
(慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常)①
2019.12.05 慢性腎臓病のドクターコラム
慢性腎臓病の原疾患(原因疾患)にはさまざまなものがあります。
監修:山梨大学医学部 第三内科 教授 北村 健一郎 先生
腎硬化症は、高血圧によって腎臓の細い血管や糸球体が硬くなり、血液をうまくろ過できなくなる疾患です。透析導入の原因として2番目に多く、近年、その割合も増加しています(*1)。
5~10年以上(*3)にわたって、軽症(Ⅰ度)~中等症(Ⅱ度)の高血圧(収縮期血圧140~179 mmHg かつ/または 拡張期血圧90~109 mmHg(*4))が続くと、しだいに腎臓の細い動脈の壁が厚くなり、動脈内が狭くなります。すると、その先の糸球体への血流が少なくなり、その結果、糸球体が硬くなったり、尿細管が萎縮したりして、血液中の老廃物や余分な水分を尿としてうまく排泄できなくなります。また、腎臓自体も萎縮していきます。
腎硬化症は、初期段階では自覚症状がなく、尿蛋白も比較的少ないのですが、原因である高血圧を放置しておくと、少しずつ腎機能障害が悪化していきます。そして、腎機能障害の悪化が高血圧を悪化させる悪循環が生まれ、次第に腎硬化症が進行していきます。
また、腎機能障害が悪化すると尿蛋白が増え、尿蛋白の増加も腎機能障害を更に悪化させます。
腎硬化症の治療は、原因である高血圧の治療が基本です。主に薬物療法と生活習慣の改善を行います。
<出典>
*1 日本透析医学会 統計調査委員会 図説 わが国の慢性透析療法の現況(2020年12月31日現在)
*2 日本腎臓学会 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018
*3 矢崎義雄(編) 内科学 第11版 朝倉書店
*4 日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2014
*5 日本腎臓学会 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018
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