2018.12.20 教えて!ドクター
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Chapter 3: 腎移植後の変化と、今までを振り返って
----- 移植後は、どのような変化を感じましたか。
正重さん:
1つ大きく変わったのは、75 kgあった体重が63 kgまで減ったことです。そのためか、退院してからもしばらくは、歩くと息切れがしたりして、少し疲れやすくなったように感じました。ただ、最近は改善してきて、以前のように仕事をしても大丈夫になりました。
瑠美さん:
筋肉量が減ったのではないかと少し心配したのですが、看護師さんに聞いてみたら、減ったのは脂肪だと言われました(笑)。主人の身長からすると平均体重は58 kgらしいので、むしろ体重が減って良かったです。
正重さん:
体重が減ったのは、食生活が改善されたことも大きいと思います。入院中の病院食はおいしかったです。塩分はきちんと抑えられていますが、味付けが工夫されていて、しっかりと味を感じることができました。その食事に慣れてしまい、退院後も同じくらいの味付けと量で満足できるようになりました。
また、血圧も低くなりました。以前は、降圧薬を飲んでいても上(収縮期血圧)が150 mmHgを超えることがありましたが、今は120~130 mmHg台が普通です。
尾田先生:
腎臓には血圧を調整する働きもあるので、移植した腎臓のおかげで腎機能が改善し、二次的に高血圧が改善したのでしょう。また、食事の塩分が抑えられていることも影響していると思います。
----- 腎移植によって、腎機能が回復しただけでなく、生活習慣の改善などのさまざまな良い変化があったのですね。
正重さん:
ただ、何よりも嬉しいことは、以前と同じように仕事を続けられることです。透析を受けていたら、それは難しかったはずです。
----- これまでを振り返って、あの時こうしておけば良かったと思うことはありますか。
正重さん:
慢性腎臓病と診断された時は、自覚症状もなく、体調も良かったので、これ以上悪くなることはないと思っていました。その頃にもっと病気について知っていれば、もしかしたら、もう少し進行を遅らせることができたかもしれません。
瑠美さん:
私も、透析が必要になると聞くまで、主人の状態がそこまで悪いとは全く考えていませんでした。当時は、クレアチニンの値が分かっても、それが示す腎臓の状態を調べる方法を知らず、先生方に任せ過ぎで、自分自身で調べて正しく理解することができていなかったと思います。今は、インターネットなどで手軽に調べることが出来る時代ですので、もっと自分でも調べて知識を持っておくべきだったと思います。
また、腎移植についても、もっと早くに知っておきたかったです。当事者になってから、腎移植の情報が自然と耳に入ってくるようになりましたが、一般の人が腎移植について知る機会がもっと増えればと思います。
----- 最後に、腎移植を検討している腎援隊ユーザーの方々にメッセージをいただけますか。
正重さん:
移植前は、手術に対する恐怖心がありましたが、術後の痛みはそれほどなく、入院期間も20日程度でしたので、思っていたより大変ではありませんでした。自分がドナーになるからと妻が積極的に腎移植を勧めてくれた時は気が引けましたが、今も仕事が続けられているのは腎移植のおかげであり、妻には本当に感謝しています。もし腎提供を申し出てくれる方がいるのであれば、一度、腎移植を検討してみると良いと思います。
瑠美さん:
腎移植ができないと思っている方も、自分の中で考えるだけではなく、いろいろな方からお話を聞いて情報を集めていただきたいです。移植施設の先生方やスタッフさんたちのお話はもちろん、腎援隊に掲載されているような腎移植者や生体腎ドナーの体験談なども参考になると思います。
また、どの病院で移植を受けるかもよく考えると良いと思います。私たちにとって、八王子医療センターは、先生方やスタッフさんたちがとても話しやすく、ストレスなく診療を受けられる病院です。この病院で移植を受けられて本当に良かったと、主人とも常々話しています。移植後も基本的には同じ病院をずっと受診することを考えると、通院しやすいことも大事です※。早目に情報を集めて、自分に合った病院を探していただきたいと思います。
※ 腎移植者は、移植手術を受けて退院した後、月1回程度のペースで移植施設を受診します。生体腎ドナーも、腎提供後、最低でも1年に1回は移植施設などを受診してフォローアップを受けます。
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