どのような病院を受診すればいいですか?
どのような病院を受診すればいいですか?
腎臓内科学 教授 丸山 彰一 先生
2017.07.20 教えて!ドクター
慢性腎臓病の原疾患(原因疾患)にはさまざまなものがあります。
監修:福井大学 学術研究院医学系部門 腎臓病態内科学 教授 岩野 正之 先生
「慢性糸球体腎炎」とは、腎臓の糸球体が炎症を起こして、血液をうまくろ過できなくなる疾患を総称したものです。通常はろ過されない血液中のタンパク質や赤血球が尿中にもれ出る状態が、長期間続きます。若年成人の腎臓病では最も多く(*1)、透析導入の原因としても糖尿病性腎症、腎硬化症に次いで第3位です(*2)。
尿中にもれ出るタンパク質が大量になり、血液中のタンパク質が少なくなると、脚や顔などにむくみが現れたり、血液中の悪玉コレステロールが増えたり(脂質異常症)、血液が固まりやすくなったり(凝固能亢進)します。このような状態をネフローゼ症候群といい、多くの慢性糸球体腎炎でそれらの現象が見られます。慢性糸球体腎炎の治療においては、ネフローゼ症候群への対処も重要になります。
慢性糸球体腎炎の主な疾患は以下のとおりです。疾患は腎生検によって特定され、それぞれの病態や症状にあわせて治療が行われます。
☞ 教えて!ドクター「腎生検とはどのような検査ですか?痛いですか?」
IgA腎症(アイ・ジー・エーじんしょう)
抗体※の1つである免疫グロブリンA(IgA)が糸球体に沈着する、慢性糸球体腎炎の代表的な疾患です。
※抗体:病原体などの異物を体内から排除する働きを持つ、免疫グロブリンというタンパク質。
膜性腎症(まくせいじんしょう)
抗体の1つである免疫グロブリンG(IgG)などが糸球体に沈着する疾患です。がんや肝炎などの疾患が原因となる場合もあります。慢性糸球体腎炎の中では、中高年での発症が比較的多いことも特徴です。
膜性増殖性糸球体腎炎(まくせいぞうしょくせいしきゅうたいじんえん)
糸球体の血管の壁が厚くなる疾患です。近年、多くの場合でC型肝炎などの感染症が原因であることがわかってきました。
巣状分節性糸球体硬化症(そうじょうせいぶんせつせいしきゅうたいこうかしょう)
糸球体の一部が硬くなる疾患です。この疾患に伴うネフローゼ症候群は、治療に反応しにくいことが特徴です。
<出典>
*1 日本腎臓学会 CKD診療ガイド2012
*2 花房規男 他. わが国の慢性透析療法の現況(2021年12月31日現在) 透析会誌 2022;55:665-723
*3 矢崎義雄(編)内科学 第11版 朝倉書店
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