2016.04.07 透析の基本情報
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Chapter 2: 血液透析以外の腎代替療法の選択に関して
-----CKDが進行し、末期腎不全となってしまった場合の腎代替療法として、血液透析以外には腎移植や腹膜透析がありますが、どのように治療選択すればいいのでしょうか。
腎移植が、血液透析に比べて長期の治療成績が良いことや(*1)、日常生活における制限がほとんどないという観点から考えて、特に若い人では、腎移植が第一に選択されるべきだと考えます。しかし献腎移植では、登録後、実際に移植に至るまでの期間は成人で平均16年ほど(*2)かかりますので、早期の移植は期待できず、選択肢は生体腎移植となりますが、必ずしもドナーとなっていただける方がいらっしゃるわけではありません。
※2021年末時点では、献腎移植の待機期間は平均約14年8カ月(小児を含む)(*3)です。
CAPDは通院が月1回程度ですので、仕事をしている人にとっては、仕事への支障が少なく行える治療法とされていますが、まだ尿量がある場合はそれなりの機能が確保されるものの、尿量が減少してくると、血液透析と比較して圧倒的に透析効率は悪くなります。また、腹膜炎などの理由を含め、数年間で血液透析に移行する患者さんが多く、最近ではCAPD患者数が減少し続けています。(*4)
ただ今後は、高齢化やその他の理由により施設への通院血液透析が困難となった場合、家族などのサポートや訪問看護を利用したCAPD患者さんが増加する可能性はあると思います。
-----今後、献腎移植を増やすにはどうすればいいのでしょうか。
腎移植に関しては、もっと大胆な移植への誘導政策(特に臓器提供施設への経済的インセンティブが働く)がない限り、日本における献腎ドナーが増加する状況は生まれないと思います。再生医療による臓器移植が可能となる日が来ることを待つばかりです。
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<出典>
*1 Czyżewski L, et al.Ann Transplant. 2014;19:576-85
*2 日本臓器移植ネットワーク NEWS LETTER 19,2015
*3 日本臓器移植ネットワーク NEWS LETTER 26,2022
*4 日本透析医学会 統計調査委員会 図説 わが国の慢性透析療法の現況(2016年12月31日現在)