腎センター 教授 相川 厚 先生
2016.02.12 腎移植のドクターインタビュー
ドクターコラム
聖マリアンナ医科大学病院 腎泌尿器外科 副部長 丸井 祐二 先生
聖マリアンナ医科大学病院 腎泌尿器外科 副部長
丸井 祐二 先生
掲載日:2016/06/08
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腎移植を考えていらっしゃる方には、予想されるいろいろな出来事をあらかじめ知っておいていただきたいと思います。ここでは、腎移植手術に際しての準備や、実際の手術、移植手術の際の入院生活について説明します。
① 準備
移植後に拒絶反応が起こらないようにするために、手術前から免疫抑制剤を用います。
生体腎移植では、ドナー(提供者)とレシピエント(提供を受ける人)のABO血液型が適合している場合は、多くの施設では1週間前から、不適合の場合は2~4週間前からの開始となります。
☞腎移植の基礎知識:ABO血液型不適合移植
献腎移植では、手術当日から免疫抑制剤の使用開始となります。免疫抑制剤を使用することによって、下痢、高血圧、高血糖、手のふるえ、肝機能障害などの副作用の可能性があります。
② 手術の要点
腎移植手術では、自分の腎臓を取り出さずに、右(または左)の下腹部に移植腎が入ります。大きな多発嚢胞腎※などにより、お腹の中に腎臓を入れるスペースが不十分な場合は、前もって腎移植を行う側の自分の腎臓を摘出しておくこともあります。(腎移植手術と同時に行うこともあります。)
右下腹部に行う手術の手順としては、右腸骨窩に逆J字型の約18cmの切開をおき、右足へ行く血管(右腸骨動静脈)と腎動静脈をつなぎ、尿管と膀胱をつなぎます。出血や尿の漏れがないかを知るためにドレーンという管を、2本傷の横から入れて傷を閉じます。
※腎臓に嚢胞(水がたまった袋)がたくさんできて腎臓の働きが徐々に低下していく、遺伝性の病気
③ もっと知りたい人のために
腎移植手術で最も重要な点は血管吻合(ふんごう:縫ってつなぐこと)です。言い換えると、移植腎に良好な血流が保たれていることが何よりも重要なのです。ですから、血管吻合は正確な技術で行われ、腎臓の位置によって動静脈の流れが悪くならないように細心の注意を払います。
また、ドナーから取り出した移植腎に血液が流れない時間をできるだけ短くするため、生体腎移植では、ドナーの手術とレシピエントの手術の時間を調節し、献腎移植においては搬送なども含め、出来るだけ速やかに移植手術が行えるよう努力しています。
もうひとつ重要な点は尿管膀胱吻合です。尿管吻合部は腎動脈から最も遠いところにあり、血流が悪いと最も影響を受けやすいため、前述の血管吻合とともに、細心の注意が払われるデリケートな場所です。ですから、手術後に膀胱内に尿がたまり過ぎると、この尿管吻合部に負担がかかります。また尿管に膀胱から尿が逆流すると、水腎症や感染の危険性も高まります。そのため、移植後の排尿においては、事前に測定した膀胱許容量を超えないように排尿を心がけ、ゆっくりと許容量を増やさなければなりません。
④ 合併症とリスクへの心構え
腎移植手術に伴う危険性は非常に少なくなっていますが、まったくリスクがないわけではありません。
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