ドクターインタビュー

奈良県立医科大学附属病院 透析部 教授

奈良県立医科大学附属病院 透析部 教授

吉田 克法 先生

吉田 克法 <font size="4">先生</font>

奈良県立医科大学附属病院 透析部は奈良県における透析医療の中心的役割を担っており、末期腎不全患者さんの透析導入から奈良県全域の維持透析患者さんの合併症対応まで行っています。また、奈良県の医療施設からの血液透析を含めた種々の血液浄化療法に関する治療相談や腎移植の相談を受けており、腎移植症例も年間20件を超えています。
長年、血液透析、腹膜透析、腎移植医療に携わってこられた、奈良県立医科大学附属病院 透析部 病院教授の吉田克法先生に、腎代替療法の選択と最近の透析医療について、そして、奈良県立医科大学附属病院におけるCKD治療と今後の取組みについてお聞きしました。

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取材日:2015/11/09

目次

Chapter1: 腎代替療法の選択について

-----慢性腎臓病(CKD)が進行し、末期腎不全となってしまった場合には、腎代替療法として、透析療法や腎移植がありますが、いつ、どのように治療を選択すればよいのでしょうか。

最近は、CKDの早い段階で治療を行い、なるべくCKDを進行させないようにするというのがCKD治療の目的となっています。しかし、進行抑制の治療が効かなくなった場合は腎代替療法を選択しなければなりません。以前は、腎代替療法を検討、選択していた時期は、CKDステージの5(末期腎不全)に至ってからでしたが、現在はCKDステージの3(腎機能の中等度~高度低下)または4(腎機能の高度低下)、すなわち腎機能がまだある程度残っている段階で腎代替療法の選択について検討する時代になっています。
そのため、腎代替療法を検討するタイミングでは、すぐに腎移植や透析をしなくてはならないということではありません。その時点で、どの代替療法が自分に一番合っているのかということを、患者さんの原疾患や体調をみながら、そして一番大事なのが人生観やどのような社会生活を営んでいらっしゃるかによって決めるのがいいと思います。

-----それぞれの治療の特徴によって勧める順番というのもあるのでしょうか。

吉田先生2

私が医師になったころ、今から30~40年前は、透析導入になったら、その先の平均余命は3年、5年と大変短い時代がありましたが、現在は血液透析、腹膜透析いずれも治療成績が大変良くなっており、今では40年以上血液透析を続けておられる方もいらっしゃいます。
このようなことからも、現在の血液透析、腹膜透析は素晴らしい治療ですが、その治療だけで本来の腎臓が持つ力をまかなえるかというとそうではありません。そう考えると、もちろんドナーがいらっしゃっての話ですが、(失ってしまった)腎機能をまかなうためには、腎移植が一番の治療だと思っています。
ただ、どうしてもドナーとなっていただける方がいらっしゃらない場合は、透析療法を選択するしかありません。その場合、当院では年齢に関わらず、腹膜透析が可能な人にはまず腹膜透析を勧めております。血液透析に比べて、日常生活の制限が少ないですし、腎機能を温存しながら治療を続けることができるからです。その後、血液透析の選択となりますが、例えば高齢者で生活的に安定している人に関しては血液透析も非常にいい選択だというお話をしています。

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