看護師インタビュー

東邦大学医療センター 大森病院

山田 美穂 看護師
東邦大学医療センター 大森病院

山田 美穂 看護師
山田 美穂  <font size="4">看護師</font>

目次

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Chapter 2: 療法選択外来の実際

-----こちらの病院の療法選択外来を受診するにはどうしたらいいですか。

まずは当院の腎センターの外来を受診していただき、腎センターからの紹介で、こちらの外来を受けていただく流れになります。現時点では、直接こちらの外来だけを受診することはできません。

-----外来は毎週何曜日に行われているのですか。

毎週火曜日と水曜日の午後、1人1時間で3枠まで予約ができるようになっています。2016年3月からは、看護部主導の外来となり、名称が、「療法選択外来」から「腎と健康サポート外来」に変わりました。
火曜日は、基本的には腹膜透析を検討されている患者さんのための外来で、腹膜透析の機器を触ったりして、練習をする時間となっています。水曜日はこれまで通り、3つの治療法の情報提供を行う外来となっています。外来枠が少し増えましたので、以前に比べると予約は取りやすくなったと思います。

-----どのような場合に、腎センターの先生からこちらの外来に紹介されてくるのでしょうか。

先生方も3つの治療法について説明されますが、患者さんが治療法を選べない場合などに、この外来を紹介されることがあります。また、通常の外来では時間をかけて説明やお話ができないことも多いので、こちらの外来で1時間しっかりと治療について話を聞いてみるように、先生から患者さんへ提案されることもあります。

-----こちらの外来を受ける際には、事前の準備が必要ですか。


療法選択外来を受診する方々へ(1:10)

当院では、担当医から患者さんのカルテや採血結果と共に依頼がくるので、患者さんに事前に準備していただくことは特別ありません。
ただ、外来には、可能であればご家族で来ていただきたいと思います。ご家族と一緒に来られると、例えば、ご本人は血液透析でいいと思っていても、ご家族から、「私たちもサポートするから、腹膜透析で一緒に生活しよう」と言ってくださる場合もありますし、腎移植についてご説明させていただいた後で、ご家族から、「じゃあ私も提供することができるんですね」という言葉が出てくる場合もあります。
この外来で治療法を決めるわけではないですが、ご家族と一緒に受けていただくことで、家族皆で治療法について考える1つの良いきっかけになると思います。

-----外来では、具体的にどのようなお話をされるのですか。

山田看護師1

最初に20分程度、治療法を説明するDVDを観ていただきます。DVDは、時間の長さや映像のテイストが違ういくつかの種類がありますので、その患者さんに合ったものを観ていただくようにしています。DVDは私も一緒に観ますので、患者さんが、専門用語などが分からない場合は、随時質問していただいています。DVDを観終わると、もう一度、それぞれの治療法のメリット、デメリットに関して情報提供し、当院の入院期間や費用などについて簡単に説明させていただきます。
3つの治療法はお互いに補完しあうものなので、まずは全部説明を聞いていただくようにお伝えしています。

-----こちらの外来を受ける方はどのような誤解をされていることが多いですか。

一度血液透析を始めてしまったら、血液透析しかできないというように、1つの治療法しか受けられないと思っている方が多いです。まずは腹膜透析を行ってから腎移植を受けることもできますし、腹膜透析を受けてから、血液透析に移行したり、その逆もあります。そのようにいくつかの治療法を組み合わせることが可能だということをご存知ない方が多いです。

-----外来を受けるまでは、多くの方が治療法についてよく理解されていないということですね。

治療法の理解の前に、まず、ご自身の腎臓がどのくらい悪くなっているのかを把握できていない方が多いです。皆さん自分のクレアチニン値はご存知ですが、その数値が意味するところを理解されていないことが多いのです。
クレアチニン値がこれくらいだと、eGFRがこのくらいで、残りの腎機能はこのくらいです、というお話をすると、私の腎臓はこんなに悪かったの?と初めて気付く方が多いです。
また、この外来で話を聞いて、すぐに治療を始めなければいけないと思い詰めていらっしゃる方もいるので、「ここで決めるのではなく、治療について理解して、気になることを質問してください。その上で、先生と外来で決めましょう。」とお話ししています。患者さんには安心してもらうことを最優先に考えています。

-----最終的な治療法を決めるのは、腎センターの外来であって、こちらの外来はサポート的な外来ということですね。

そうですね。患者さんやそのご家族が、治療法を決めるためのお手伝いをするサポート的な外来です。治療に関する情報提供をすると同時に、食生活に問題があれば、管理栄養士との面談を調整したり、腎移植をメインに考えたいということであれば、移植コーディネーターとの面談を調整したり、治療にかかる費用のことが不安な方には、ソーシャルワーカーとの面談を調整することもあります。

-----腎と健康サポート外来を受けられた方は、どの治療法を選ばれることが多いのでしょうか。

当院では、約8割の方が血液透析を選択されています。全国の腎代替療法の選択の比率と比べると、腹膜透析や腎移植を選ばれる方が多いと思います。
外来でじっくりと話をしていく中で、患者さんの治療に対する気持ちが変わることも多いです。例えば、腹膜透析がいいと思っていた方でも、腹膜透析は自己管理をしなければならないので、常に医療者が側にいてくれて、体調が悪くなったらすぐに対応してくれる血液透析の方がいいと思うようになる場合もあります。また、生体腎移植はドナーとレシピエントの血液型が違うとできないと思っていた方が、血液型が違っても移植は可能だという話を聞いて、移植を検討し始める場合もあります。

-----それぞれの治療法を選ぶ理由には、どのようなものがありますか。

腹膜透析は、自分の腎臓の機能を少しでも残したいという理由で選ぶ方や、血液透析より時間的制約が少ないので、今の生活スタイルや仕事を続けられるという理由で選ぶ方がいらっしゃいます。最近は腎移植までのつなぎに腹膜透析を選ばれる方や、ご高齢で自宅での生活を望まれる方が選ぶケースもあります。

-----血液透析や腎移植についてはどうでしょうか。

血液透析は、身近に血液透析をしている人がいるので、自分もできるかもしれないと思われて話を聞きに来る方もいます。そのような方の場合は血液透析を前向きに選ばれることもあります。また、腹膜透析では自己管理が必要だから血液透析の方がいいという方や、移植で他人の体を傷つけたくないという理由で血液透析を選ぶ方もいらっしゃいますし、患者さんのご家族が、腹膜透析を自宅で管理していて何か問題が起こると心配なので、病院で治療を受けられる血液透析の方がいい、とおっしゃる場合もあります。
腎移植に関しては、患者さんが若い場合には、親から子供に対してや、兄弟から提供をしたいという相談もあります。また、定年退職後の第三の人生を共に過ごしたいという希望があり、相談に来られるご夫婦もいらっしゃいます。

-----こちらの外来は複数回受けることも可能ですか。

もちろん可能です。できれば2~3回受けていただきたいと思います。
最初は自分1人で受け、その後、ご家族を連れて来られる方もいらっしゃいます。患者さんの中には、この外来を3回くらい受けて、やっと、「ああ、そういうことだったんだね」とおっしゃる方もおられます。複数回話を聞き、それぞれの治療法についてしっかりと理解いただくためにも、できるだけ早い段階で来てほしいと思います。

-----どのくらいの腎機能のときに、こちらの外来を受けるのが理想的でしょうか。

CKDステージ4(eGFR15~29)の段階で来てもらえると時間的にも余裕があり、とてもいいと思うのですが、ステージ4ですと腎不全による自覚症状はほとんどないので、その段階で来ていただくのは現状では難しいと感じます。

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