生体腎移植者 山上隆さん(仮名)
生体腎移植者 山上隆さん(仮名)
2017.08.31 レシピエントインタビュー
腎移植ライフ
東京女子医科大学病院 泌尿器科 臨床教授 石田 英樹 先生
東京女子医科大学病院 泌尿器科 臨床教授 石田 英樹 先生
掲載日:2016/04/28
腎移植後、6カ月~1年くらい経過して落ち着いてくると、外来受診は月1回程度となります。基本的には、主治医の指示通りに毎日きちんと薬を服用していれば、多くの人が健康な人と変わらない生活を送ることができるようになります。
腎移植後に服薬が必要な理由や、飲み忘れない工夫について知り、移植後の生活をイメージしてみましょう。
■腎移植後に服用が必要な薬
腎移植後は、移植腎が機能している限り、複数種類の免疫抑制薬を毎日1~2回服用します。その他の薬の服用については、患者さん個々の状況によって異なります。
■腎移植後に免疫抑制薬の服用が必要な理由
① 拒絶反応とは?
私たちの体には、体外から侵入してきたウイルスや細菌などの異物を排除する免疫という生体防御システムが備わっています。
移植された腎臓は、レシピエント(移植を受けた方)の体にとっては異物なので、免疫機能の攻撃対象となります。この攻撃が実際に始まることを「拒絶反応」といいます。
② 免疫抑制薬とは?
免疫抑制薬とは、体内で過剰に起こっている免疫反応を抑える薬です。
腎移植後は移植腎が機能している限り、拒絶反応を防ぐために免疫抑制薬を服用し続ける必要があります。
腎移植後に服用する免疫抑制薬には様々な種類があり、通常何種類かの免疫抑制薬を組み合わせて服用します。服用する薬の種類や量は、移植後の日数や経過によって変わります。
③ 免疫抑制薬を服用しているときに気を付けること
<感染症予防>
移植後は、免疫抑制薬を服用していますので、感染症予防とかかってしまった場合の早期治療がとても大切です。
感染症予防の基本は、手洗い・うがいです。帰宅時には、手洗い・うがいを励行し、感染予防や、感染症にかかったときの対応をきちんと行えば、必要以上に感染症を恐れる必要はありません。
<免疫抑制薬との飲み合わせ>
免疫抑制薬は一部の他の薬や食べ物との飲み合わせで、薬の効果が変化することがあります。主治医や薬剤師に確認の上、それらの薬や食べ物を飲んだり食べたりしないように注意しましょう。
■免疫抑制薬を飲み忘れない工夫
腎移植後は、毎日決められた時間、決められたタイミングで免疫抑制薬を服用することがとても大切です。免疫抑制薬の飲み忘れは、拒絶反応を引き起こし、移植腎の廃絶につながりますので、日々の生活の中で工夫をして、飲み忘れがないようにしましょう。
以下に、腎移植後の方々が実践している、飲み忘れ防止の工夫を紹介します。
●携帯アラームを使用する。
●携帯アラームと合わせて、周囲の人(職場や家族)に知らせておき、声をかけてもらう。
●薬の殻を捨てずに取っておいて、1日の終わりに飲み忘れていないかを確認する。
●飲んだ後に、必ず手帳などに記録する。
●服薬管理のアプリを活用する。
●食後に服用する薬は、食事を取る前に、必ず食卓に準備しておく。
●一包化※が可能な薬は一包化を検討する。(一包化ができない薬もあります)
※一包化(いっぽうか):服用時間が同じ薬や、1回に何種類かの錠剤を服用する場合などにそれらをまとめて1袋にすること。
万が一、飲み忘れてしまったときや飲みすぎてしまったときなどは、かかりつけの担当医にお問い合わせください。
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