教えて!ドクター

Q

蛋白尿(たんぱくにょう)「2+」「3+」は
どのくらい悪いのですか?

蛋白尿(たんぱくにょう)
「2+」「3+」は
どのくらい悪いのですか?

回答いただいた先生
琉球大学病院 血液浄化療法部 診療教授・部長 古波蔵 健太郎 先生
琉球大学病院 血液浄化療法部 診療教授・部長
古波蔵 健太郎 先生
健診結果

掲載日:2024/06/20

A

蛋白尿(たんぱくにょう)とは、尿中に基準値以上のタンパク質が排泄されている状態のことです。
一般的な健康診断などで行われる蛋白尿の検査は「尿中一般物質定性半定量検査」というもので、採取した尿に試験紙をひたし、色の変わり具合で尿中のタンパク濃度の程度を調べます。

結果は一般的に「-」、「±」、「1+」、「2+」、「3+」の5段階や、「4+」を加えた6段階で判定されます。「±」以上が『蛋白尿』とされ、+の前の数字が大きいほど尿中のタンパク濃度が高いことを示します。日本腎臓学会が定める基準では、「±」を軽度蛋白尿、「1+」以上を高度蛋白尿としています(*1)。つまり、「2+」や「3+」は、尿中に排泄されているタンパク質がかなり多い状態です。

以下は、尿中一般物質定性半定量検査の判定が示す具体的なタンパク濃度の一例です(試験紙によって異なる部分があります)。

尿蛋白試験紙法の表示値

蛋白尿の程度は 末期腎不全や心臓病などのリスクを教えてくれる

蛋白尿が3カ月以上持続的に出ている場合、慢性腎臓病(CKD)と診断されます(*2)。慢性腎臓病が進行すると、透析腎移植が必要になるほど腎臓の機能が低下して「末期腎不全」という状態になりますが、蛋白尿の程度が高いほど、将来的に末期腎不全になるリスクが高いことが報告されています(*3)。また、蛋白尿と血尿(尿潜血)の両方が陽性の場合は、蛋白尿単独で陽性の場合よりも末期腎不全になるリスクが高いことも報告されています(*3)。たとえ腎臓の機能が低下していない場合でも、蛋白尿は、腎臓への何らかの傷害機転(攻撃する因子)が生じている可能性を教えてくれます。

また、蛋白尿陽性の方は、将来的に心臓病や脳卒中などの怖い病気を発症するリスクが高いことも知られており(*4)、特に糖尿病や高血圧がある方は、そのリスクがより高いことが示されています(*5)

以上から、蛋白尿を末期腎不全(透析)や心臓病などのリスクを知らせる"警告"と捉えて、注意深く対処する必要があります。

蛋白尿の程度と末期腎不全の発症率

早めに病院を受診し 治療について相談しましょう

蛋白尿が「2+」や「3+」で、まだ病院にかかっていないようであれば、早めに病院を受診してください。お住まいの近くに腎臓内科の診療を行っている開業医などがあれば、そちらを受診することが望ましいですが、そのような病院がない場合は、まず近隣の内科などを受診しましょう。その上で、腎臓内科がある病院の紹介について、主治医に相談してみるといいでしょう。特に尿蛋白と尿潜血がともに「2+」や「3+」である場合、腎機能が急速に悪化する疾患が隠れている場合があるため、たとえ自覚症状がない場合でも速やかに病院を受診しましょう。
もし、蛋白尿が持続して慢性腎臓病と診断されたとしても、必ずしも末期腎不全になるわけではありません。早期に治療を開始すれば、慢性腎臓病の進行を抑えられる可能性は高くなります。
蛋白尿は放置せず、原因をつきとめて、早めに適切な治療を行いましょう。

受診

☞ 参考:教えて!ドクター「慢性腎臓病(CKD)になると、必ず末期腎不全になりますか?
☞ 参考:教えて!ドクター「慢性腎臓病(CKD)を治療するためには、どのような病院を受診すればいいですか?

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<出典>
*1 日本腎臓学会. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023 東京医学社 2023: 18
*2 日本腎臓学会. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023 東京医学社 2023: 3-4
*3 Iseki K, Ikemiya Y, Iseki C, Takishita S. Proteinuria and the risk of developing end-stage renal disease. Kidney Int. 2003;63:1468-1474
*4 Irie F et al. The relationships of proteinuria, serum creatinine, glomerular filtration rate with cardiovascular disease mortality in Japanese general population. Kidney Int. 2006; 69: 1264-1271
*5 Nakayama M et al. Increased risk of cardiovascular events and mortality among non-diabetic chronic kidney disease patients with hypertensive nephropathy: the Gonryo study. Hypertens Res. 2011; 34: 1106-1110


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