教えて!ドクター

Q

「慢性腎炎」と診断されました。
治りますか?

「慢性腎炎」と診断されました。
治りますか?

回答いただいた先生
筑波大学医学医療系臨床医学域腎臓内科学 教授 山縣 邦弘 先生
筑波大学医学医療系臨床医学域腎臓内科学
教授 山縣 邦弘 先生
慢性腎炎

掲載日:2023/04/01

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A

慢性腎炎は、慢性腎臓病(CKD)の原因疾患の1つです。腎臓の糸球体の炎症が長期間続く病気の総称で、大半は慢性糸球体腎炎という病気です。

※まれに尿細管・間質の炎症による慢性尿細管間質腎炎という病気もあります。また、全身性エリテマトーデス(SLE)などのさまざまな自己免疫疾患(膠原病)の経過中に慢性腎炎の経過をたどる場合や、アルポート症候群に代表される遺伝性の腎疾患で慢性腎炎の経過をたどる場合もあります。

慢性糸球体腎炎は、蛋白尿(ときに血尿)が1年以上持続し、高血圧や腎機能の低下がゆっくり進行する病気です。慢性糸球体腎炎の原因は腎生検(腎臓の組織をとってきて顕微鏡で詳しく調べる検査)によって診断され、以下のような疾患に分類されます。

☞ 参考:教えて!ドクター「腎生検はどのような検査ですか?痛いのですか?

<慢性糸球体腎炎>
・IgA腎症
・膜性腎症
・膜性増殖性糸球体腎炎
・巣状分節性糸球体硬化症
・微少変化群
 など

近年では、慢性糸球体腎炎の1つである膜性増殖性糸球体腎炎の一部を、発症のメカニズムの特徴からC3腎症という新しい病気に分類するようになり、それぞれの病気の特徴に応じた効果的な治療薬を開発しようと研究が進められています。

☞ 参考:C3腎症患者さんとご家族向け特設コンテンツ

慢性糸球体腎炎は、軽症のうちはほとんど自覚症状がないため、基本的には、毎年健診で尿検査を受けるなどしない限り、早期発見ができません。最も多い疾患であるIgA腎症では、扁桃腺炎などの上気道の細菌感染のあとにコーラ色の血尿(けつにょう)が出ることもありますが、大半の場合は、徐々に腎機能が低下して末期腎不全に至るまで自覚症状が現れません。末期腎不全になると、むくみや疲労感、食欲不振などの症状が現れるようになり、腎移植透析導入が必要になります。

ただし、早期に正しい診断を受けて治療を開始すれば、治癒する場合もあります。治療は、病型に合わせた専門的なものとなることが多いので、まずは腎臓専門医(腎臓内科)を受診し、指示に従って、しっかりと治療を続けましょう。

☞ 参考:教えて!ドクター「慢性腎臓病を治療するためには、どのような病院を受診すればいいですか?

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