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Q

クレアチニンやeGFRとは
どのような検査値ですか?

クレアチニンやeGFRとは
どのような検査値ですか?

回答いただいた先生
山形大学大学院医学系研究科 公衆衛生学・衛生学講座
教授 今田 恒夫 先生
山形大学大学院医学系研究科 公衆衛生学・衛生学講座
教授 今田 恒夫 先生
クレアチニン・eGFR

掲載日:2024/4/24

A

クレアチニンとは

血液検査項目の1つであるクレアチニン(Cr、CRE、Cre)は、血液中のクレアチニンの量を表します。クレアチニンは、筋肉を動かすためのエネルギーを使ったときに作られる老廃物で、血液を通じて腎臓でろ過され、尿として排泄されます。
☞ 慢性腎臓病の基礎知識「腎臓の機能

クレアチニンの動態

腎臓のろ過機能が低下すると、クレアチニンが血液からろ過されにくくなり、血液中に溜まりやすくなるため、クレアチニンの値が高くなります。そのため、クレアチニンは、腎臓の機能(腎機能)の指標とされています。
クレアチニンの基準範囲は、以下のとおりです(*1)

男性:0.65 ~ 1.07 mg/dL
女性:0.46 ~ 0.79 mg/dL

クレアチニンの値は、筋肉量の影響を受けます。そのため、一般的には男性の方が女性よりも高く、運動習慣がある方なども高くなる傾向があります。逆に、寝たきりの方や、筋肉の病気で筋肉量が少ない方などでは低くなる傾向があります(*2)

eGFRとは

クレアチニンでもある程度の腎機能が分かりますが、より正確に腎機能を評価するため、近年ではeGFR(イー・ジー・エフ・アール)が一般的に用いられています。「GFR」とは、腎臓の糸球体(しきゅうたい:Glomerular)が1分間にろ過する血液の量(Filtration Rate)のことで、腎機能そのものを表します。

GFRとは

ただしGFRは、通常の検査で測定することが難しいため、一般的にはクレアチニンの値と年齢、性別によって推算します。これがeGFR(estimated GFR)です。

eGFRの計算式

eGFRは、健康な状態でおよそ 100 mL/分/1.73㎡です。腎機能が低下すると、その分eGFRも低下します。ですから、eGFRは"腎機能を100点満点で評価したもの"と考えると分かりやすいでしょう。
eGFRと腎機能の程度

eGFR早見表

☞ ご自身のクレアチニンの値がわかれば、こちらでeGFRを計算することができます。

GFRが 60 未満の状態が3カ月以上続くと、慢性腎臓病(CKD)と診断されます(*3)。慢性腎臓病が進行すると、腎機能が回復しない慢性腎不全という状態になりますが、大半の慢性腎臓病は、早期から適切な治療を行うことで、治癒(ちゆ)できる、または悪化を抑えられる可能性が高くなります。健康診断などでeGFRが 60 未満だった場合、できるだけ早くに近隣の内科などを受診しましょう。
☞ 教えて!ドクター「慢性腎臓病を治療するためには、どのような病院を受診すればいいですか?

病院受診

eGFRの注意点

前述のとおり、クレアチニンの値は筋肉量が多い人では高く、少ない人では低くなる傾向があります。それに伴って、eGFRも低くなったり、高くなったりするため、実際の腎機能を正確に反映していない可能性もあります。そのような場合、クレアチニンではなく、血液中のシスタチンCの検査値を用いたeGFRも参考にすると、より腎機能の判定精度が上がるとされています(*2)

シスタチンCは全身の細胞から作られる物質で、シスタチンCの値は筋肉量の影響を受けません。クレアチニンによるeGFRとシスタチンCによるeGFRの平均値は、それぞれの単独よりも正確に腎機能を反映する可能性が高いです(*2)。必要に応じて、このような腎機能の判定方法が用いられる場合もあります。
※ シスタチンCの値は、甲状腺機能、喫煙、炎症、脂肪量、妊娠、免疫抑制薬などの影響を受けます。

<出典>
*1 日本臨床検査医学会 編. 臨床検査のガイドライン JSLM 2021:18
*2 日本腎臓学会 編. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン 2023:5
*3 日本腎臓学会 編. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン 2023:3


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