が主流となっています(下図1B)。

ドナーの手術

内視鏡手術は、開放手術と比べて傷が小さく、術後の痛みも少なく、回復が早いのが利点です。5~12 mmの穴が3つあれば腎臓を切り離すことはできますが、腎臓は握りこぶし大の大きさがあるので12 mmの穴からは取り出せません。よって、おへその周辺もしくは恥骨上に最大5~7 cmの切開を置き腎臓を取り出します。恥骨上横切開の利点は、ビキニパンツでも傷が隠れ、術後の傷の引きつれ感が少ないことです(下図2)。手術時間は3 ± 1時間が標準です。

恥骨上横切開

左右どちらの腎臓を摘出するかは、外来でのCT検査、施設によってはレノグラム(別の画像検査)を考慮して決定します。一般的には、摘出しやすく移植しやすい左の腎臓を摘出することが多いです。しかし、左右の腎臓の大きさが異なったりしているときは、ドナーさんに機能の高い、良い方の腎臓を残す目的で、右の腎臓を摘出することもあります。
※レノグラム:血液中に検査用の特殊な薬品を注入し、その薬品が腎臓内を通過する様子を撮影して、腎臓の状態を調べる検査。

内視鏡手術は狭い空間で手術操作を行うので、手術操作が開放手術に比べ難しい手術となっています。内視鏡手術に習熟した医師のいる施設で行うべき手術と考えます。

内視鏡手術

腎臓を摘出した部位にドレーンという8mmくらいの細いチューブを留置します。また、手術中・手術後の尿量を測定する必要があるため、膀胱内に尿の管(尿道カテーテル)を留置します。
※ ドレーン:体の中の手術部位周辺に溜まった血液などを体外に排出するための管。

ドレーン・尿道カテーテル

3.術後から退院まで

飲水、歩行は手術翌日から開始します。食事は手術翌日ないし2日後から開始します。ドレーンや尿道カテーテルは術後数日で抜去します。術後は7 ± 3日(*)で退院し、日常生活に戻ります。ウォーキング、自転車も可能ですが担当医に確認してください。「ゴルフはいつからできますか」とよく聞かれます。当院では、術後1ヶ月は待ってもらっていますが、あくまで目安で、これも担当医の判断次第でしょう。

退院

<出典>
*日本臨床腎移植学会・日本移植学会 腎移植臨床登録集計報告(2017)移植 2017;52:113-133


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