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移植した腎臓は
どうして機能を失うのですか?

移植した腎臓は
どうして機能を失うのですか?

回答いただいた先生
香川大学医学部 腎臓内科 診療科長 祖父江 理 先生
香川大学医学部 腎臓内科 診療科長 祖父江 理 先生
移植した腎臓はどうして機能を失うのですか?

掲載日:2018/12/13

A

免疫抑制薬の進歩や、移植手術前の評価、術後管理の向上などにより、2000年以降、5年・10年の短期・中期的な移植腎の生着率(移植腎が機能している期間を示す指標)は向上しており、現在は20年以上の長期生着が目標となっています(*)。長期に移植腎を維持するためには、移植後の生活習慣病や原疾患の再発を含めたさまざまな問題の解決が必要ですが、現在も移植腎が機能を失う(廃絶する)大きな要因は、拒絶反応です(*)

移植腎廃絶の理由

<拒絶反応とは>
人間の体には、異物(自分ではないもの)が侵入すると、それを排除しようとする「免疫」という防御システムがあります。一卵性双生児の兄弟・姉妹から提供された場合などのごく一部の例外を除き、移植腎は移植を受けた人(移植者)の体から異物と判断され、免疫系の作用によって攻撃を受けます。このような反応を「拒絶反応」といいます。

<急性拒絶反応と慢性拒絶反応>
拒絶反応には、主に移植後3カ月以内に起こる急性拒絶反応と、それ以降に起こる慢性拒絶反応があります。
急性拒絶反応では、細胞障害性Tリンパ球と呼ばれる白血球が移植腎を攻撃し、腎機能が急激に低下します。ただし、近年は免疫抑制薬が進歩し、急性拒絶反応によって移植腎が廃絶することは少なくなりました。
慢性拒絶反応では、Bリンパ球と呼ばれる白血球が移植腎に対する抗体(異物を体内から排除する働きを持つ、免疫グロブリンというタンパク質)を作り、その抗体が移植腎を攻撃することで、腎機能がゆっくりと低下していきます。

拒絶反応

移植後どれだけ時間が経っても、移植腎は移植者の体にとっては異物です。よって、何もしないと、免疫の働きによって移植腎に対する抗体が作られ、慢性拒絶反応によって次第に移植腎の機能が失われていきます。また、移植後3カ月以降であっても、急性拒絶反応が起こることもあります。
このような拒絶反応を防ぐために、移植後は毎日決められた通りに免疫抑制薬を服用する必要があります。ただし、免疫抑制が強すぎると、感染症などの合併症を起こしやすくなるため、免疫抑制薬の用量調整は非常に難しく、慢性拒絶反応を完全に防ぐことは困難です。

☞ 参考:ドクターコラム「腎移植で服用する免疫抑制薬

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* 日本臨床腎移植学会・日本移植学会 腎移植臨床登録集計報告(2018) 移植 2018;53:89-108


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