腎移植はどんな治療法?

腎移植には、生体腎移植と献腎移植の2種類があります。最近の腎移植医療の傾向について説明します。

腎移植とは

監修:神戸大学医学部附属病院 腎臓内科 腎・血液浄化センター 西 愼一 先生

生体腎移植と献腎移植

腎移植には、血縁者、非血縁者から2つの腎臓のうちの1つの提供を受ける「生体腎移植」と、脳死や心臓死になられた方から腎臓の提供を受ける「献腎移植」の2種類があります。


生体腎移植と献腎移植
腎移植件数と成績

<腎移植件数>
2013年末の時点の全国の慢性透析患者さんの数は約31万人となっています。一方、2013年に腎移植を受けた人は1,586人でした。この10年は特に生体腎移植の件数が伸びており、2013年の腎移植件数1,586人うち、1,431人が生体腎移植で、残りの155人が献腎移植でした。2015年8月末現在、献腎移植希望の登録者数は12,619人ですので、年間1.2%程度の人しか献腎移植を受けられていないのが現状です。


腎移植件数(2013年)

<腎移植の成績>
近年、新しい免疫抑制薬の登場や移植医療の向上により、腎移植の成績は飛躍的に向上しています。
腎移植では、移植した腎臓が機能している期間を表す「生着率」と、移植手術後に患者さんが生存している期間を表す「生存率」を成績の指標としています。
2000年以降の腎移植の成績は生着率、生存率ともに大きく向上しています。


年代別生着率
年代別生存率
最近の腎移植医療の傾向(概要)

最近の腎移植医療の傾向としては、透析を経ないで移植を行う先行的腎移植(プリエンプティブ腎移植)や、夫婦間移植、血液型不適合移植高齢者の移植などが増加していることがあげられます。

<先行的腎移植(プリエンプティブ腎移植)>
末期腎不全の治療法としては、透析血液透析腹膜透析)、腎移植(生体腎移植、献腎移植)があります。それぞれの治療法はお互いに相補的な役割があり、最初は腹膜透析から始め、その後に血液透析に移行することもあれば、その逆の場合もありますし、透析導入後に腎移植を行うこともあります。
最近では、透析を経てから腎移植を行うよりも、透析を経ずに(透析を受ける場合も半年~1年以内の透析期間で)腎移植を行った方が、移植腎生着率、患者生存率が良好であるという報告もあり、生体腎移植の中に占める先行的腎移植の割合が増えています。また、長期透析による心血管系疾患の進行がないため、移植手術がしやすい利点もあると言われています。

☞詳しくは「先行的腎移植」をご覧ください。

<夫婦間腎移植>
親兄弟のような血縁者間だけでなく夫婦間のような非血縁者間での生体腎移植も可能です。
日本では、非血縁者間移植は3親等以内の姻族に限られていますので、そのほとんどが夫婦間腎移植です。最近では、後述のABO血液型不適合腎移植の成績が大きく向上したこともあり、夫婦間腎移植も増加しています。

☞詳しくは「夫婦間腎移植」をご覧ください。

<ABO血液型不適合移植>
以前は、ABO血液型不適合移植ではレシピエントの抗血液型抗体によって移植後早期に強い拒絶反応が起き、生着率、生存率を低下させる要因となっていました。現在では、移植前に強力な免疫抑制剤を使用して抗体を作り出すリンパ球を抑制し、血漿交換によってレシピエントの抗血液型抗体をできるだけ少なくすることにより、術後の拒絶反応を抑えることができるようになりました。その結果、ABO血液型不適合移植の成績も血液型適合移植と遜色のないくらいに向上しています。

☞詳しくは「ABO血液型不適合移植」をご覧ください。

<高齢者の移植>
超高齢社会を迎えた日本においては、高齢者の腎移植も増加しています。腎移植に明確な年齢制限はありませんが、移植学会の倫理指針においては、一応の目安として70歳とされています。実際には、実年齢だけではなく体年齢で判断されますので、腎移植を希望される場合には、移植専門医に相談しましょう。

☞詳しくは「高齢者の腎移植」をご覧ください。

☞【参考】
腎移植・腹膜透析・血液透析…どうやって治療法を選ぶ?「腎代替療法 私の選び方
動画体験シリーズ「生体腎移植
教えて!ドクター「腎移植手術はどのような手術ですか?

腎移植・透析をお考えの方はこちらへ ⇓ ⇓

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