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以下は、2003年に調査した透析患者さんの平均余命です。
例えば、50歳の透析患者さんの平均余命は、男性で14.6年、女性で16.7年、60歳の透析患者さんの平均余命は、男性で9.9年、女性で11.3年となっています(*1)。一般人に比べ、透析患者さんの余命は約半分程度と言われています(*1)。
ただし、余命には個人差があり、長期間、透析を続けながら生活されている患者さんも少なくありません。2016年末時点で30年以上透析を続けていた患者さんは、全国で約7,000人いらっしゃいました(*2)。
また、前述のデータは10年以上前のもので、現在は透析医療も進歩しており、治療成績が向上している可能性もあります。
透析医療の進歩の1つとして、近年多くの透析施設で行われるようになったオンラインHDFがあります。より効率的に老廃物を除去することができ、透析に関わる合併症の改善や予防が期待できます。
また、現在一般的に行われている血液透析は1回4~5時間程度ですが、透析時間を1回6時間以上にする長時間透析においては、合併症の改善だけでなく、生命予後の改善も期待できるという報告もあります(*3)。
少しずつですが、自宅で血液透析を行う在宅血液透析も行われるようになってきています。在宅血液透析には、長時間透析や、週5回以上の頻回透析を行いやすいというメリットもあります。
透析医療も、より良い治療成績を求めて、さまざまな試みが行われています。
(補足)神戸大学大学院腎臓内科・腎血液浄化センター 教授・センター長 西愼一先生
もう1つの腎代替療法である腎移植は、一般的に透析療法よりも生命予後が良いとされています(*4)。
こちらはアメリカのデータですが、どの年代においても腎移植者の方が透析患者よりも平均余命は長くなっています。
移植医療が進歩した現在では、腎移植を受ける患者さんと腎提供を行うドナーの血液型が異なっていても移植はできますし、70代や、場合によっては80代で腎移植を受ける方もいらっしゃいます(*5,6)。
☞ 腎移植の基礎知識「ABO血液型不適合移植」「高齢者の腎移植」
腎援隊でも、腎移植について相談ができる病院を紹介しています。一度病院に相談して、腎移植という選択肢について考えてみるのも良いと思います。
☞ 参考:教えて!ドクター「Q. 透析をやめることはできますか?」
☞ 「病院を探そう!」奈良県立医科大学附属病院、神戸大学医学部附属病院のご紹介ページ
<出典>
*1 日本透析医学会 統計調査委員会 図説 わが国の慢性透析療法の現況(2005年12月31日現在):43-47
*2 日本透析医学会 統計調査委員会 図説 わが国の慢性透析療法の現況(2016年12月31日現在):9
*3 前田利朗 6時間透析における生存率-20年の経験から- 日本透析医会雑誌2010;25:95-100
*4 USRDS Annual Data Report 2017
*5 日本臨床腎移植学会・日本移植学会 腎移植臨床登録集計報告(2018) 移植 2018; 53:89-108
*6 日本臨床腎移植学会・日本移植学会 腎移植臨床登録集計報告(2008) 移植 2008; 43: 448-457