ドクターインタビュー

東邦大学医療センター 大森病院 腎センター 教授

相川 厚 先生
東邦大学医療センター 大森病院 腎センター 教授

相川 厚 先生
相川 厚 <font size="4">先生</font>

目次

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Chapter 3: 東邦大学医療センター大森病院におけるCKD治療について

-----ここからは、東邦大学医療センター 大森病院 腎センターセンターについてお聞きしていきたいと思います。まず、こちらの腎センターの特徴についてお聞かせください。

相川先生

当院では、小児から成人まで、同じ腎センターの中で、小児科、内科、腎臓外科と3科の医師が入り混じって1人の患者さんを診る体制をとっています。主治医制であってもグループ診療を行っていますので、内科の医師も外科の医師もいます。
一般的な施設では、蛋白尿、血尿などが出ると、まずは総合診療科で一般内科の先生に診ていただくのですが、当院では、紹介があれば初めから腎センターで診察し、その後の腎機能に応じて治療や食事療法を行い、末期腎不全における血液透析、腹膜透析、腎移植のすべての腎代替療法に対応しています。同じ科で診療を受け続けることができるというのは患者さんにとっても非常にメリットがあると思います。

-----こちらの腎センターでは、年間どのくらいの腎移植が行われているのですか。また移植される患者さんの傾向などはありますか。

当院における腎移植件数は、今年は52例でした。これまでに累計で約800例の移植の経験があり、そのうち生体腎移植は723例となっています(2015年11月末時点)。当院では、ドナーの術前精査や移植後の長期管理を徹底して行っていますので、当院で腎提供をされた生体腎ドナーで腎不全になられたような方は1人もいらっしゃいません。
移植を受けられる患者さんの傾向としては、最近は、全国の傾向と同じく、高齢者移植や夫婦間移植が増えています。

-----こちらのセンターでは、すでに腎臓病治療におけるさまざまな体制が確立されている印象ですが、今後さらに取り組んでいきたいことはありますか。

今後は、地域の内科の医師に腎移植も含めた末期腎不全治療について周知していただき、病診連携を積極的に進めていきたいと考えています。綿密な連携が取れるようになれば、患者さんが腎代替療法の選択を行う際にも、ご自身でしっかりと考え納得された上で、それぞれのライフスタイルに合った治療法を選択することができるようになると思います。

-----最後に、この腎援隊サイトをご覧になっている、現在、腎代替療法を検討している患者さんへのメッセージをお願いします。

腎移植手術というと、命がけの手術だと思っておられる方もいらっしゃいますが、腎移植の成績は非常に向上しており、2006年~2012年の移植の成績でみると、生体腎移植の生存率は5年で96.2%、献腎移植でも91.2%となっています(*1)
※2021年末時点では、2010年~2020年に行われた腎移植における5年生存率は、生体腎移植:96.7%、献腎移植:92.8%(*2)

昔とは違い、腎移植は安全で確立された医療です。もしドナーとなっていただける方がいらっしゃるのであれば、積極的に腎移植を検討していただければと思います。
腎移植後はQOLが大幅に改善します。「私は60歳を過ぎているからできない」「このまま透析を受け続ければいいのではないか」とお考えの方もいるかもしれませんが、最近では、高齢のご夫婦でも、「夫婦で同じ食事を食べて、旅行に行き、孫と遊んで、充実した余生を送りたい」という目的で夫婦間移植をされる方もいらっしゃいます。ぜひ前向きに検討いただき、まずは腎移植を実施している医療機関に相談してみてください。

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<出典>
*1 日本移植学会 臓器移植ファクトブック2015
*2 日本臨床腎移植学会・日本移植学会. 腎移植臨床登録集計報告(2022) 移植 2022;57:199-219


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