教えて!ドクター

Q

健康診断の尿検査で
精密検査や治療が必要と判定された場合
何科にかかればいいですか?

健康診断の尿検査で、精密検査や治療が必要と判定された場合、何科にかかればいいですか?

回答いただいた先生
大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学 教授 猪阪 善隆 先生
大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学
教授 猪阪 善隆 先生
健診結果

掲載日:2024/11/1

A

尿検査で異常が認められた場合、腎臓~尿道(腎・尿路)のどこかに病気がある可能性があります。

腎・尿路

主な腎・尿路の病気
腎・尿路感染症:腎盂腎炎、膀胱炎 等
腎・尿路結石:腎結石、尿管結石 等
悪性腫瘍:腎がん、尿管がん、膀胱がん 等
慢性腎臓病(CKD)慢性糸球体腎炎糖尿病関連腎臓病
など

その他、尿糖が陽性の場合は糖尿病、ウロビリノーゲンが陽性の場合は肝炎などの病気の可能性もあります。

尿検査で精密検査や治療が必要と判定された場合、まずは、お近くの「内科」や「一般内科」「泌尿器科」「腎臓内科」を掲げている病院やクリニックを受診するといいでしょう。その後、必要な場合は、専門病院を紹介してくれるはずです。
尿が目で見て分かるほど赤い場合(肉眼的血尿)は、腎・尿路感染症や腎・尿路結石の可能性が高いので(*1)、泌尿器科を受診することをお勧めします。ただし、急性上気道炎(かぜ)の後などに肉眼的血尿が見られる場合は、糸球体腎炎が原因のこともあります(*2)

腎・尿路の病気は、泌尿器科・腎臓内科が専門

腎・尿路の病気を専門的に扱う診療科は主に泌尿器科と腎臓内科で、それぞれ専門とする病気が異なります。受診した内科の主治医が、必要に応じて紹介してくれますが、専門的な診療を希望される場合は、主治医に紹介を相談してみるといいでしょう。

泌尿器科
泌尿器科は、腎・尿路のがんや結石などを対象とし、必要に応じて外科的な治療(手術)を行います。

内視鏡手術

腎臓内科
腎臓内科は、腎臓の病気が専門で、慢性腎臓病、急性腎不全などを対象とし、薬物療法などの内科的な治療を行います。

腎臓内科診療

特に、以下のような場合は、かかりつけ医から腎臓内科(腎臓専門医・専門医療機関)への紹介が推奨されています(*3)

尿蛋白と尿潜血の両方が陽性
尿蛋白が陽性で、eGFRが60 mL/分/1.73㎡未満

eGFR(推算糸球体濾過量)は、腎臓の機能を示す指標で、血液検査で調べる血清クレアチニン値と年齢、性別から算出されます。健康な状態のeGFRは、およそ100 mL/分/1.73㎡ です。

☞ eGFRは、血清クレアチニンの値が分かれば、eGFR早見表eGFR計算ツールを使ってご自身で確認できます。

上記のような場合は、できるだけ早めに一度腎臓内科を受診することをお勧めします。腎臓内科は総合病院にあることが多く、基本的にはかかりつけ医からの紹介が必要ですが、腎臓内科を専門としているクリニックもあるので、そのようなクリニックを直接受診してみてもいいと思います。

☞ 参考:教えて!ドクター「慢性腎臓病(CKD)を治療するためには、どのような病院を受診すればいいですか?

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<出典>
*1 日本腎臓学会 他. 血尿診断ガイドライン2023 ライフサイエンス出版 2023: 43-45
*2 日本腎臓学会. エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン2020: 1
*3 日本腎臓学会. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023 東京医学社 2023: 17-19


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