どうしたらいいですか?
教授 山縣 邦弘 先生
2023.04.01 教えて!ドクター
教えて!ドクター
掲載日:2024/8/22
血液検査項目の1つであるクレアチニン(Cr、CRE、Cre)は、昔から使われている腎臓の機能(腎機能)の指標です。以下の基準範囲(*1)を上回る場合は、腎機能に異常がある可能性があります。
ただし、クレアチニン値は、すごく悪くなった腎機能障害の判定には適していますが、軽度の腎機能障害を判定するにはクレアチニン値による評価だけでは不十分とされており、以下のeGFR(イー・ジー・エフ・アール)の方が適しています。そのため、慢性腎臓病の評価指標としてeGFRが採用されています。クレアチニン値のほか、eGFRがどれくらいであるかを、まず把握することが大事です。
クレアチニンは腎機能の予測に有用ですが、より正確に腎機能を評価するため、近年ではeGFRが一般的に用いられています。eGFRは、クレアチニンの値と年齢、性別によって算出されます。検査結果に記載されている場合もありますが、以下のツールなどを用いてご自身で算出することも可能です。まずは、ご自身のeGFRと腎機能の程度を確認してみましょう。
☞ 参考:教えて!ドクター「クレアチニンやeGFRとは、どのような検査値ですか?」
eGFRが60 mL/分/1.73m²未満の状態が3カ月を越えて続くと、慢性腎臓病(CKD)と診断されます(ほかに、蛋白尿や血尿がある、画像検査で腎臓に障害がみられるといった状態が3カ月以上続く場合も、慢性腎臓病と診断されます)(*2)。まずは、かかりつけ医のもとで、定期的な検査を受けながら、腎機能の低下を抑えるための保存療法(薬物療法、生活習慣の改善、食事療法、運動療法など)をしっかりと行うことが大切です。もし、まだどこの病院にも受診していない場合は、まず近隣の内科などを受診しましょう。
eGFRが45未満の場合は、かかりつけ医から患者さんを腎臓専門医・専門医療機関に紹介することが推奨されています。eGFRが45以上であっても、蛋白尿の程度や年齢、血尿の有無によっては、紹介が推奨される場合もあります(*3)。
紹介基準にあてはまっていて、まだ腎臓専門医を受診していない場合は、腎臓専門医への紹介について、一度かかりつけ医に相談してみるといいでしょう。腎臓専門医への受診が必要と判断された場合、かかりつけ医が紹介状を書いてくれるので、それを持って速やかに受診しましょう。
なお、腎臓専門医を受診した後も、一般的にはかかりつけ医と腎臓専門医の両方で慢性腎臓病の治療を行うことが望ましいです(ふたり主治医制)。
前述のとおり、慢性腎臓病の進行は、eGFRだけでなく、蛋白尿の有無や程度によっても評価されます。eGFRがそれほど低くなくても、蛋白尿が高度に出ていて、慢性腎臓病が進行している場合もあります。
慢性腎臓病の場合、最低でも1年に1回は尿検査による蛋白尿(糖尿病関連腎臓病の場合はアルブミン尿)のチェックが必要です(*3)。腎機能障害が進行している場合、より頻回に尿検査を受ける必要があります。しばらく尿検査を行っていない場合は、主治医に検査をお願いしてみるといいでしょう。
☞ 参考:教えて!ドクター「慢性腎臓病(CKD)を治療するためには、どのような病院を受診すればいいですか?」
<出典>
*1 日本臨床検査医学会 編. 臨床検査のガイドライン JSLM 2021(宇宙堂八木書店): p18
*2 日本腎臓学会 編. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023(東京医学社): p3
*3 日本腎臓学会 編. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023(東京医学社): p8
2023.04.01 教えて!ドクター
2023.04.01 教えて!ドクター
2017.03.02 教えて!ドクター
2017.07.20(2024年3月改訂) 教えて!ドクター