腎移植者インタビュー

3療法(腹膜透析・血液透析・腎移植)経験者インタビュー
松尾 裕子 さん

3療法(腹膜透析・血液透析・腎移植)
経験者インタビュー
松尾 裕子 さん

3療法<font size="2">(腹膜透析・血液透析・腎移植)</font><br/>経験者インタビュー 松尾裕子さん

目次

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Chapter 4: 腎代替療法の選び方

----- これまでの治療選択を振り返って、これから腎代替療法を検討される方々にアドバイスをいただけますか。

松尾さん
治療法を選ぶ際には、自分自身でもそれぞれの治療法について調べてみるべきだと思います。
私は、たまたまシャントトラブルの処置のために名古屋第二赤十字病院(現 日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第二病院)に通っていたことで、自分にとってベストと思える腎移植という治療法に巡り合うことができましたが、それまでは自分にその選択肢があるとは思っていませんでした。移植後、周囲の人たちに主人から腎提供を受けたことを話すと、「よく合った(適合した)ね」とよく驚かれます。夫婦間でも、ドナーとレシピエントの血液型が違っても腎移植ができることを知らない方もまだまだいます。私の家の近くには腎移植を行っている病院が無いようですが、そのような地域では、腎移植の知識に触れる機会も少ないのだと思います。
今はインターネットが普及していて、腎代替療法についても患者さん自身で情報を得やすくなっています。私自身、3つの治療法を経験してそれぞれのメリット・デメリットを感じましたが、治療法を選ぶ際、そのような情報を自分でも調べ、比較できればなお良かったと思います。


腎代替療法の選択を振り返って(0:52)


このインタビュー記事は、日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第二病院より候補者をご紹介いただき、ご本人様に応諾頂けた方を対象に実施しました。事前にご了承いただけた範囲で関連する情報を開示しております。記事の内容につきましては患者様から伺ったお話をそのまま掲載しておりますが、あくまで個人の経験と主観に基づくご意見・ご感想です。


----- 後藤先生、治療法を選択するにあたり、どのように検討を進めたら良いかアドバイスをいただけますか。

後藤先生
まず、患者さんとご家族が「これからどのような生活を送りたいのか」が、検討のスタート地点になると思います。今後の生活に対する希望を整理して伝えていただければ、それに基づいて医療者も選択肢を提示することができます。
ご家族と一緒に考えることも重要です。程度の差はあれ、どの治療法もご家族の生活にかかわってきます。病院で治療法を相談する際にも、できるだけご家族と一緒に話を聞くようにしていただきたいと思います。
また、納得がいくまで、いくつかの病院に相談してみるのも良いでしょう。

----- 先生は治療選択の相談の際、患者さんやご家族にどのようなお話をされていますか。

後藤先生
人生設計と治療計画を併せて考えていただくようお伝えしています。
例えば、最初に受ける治療法として腎移植を選んだ場合、移植した腎臓が15年機能するとして、その間に何をするのか。仕事に励むのか、親御さんの介護をするのか、女性であれば妊娠・出産・育児など、生活の制限が少ない腎移植だからこそできることを計画すべきでしょう。そして、移植腎の機能が失われたとき、次はどの治療法を選ぶのか。腎移植は2回、3回と受けることもできます。2回目の腎移植を受けるのであれば次は誰にドナーになっていただけるのか、あるいは、腹膜透析にするのか、血液透析にするのか。その頃、お子さんは成人しているのか、親御さんはどのような状態にあるのかなど、家庭の状況も考慮する必要があるでしょう。
最初の腎代替療法を選ぶときから、このようにできるだけ長期的なプランを立ててほしいと思っています。

----- 最後に松尾さんから、ご自身の治療選択にかかわった方にお伝えしたいことはありますか。

松尾さん
改めて、人は一人では生きられないということを強く実感しています。私を支えてくれた多くの人たちに感謝をお伝えしたいです。腎提供をしてくれた主人には、感謝の言葉しかありません。後藤先生をはじめ、名古屋第二赤十字病院の先生方や医療スタッフの方々には、今もずっとフォローしていただいており、人生に寄り添っていただけているようで本当にありがたい限りです。
また、3つの治療法を経験して、それぞれの治療法やお薬、医療機器にも助けていただいたと感じています。それらが多くの方々の努力によって生まれ、進歩してきたことにも感謝しています。

後藤先生
これからも腎代替療法は進歩し続け、治療成績が向上していくと思いますが、3つの治療法すべてが進歩することが大切だと思っています。
段階的に治療法を変更していくことは珍しくなく、前の治療の状態は、後の治療にも影響します。透析を経て腎移植を受ける場合、しっかりとした透析で体を良い状態に保つことができていれば、腎移植後の予後も良くなります。
腎移植は近年、移植腎の生着率や患者生存率といった治療成績が向上していますが(*)、透析も、長時間透析など、より良い治療成績を得るための試みが続けられています。医療者も、患者さんごとに腎代替療法の選択順を考えて、継続的に患者さんを診ていくことができれば良いのではないかと思います。
※ 長時間透析:1回6時間以上、週3回を基本とした血液透析

☞ 参考:ドクターコラム「移植腎の生着率と患者生存率について

松尾さんと後藤先生

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☞ 【参考】
腎移植者インタビュー
生体腎ドナーインタビュー
透析患者インタビュー

<出典>
* 日本移植学会・日本臨床腎移植学会. 腎移植臨床登録集計報告(2022)移植 2022;53:199-219


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