食事療法を知る

腎臓病食の調理の基本

増子記念病院 管理栄養士 朝倉 洋平 先生

腎臓病食の調理の基本

掲載日:2016/04/28

“これだけは知っておきたい!腎臓病食の調理の基本”

慢性腎臓病の進行を遅らせるための食事療法(*1,2)のポイントを押さえたうえで、必要な栄養量を摂取するための調理の基本について学びましょう。

1)タンパク質の制限 ~良質なタンパク質を取り入れましょう~

① 良質なタンパク質を取り入れよう 良質なタンパク質
タンパク質の制限が必要な中で、良質なタンパク質を効率よく摂取するためには、魚・肉・卵・乳製品類などの、必須アミノ酸※1をバランスよく含んでいる食品(=アミノ酸スコア※2が100の食品)を選ぶようにしましょう。具体的な食品の選び方や使用量については、管理栄養士に相談しましょう。
※1 必須アミノ酸:タンパク質を構成する20種類のアミノ酸のうち、体内で合成することができない9種類のアミノ酸のこと
※2 アミノ酸スコア:タンパク質に含まれる9種類の必須アミノ酸のバランスを数値化したもの。
数値が100に近いほど良質なタンパク質とされている。一般的には、肉や魚などの動物性タンパク質と比較すると、米や小麦などに含まれる植物性タンパク質はアミノ酸スコアが低い傾向にある。


② 治療用特殊食品を利用して、主食に含まれるタンパク質を控えましょう
治療用特殊食品は、低タンパクの食事療法のために開発された特殊な食品です。大きくは、低タンパクご飯などのタンパク質調整食品と、ゼリーなどのエネルギー調整食品に分けられます。必要に応じて、米・パン・麺類などをタンパク質調整食品に置き換えれば、主食から摂取するタンパク質を抑えることができます。主食からのタンパク質を抑えた分、副菜として肉や魚、卵類などの摂取量を増やすことができ、無理なく食事療法を続けやすくなります。また、肉や魚、卵類の摂取量を増やすことは、エネルギーの確保や良質なタンパク質の摂取にも繋がります。

☞参考「食事療法のポイントと食事療法基準:タンパク質の制限


2)食塩の制限 ~旨味を生かして、調味料は少なめに~

① 減塩調味料を利用しましょう 減塩調味料
治療用特殊食品として、しょうゆやソース、味噌などの減塩調味料が販売されています。一般食品の調味料の代わりに利用してみるのも良いでしょう。
ただし、減塩調味料はナトリウムの代わりに塩化カリウムを多く含むことがあるため、注意が必要です。慢性腎臓病の方に注意が必要なカリウムを考慮した減塩調味料を選択すると安心でしょう。


② 加工食品を頻繁に利用しない
加工食品、インスタント食品、レトルト食品などは、その使い勝手が良いため、ついつい頻繁に利用してしまいがちな食品です。しかしこれらの食品は、一般的に、塩分が多く含まれているため、使用する頻度や量に注意しましょう。

加工食品等


③ 味付けは調理後にしましょう 調理後塩
肉や魚、野菜類などを、茹でたり焼いたりするときには、調味料で下味をつけないようにしましょう。調理後、料理の表面に味付け(塩ふり)をすることで、味が感じやすくなり、結果的に、塩分を抑えることができます。


④ 食材そのものの旨味を活かしましょう
新鮮な食材には、その素材自体に旨味があります。調味料は、ほどほどにし、素材そのものが持つ味を楽しみましょう。

⑤ だし(出汁)を効かせましょう だし
だしを効かせて旨味を出すと、減塩でも料理を十分美味しくいただくことができます。ただし、顆粒だしなどのインスタント食品には、元々塩分が含まれているので、注意が必要です。


⑥ 香辛料や香味野菜を利用しましょう
こしょう、わさび、からし、カレー粉、山椒、唐辛子などの香辛料、みつば、ねぎ、みょうが、しそ、しょうが、春菊などの香味野菜を利用しましょう。また、レモンやゆずなどの果汁、酢などの酸味も上手に利用していきましょう。

香辛料

☞参考「食事療法のポイントと食事療法基準:塩分の制限

3)適正なエネルギーの確保 ~不足分は脂質と炭水化物で補う~

腎臓への負担を減らすために、タンパク質を制限すると、食事からのエネルギーが不足しやすくなります。そのため、不足分は脂質と炭水化物で補うことが必要となります。また、治療用特殊食品であるタンパク質・エネルギー調整食品の「クッキー、せんべい、チョコレート、ゼリー、ムース」などを利用する方法もあります。

① 脂質でエネルギーを補給しましょう 揚げ物
油を使用するのが効果的です。天ぷらやフライなどの揚げ物はもちろん、炒めものなどを作るときには、油を多めに利用すると良いでしょう。また、サラダにはオリーブオイルをかけるのもエネルギーアップとなります。

② 炭水化物でエネルギーを補給しましょう
コーヒー、紅茶などの飲み物に砂糖を多めに利用すると良いでしょう。また、あめ玉、ゼリーなど、砂糖を主成分とした菓子類で補いましょう。
治療用特殊食品であるエネルギー調整食品「粉飴®」を利用する方法もあります。粉飴®は、タンパク質を含まず、糖質のみを成分としています。砂糖と同じように使用することができ、特徴として、甘みは砂糖の約20%、エネルギーはほぼ同じということです。そのため、粉飴®は1回にたくさんの量を使用することができ、甘さを控えて効率よくエネルギーを補給することができます。使用例としては、砂糖と同様にコーヒーや紅茶などに使用することができます。甘みが弱い食品のため、全粥(おかゆ)に混ぜ込み、エネルギー補給として利用することも可能です。
料理では、タンパク質をほとんど含まない「はるさめ」が利用しやすくなっています。はるさめは、色々な料理(炒め物、お浸し、煮物、汁物など)に使用することができ、エネルギー補給と同時に、食事自体のボリュームを増すこともできます。炒め物など、油を絡ませる調理においては、さらにエネルギーアップが期待できます。

ゼリー飴玉

☞参考「食事療法のポイントと食事療法基準:適正なエネルギーの確保

4)カリウム制限 ~カリウムは水に溶かして減らす~

慢性腎臓病のステージ(病期)によって、カリウムの制限が必要になります(*3)

① 水に溶ける性質を利用しましょう ゆでる
カリウムは、水に溶ける性質があります。野菜は、「茹でる」、「水にさらす」などの下処理をしてから調理しましょう。また、「茹でる」などの加熱する調理法は、より多くのカリウムを食品から水に溶け出すことができるため効果的です。


② カリウムを多く含む食品に注意しましょう
カリウムはさまざまな食品に元々含まれていますが、特に多く含む食品は「果物、芋、海藻、野菜類」などです。具体的な食品の選び方や使用量については、管理栄養士に相談しましょう。

③ 果物に注意しましょう
ドライフルーツは、水分量が少なく成分が凝縮されているため、少量でも多くのカリウムを含んでいるため、出来るだけ控えましょう。
果物の缶詰はシロップ漬けの状態であり、果肉に含まれるカリウムは、生の果物に比べて約半分となっています。残り半分のカリウムはシロップ中に溶け出しているため、シロップは摂取しないようにしましょう。果物の缶詰を摂取する場合でも、食べ方や量に注意する必要があります。 フルーツ
(例)(100g中のカリウム含有量)
・みかん(生):150㎎
・みかん(缶)果肉:75㎎
「出典」食品成分表2007.5訂増補、女子栄養大学出版部

☞参考「食事療法のポイントと食事療法基準:カリウムの制限

※食事療法は患者さんの状態によって、その内容は大きく変わります。
 必ず主治医や管理栄養士の指導を受けながら、実践してください。

*1 日本腎臓学会 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013:25
*2 日本腎臓学会 慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版
*3 日本腎臓学会 慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版:6-7


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