ドクターインタビュー

市立札幌病院 腎臓移植外科 部長

原田 浩 先生
市立札幌病院 腎臓移植外科 部長

原田 浩 先生
原田 浩 <font size="4">先生</font>

目次

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Chapter 3: 市立札幌病院 腎臓移植外科における取組みについて

-----ここからは北海道における腎移植の現状についてお聞かせください。まず、北海道では年間どのくらいの腎移植が行われていますか。

原田先生

北海道全体では、年間80件くらいの腎移植が行われています。その内の半分は当院で行っています。
北海道では、札幌市の他には、釧路市、旭川市、砂川市にしか移植施設がありませんので、それ以外の地域にお住いで、まだ移植医療を知らない腎不全患者さんには、ぜひ移植医療を知っていただきたいと思っています。場所によっては、透析施設への通院時間が2時間以上かかるなど、通院自体が困難な地域もありますので、そのような地域にお住いの人ほど、もし可能なのであれば、移植を検討された方がよいと思います。

-----市立札幌病院 腎臓移植外科では、どのような体制で腎移植が行われているのでしょうか。

現在、当院では、年間40~45件ほどの腎移植手術を行っています。腎移植はチーム医療ですので、さまざまなスタッフがチームとして助け合いながら医療を提供しています。具体的には移植医、腎臓内科医、レシピエント移植コーディネーター、看護師、薬剤師、検査技師、管理栄養士、医療事務など、さまざまな職種のスタッフがそれぞれ責任を持って、定期的にミーティングも行いながら、滞りなく進むように取り組んでいます。

-----腎移植後のフォローアップ体制はどのようになっていますか。

腎移植後、腎機能が安定すれば、外来受診は基本的に月に1回となり、医師とレシピエント移植コーディネーターの外来を受診するようになります。また、緊急のときには腎臓移植外科の医師、看護師が電話での対応も行っていますし、夜間は緊急外来の当直医が対応するようになっています。

-----今後はどのようなことに取り組んでいきたいとお考えですか。

市民フォーラムなどを通じて、まだ移植医療をご存知ない方への啓発を行っていきたいと思っています。また、腎臓内科の先生方に、正しい腎代替療法について知っていただくための勉強会なども行っていきたいと考えています。そのような取り組みを行うことによって、これまで必要な情報を得ることができなかった患者さんが、さまざまな正しい情報を知った上で、ご自身にとって一番よい選択をしていただけるようにしていきたいと思います。
また、移植後の長期フォローアップという観点では、慢性抗体関連拒絶反応や腎炎の再発予防などに注力していきたいです。現在の生着率に満足せず、課題を解決していき、さらに腎移植の成績を向上させていきたいですね。

-----最後に、腎援隊サイトをご覧になっている、現在、腎代替療法についてお考えの患者さんへのメッセージをお願いいたします。

慢性腎臓病が進行していくと、最終的には、血液透析や腹膜透析、腎移植の3つの治療法のうちのどれかを選択しなければならないときがやってきます。各々良い点悪い点がありますが、腎移植後は、血液透析の際に必要だった週3回の透析施設への通院が無くなります。腎移植は、生活の質という観点からみて、とてもすぐれた医療であると言えます。
腎移植に対して皆さんが持っている誤解の多くは、腎移植は敷居が高く、お金がかかる医療だということですが、ある程度の健康状態がある人であれば受けられる医療ですので、実はそれほど敷居は高くありません。また金銭面においても、日本においては医療補助制度が充実していますので、自己負担はきわめて少額で済むようになっています。
ただ1つ言えるのは、ドナーさんあっての腎移植医療です。日本においては献腎移植の待機期間が約16年という長期間を要する状況になっています。もし身近にドナーとなっていただける方がいらっしゃるのであれば、腎不全が進行する前から、生体腎移植を積極的に検討し、腎代替療法の1つの選択肢として頭の片隅においておくのもいいと思います。
現在は、インターネットや本などで腎移植に関する知識を得ることができると思いますが、分からないことがある場合は、腎移植に関する市民フォーラムに参加したり、以前透析を受けていて、その後移植をされた人に話を聞いたり、透析の先生や看護師さんに話を聞いてほしいと思います。


    身近になった腎移植医療(2:48)

それでもご自身が必要とする情報が得られない場合は、腎移植を行っている施設に気軽に電話をして、自分が移植を受けられるのかどうかを確認していただきたいと思います。
腎移植を行っているほとんどの施設では、受診の前に無料で相談できる機会を設けていると思いますので、まずは気軽にお電話してください。

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