ドクターインタビュー

日本赤十字社愛知医療センター
名古屋第二病院
腎臓病総合医療センター 移植外科 部長
日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第二病院
腎臓病総合医療センター 移植外科 部長

渡井 至彦 先生

渡井 至彦 <font size="4">先生</font>

日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第二病院 腎臓病総合医療センター 移植外科は、全国でもトップクラスの腎移植実施数を誇る施設です。小児から高齢者まで幅広い層の患者さんに対し、移植医療のスペシャリストが集まった専門チームによって、移植手術が行われています。
長年、腎移植医療に携わってこられた渡井至彦先生に、最近の腎移植医療について、そして名古屋第二病院 移植外科における腎移植医療への取組みについてお聞きしました。

☞ 「病院を探そう!」日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第二病院のご紹介ページ

取材日:2015/12/24

目次

Chapter 1: 末期腎不全における腎移植医療について

-----末期腎不全における腎代替療法の1つとして腎移植がありますが、腎移植は誰でも受けられる医療なのでしょうか。


       最近の腎移植①(1:07)

多くの慢性腎不全患者さんが、腎移植の治療適応になると思います。欧米の文献(*1)では、高齢者や肥満の人を含めても、慢性腎不全患者さんの半分以上は腎移植の適応になるといわれています。ただし、現在がんに罹患している人、発熱をきたすような感染症があり原因が特定できていない人、また、治療に対して協力的でなく、薬をきちんと服用できない、決められた日時に通院できないような人は腎移植の適応になりません。

-----どのくらいの腎機能になった段階で、腎移植を検討し始めたほうがいいのでしょうか。

腎移植の検討時期に関しては、糖尿病の人と糖尿病でない人で異なります。糖尿病の人はCKD(慢性腎臓病)ステージの3b (GFR30~44mL/分/1.73m²)で、移植に関して検討するための受診が必要といわれています。糖尿病で無い人もCKDステージの4(GFR15~29mL/分/1.73m²)になったら、移植施設を受診して検討する必要があると思います。

-----移植実施施設は各県にあると思うのですが、どのように探せばいいのでしょうか。

腎移植が実施できる施設は全国に約140施設ありますが(*2)、移植手術の実施件数に関しては施設によって差があります。まずは現在通院している腎臓内科の先生に腎移植を受けたいという話をし、腎移植実施施設を紹介していただくのが一番いいと思います。

-----こちらの施設にも、多くの慢性腎臓病患者さんが移植の相談に来られると思うのですが、相談に来られる患者さんが腎移植に対して誤解されていることもあるのでしょうか。

渡井先生

例えば生体腎移植の場合、ドナー(腎提供する人)とレシピエント(腎提供を受ける人)が親子間などの血縁でなければ移植ができないと思っていたり、ドナーとレシピエントの血液型が異なる場合には移植ができないと思っていたりする人がいます。実際には、現在では日本の生体腎移植件数の約半分が、夫婦間の腎移植になっていますし、ドナーとレシピエントの血液型が異なる移植も約30%となっていますので(*2)、血が繋がっていなくても、血液型が違っても、腎移植はできます。ただ、日本移植学会の生体腎移植のドナーガイドラインで、ドナーになれる人は、原則、親族(6親等以内の血族と配偶者および3親等以内の姻族)に限定されていますので、その中での検討になります。

-----そのような腎移植に関するお話は、どの移植施設でも聞くことができるのでしょうか。

腎移植をしっかりと行っている施設であれば、どの施設でも同じ情報を得られると思います。全国の腎移植の情報が知りたい場合は、日本移植学会のホームページに掲載されているファクトブックなどを閲覧してください。ホームページの中には移植手術が可能な病院(献腎移植の実施施設)が掲載されていますが、生体腎移植はそこに掲載されている施設以外でも数多く行われています。
ただ、一つ付け加えておくと、腎移植の適応の判断に関しては、施設によってかなり差があります。非常に安全だと判断される患者さんにのみ移植手術を行う施設と、我々の施設のように、患者さんの希望があった上で、多少のリスクがある場合でも移植ができる可能性があるのであれば手術を行う施設があります。腎移植の適応の判断に関しては、「ある施設で移植ができないと言われたから、他の施設でもできない」ということではないことも知っておいていただいた方がいいと思います。

バナー

☞ 「病院を探そう!」日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第二病院のご紹介ページ

<出典>
*1 Mendelssohn D C et al. Nephrol Dial Transplant 2009;24:555-561
*2 日本移植学会・日本臨床腎移植学会. 腎移植臨床登録集計報告(2022) 移植 2022;57:199-219


この記事を見た人が読んでいるのは

専門家に聞こう!



関連記事


病院検索 閉じる
トップへ