教えて!ドクター

Q

慢性腎臓病(CKD)ですが
食事は減らした方がいいですか?

慢性腎臓病(CKD)ですが
食事は減らした方がいいですか?

回答いただいた先生
岡山大学 腎・免疫・内分泌代謝内科学 教授 和田 淳 先生
岡山大学 腎・免疫・内分泌代謝内科学
教授 和田 淳 先生
食事

掲載日:2023/10/06

A

慢性腎臓病の食事療法は、必ずしも食事の量を減らせばよいわけではありません。

たとえば、食事の量を減らすことによって起こる問題の1つとして、サルコペニアがあります。サルコペニアとは、筋肉量が減少し、筋力や身体能力が低下した状態です。慢性腎臓病になるとサルコペニアを起こす可能性が高くなり、また、サルコペニアになると生命予後が悪くなるとされています(*1)

サルコペニア


慢性腎臓病の食事療法では、基本的にタンパク質の摂取を制限します。しかし、タンパク質は筋肉を構成する栄養素であり、摂取量が減るとサルコペニアを起こしやすくなります(*1)
また、タンパク質の摂取を制限すると、食事全体の量が減り、それに伴ってエネルギーも不足しがちになります。エネルギーが不足すると、身体は筋肉などのタンパク質を分解して不足分を補おうとするため、サルコペニアを起こしやすくなります(*2)

エネルギー不足のサルコペニア

サルコペニアを起こさないためには、タンパク質は制限しながら適切な量を摂取し、エネルギーは必要量を十分に確保する必要があります(*1)

慢性腎臓病の食事療法では、単純に食事の量を減らすのではなく、さまざまな栄養素の摂取量を適切にコントロールすることが重要です。また、病気のステージ(病期)や合併症の状態、性別、年齢、身体活動レベルといった要素によっても、食事療法の内容は変わってきます。肥満症や2型糖尿病のある方では、食事の量の制限が必要な場合もあります。 食事療法は、必ず主治医や管理栄養士と相談し、指導を受けながら行いましょう。

食事指導


☞ 参考:基礎知識「慢性腎臓病の食事療法
☞ 参考:教えて!ドクター「慢性腎臓病を治療するためには、どのような病院を受診すればいいですか?

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<出典>
*1 サルコペニア・フレイルを合併したCKDの食事療法検討WG. 日本腎臓学会 サルコペニア・フレイルを合併した保存期CKDの食事療法の提言 日腎会誌 2019;61:525‒556
*2 山田実. サルコペニア 予防と改善 理学療法学 2013;40:580-582


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