どのような病院を受診すればいいですか?
どのような病院を受診すればいいですか?
腎臓内科学 教授 丸山 彰一 先生
2017.07.20 教えて!ドクター
管理栄養士コラム
自治医科大学附属病院 臨床栄養部 主任管理栄養士 川畑 奈緒 先生
(腎臓病病態栄養専門管理栄養士)
自治医科大学附属病院 臨床栄養部 主任管理栄養士
川畑 奈緒 先生
(腎臓病病態栄養専門管理栄養士)
掲載日:2019/06/13
エネルギーは、生命機能の維持や身体活動に必要不可欠なものです。栄養学では、エネルギーの量(熱量)を表すとき、カロリー(cal)、キロカロリー(kcal)の単位が用いられます。
食事の三大栄養素である脂質、タンパク質、炭水化物の熱量は、1 gあたり脂質 9 kcal、タンパク質 4 kcal、炭水化物 4 kcalなので(*1)、 ある食品にこれらが何g含まれているか分かれば、エネルギー摂取量(それぞれの熱量の和)を算出できます。
エネルギー消費量は、基礎代謝量、身体活動(生活活動や運動)や食後に生じる代謝量からなります。
エネルギーの収支バランスは、(エネルギー摂取量)-(エネルギー消費量)として定義され、エネルギー摂取量がエネルギー消費量を上回る状態が続けば体重が増加し、逆にエネルギー消費量がエネルギー摂取量を上回れば体重が減少します。
一般人におけるエネルギー必要量は、「日常生活で良好な健康状態を長期間維持するのに必要なエネルギー量」とされており、短期間の場合には、「そのときの体重を保つ(増加も減少もしない)ための適当なエネルギー」と定義されています。つまり、エネルギーの収支バランスがゼロの状態を言い、(エネルギー消費量)=(エネルギー摂取量)=(エネルギー必要量)となります。
しかし、慢性腎臓病の患者さんでは、目標とするべき体重を、現在の体重や標準体重※などのいずれにするかは、病態に応じて異なります。
※ 標準体重:身長に対する標準的な体重。身長(m)×身長(m)×22 で算出される。
また、慢性腎臓病の患者さんの食事療法では、腎機能低下の程度に応じたタンパク質量の制限が必要となりますが、タンパク質量を減らすと、その分のエネルギー摂取量が減ります。エネルギーが不足すると、身体は、その分のエネルギーを補うために筋肉(タンパク質)を分解し(蛋白異化)、エネルギーを得ようとします。しかし、同時に筋肉が分解されたことで尿素窒素が増加し、腎臓への負担が増えます。
1)主食をでんぷん製品やタンパク質調整食品に替える
食事における副食(魚介類、肉類、卵類、豆類、乳・乳製品など)の量を減らしてタンパク質制限をすると、前述のとおり、エネルギーの摂取量も不足しやすくなります。タンパク質は主食(ご飯、パン、麺類など)にも含まれているので、主食にでんぷん製品やタンパク質調整食品を利用すると、主食から得られるタンパク質を減らしつつ、エネルギー摂取量を確保することができます。そして、主食で減らした分のタンパク質を副食から得ることができるようになり、それに伴ってエネルギー摂取量も増えるので、タンパク質制限によるエネルギー不足を防ぐことができます。
2)脂質(油)を利用する
油は高カロリーのため、天ぷらやフライなどの揚げ物にすると、エネルギーアップが図れます。サラダにマヨネーズをかけたり、パンにマーガリンやバターを塗ったり、コーヒーに生クリームを入れるとエネルギーを補給することができます。チャーハンなど、主食に油を使うのも効果的です。
◎ 脂質(油)を利用したエネルギーアップの例
3)炭水化物を利用する
サイダーや砂糖を入れた紅茶やコーヒー、あめやゼリーなどの嗜好食品からもエネルギーを補給することができます。
参考文献)
1.日本人の食事摂取基準2015年版
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000083871.pdf
2.慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版
https://cdn.jsn.or.jp/guideline/pdf/CKD-Dietaryrecommendations2014.pdf
<出典>
*1 菱田明、佐々木敏 監修 日本人の食事摂取基準2015年版 第一出版株式会社 2014:153-161
*2 Kopple JD, et al. Effect of energy intake on nitrogen metabolism in nondialyzed patients with chronic renal failure. Kidney Int 1986;29:734‒742
*3 日本腎臓学会 慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版 日腎会誌2014;56:553‒599
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