生体腎ドナーインタビュー

生体腎ドナー・レシピエントインタビュー
生体腎ドナー 大城 瑠美 さん
生体腎移植者 大城 正重 さん

生体腎ドナー・レシピエント
インタビュー
生体腎ドナー 大城 瑠美 さん
生体腎移植者 大城 正重 さん

生体腎ドナー・レシピエントインタビュー<br/>生体腎ドナー 大城瑠美さん<br/>生体腎移植者 大城正重さん

目次

☞ 「病院を探そう!」東京医科大学八王子医療センターのご紹介ページ

Chapter 2: 透析導入の宣告から生体腎移植へ

----- 腎代替療法を検討し始めたのは、いつ頃ですか。

正重さん
慢性腎臓病と診断されてから2年後の2018年5月頃です。通院していた病院で、「このままだと、年内に透析が必要になります」と言われました。

瑠美さん
これほど早い時期に主人が透析導入になるとは全く考えていなかったので、私も大変ショックでした。その時に、主治医から「腎不全 治療選択とその実際」という冊子を渡され、それを読んで透析についてよく理解するように言われました。しかし、帰りの車の中で冊子を読み進めると、透析以外に腎移植という方法もあることが分かりました。ドナー(腎提供する人)とレシピエント(腎移植を受ける人)の血液型が異なっていても、夫婦間でも生体腎移植ができると知り、自分がドナーになるからすぐにでも生体腎移植をしようと主人に言いました。しかし、その時は主人に断られました。
☞ 腎移植の基礎知識「ABO血液型不適合移植」「夫婦間腎移植

治療選択

正重さん
当時も全く自覚症状はなかったので、主治医から透析が必要になると言われても、まだ信じられませんでした。ましてや、生体腎移植のような妻の協力が必要になる大手術は考えられませんでした。
しかし、透析導入が近づいていることを無視するわけにもいかないので、知人の血液透析患者にいろいろと話を聞きました。私は塗装業を行っているのですが、1回あたり4~5時間の透析を週2、3回受けること、透析後は疲労感があることなどを聞くと、とても仕事が続けられるとは思えませんでした。腹膜透析も検討しましたが、それまで通りに仕事を続けることを考えると、腎移植が自分にとってベストな治療法だと思うようになりました。
そして、主治医に腎移植を受けたいと伝え、東京医科大学八王子医療センター(以下、八王子医療センター)を紹介していただき、8月に受診して腎移植の説明を受けました。

----- 当時、腎移植について不安に思っていたことはありましたか。

瑠美さん
私が一番不安だったのは、自分が腎提供できるかどうかでした。年齢的には問題なく(当時65歳)、健康診断で指摘を受けることもありませんでしたが、幼い頃に内蔵の病気で入院したことがありましたし、妊娠のたびに妊娠高血圧症候群になっていたので、ドナーとしての適格性を調べる検査で何か問題が見つかるのではないかと不安でした。
☞ 腎移植の基礎知識「生体腎移植の条件(ドナー)

また、医療費に関しても不安がありました。「腎不全 治療選択とその実際」の冊子に、更生医療などの医療費助成制度を利用することで自己負担を軽減できると書かれていましたが、具体的な金額までは分からなかったので、場合によっては保険を解約して費用を捻出しようと考えていました。しかし、八王子医療センターで腎移植の説明を受け、自己負担は思っていたよりずっと少額に抑えられることが分かって安心しました。
☞ 腎移植の基礎知識「腎移植手術の費用

正重さん
また、移植を受けると、会社から障害者として扱われて、仕事を制限されるのではないかという懸念もありましたが、会社に確認したら、それまでと変わらずに仕事ができるということでしたので、ほっとしました。

尾田先生
透析患者さんも腎移植患者さんも身体障害の認定は1級ですが、腎移植患者さんは多くの場合、健常者とほとんど変わらない生活を送ることができるので、仕事に支障を来すことは少ないです。

瑠美さん
それ以外にも不安や疑問を感じることはありましたが、先生方やスタッフさんたちのおかげで解消できました。私も主人も、医学的な難しいことは分からないのですが、先生や看護師の方が平易な言葉で分かりやすく説明してくださったので、とても相談しやすかったです。検査入院の際も、看護師さんから「何か怖いことや不安なことがあれば、いつでも聞きますよ」と言っていただきましたが、上辺だけでなく、じっくりと親身になって相談に乗っていただけると感じたので、その言葉だけでとても安心できました。
また、腎援隊に掲載されている腎移植者や生体腎ドナーの体験談もよく読みましたが、非常に参考になり、不安が和らぎました。

----- その後、お2人とも適格性の検査を受けて、腎移植が可能と判断されたのですね。移植手術までの間は、どのような心境でしたか。

瑠美さん
私は、20年前に子宮筋腫で子宮を全摘していたので、手術には慣れていましたし、先生方を信頼していたので、手術に対して特に不安はありませんでした。

正重さん
私は、下腹部を20 cmくらい切開されることに恐怖心がありましたが、それまで通りに仕事を続けるためには腎移植を受ける必要がありましたし、せっかく妻が腎臓を提供してくれるのだからと覚悟を決めていました。
☞ 腎移植の基礎知識「腎移植手術について(レシピエントの手術方法)

瑠美さん
手術の直前、主人に「移植したら腎臓が新品になるね」と言ったら、「65歳の腎臓なのだから新品ではない」と言われました(笑)。そういう会話もできるくらい、2人とも落ち着いていました。

----- 移植手術までの間に体調の変化はありましたか。

正重さん
入院するまでに、更生医療の申請手続を行ったり、仕掛中の仕事を終わらせたりしなければならず、毎日忙しかったですが、腎不全の症状が現れることはなく、体調に変わりがなかったので、無事乗り越えることができました。妻もほぼフルタイムで働いていたので、入院するまで多忙でしたが、そのような中でも私の食事管理を試行錯誤しながら頑張ってくれました。そのおかげで、体調を維持することができたのだと思います。

尾田先生

尾田先生
eGFRが15 mL/分/1.73m²未満(末期腎不全)になり、腎不全の症状が強くなれば、すぐにでも透析導入が必要になります。腎移植を受けることが決まっていても、そのような状態になった場合は、一旦透析導入して体の状態を安定させる必要があります。大城さんが当院を受診した時は、eGFRがすでに7 mL/分/1.73m²を下回っていました。腎移植を行うためには、初診から最短でも数カ月かかるので、その間に腎不全の症状が現れれば、透析導入が必要になり、腎移植の時期が遅れる可能性がありました。そうなっていたら、お仕事にも大きな影響が出ていたかもしれません。結果的には、初診から3カ月後の2018年11月に無事、透析導入することなく腎移植を行うことができました。これには、奥様の食事管理などが大きく貢献したと思います。

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