インタビュー 大越明子さん
2016.06.30 ドナーインタビュー
腎移植者インタビュー
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Chapter 2: 腎移植という選択肢
----- その後、いつ頃から腎移植について検討し始めたのですか。
山上さん:
腹膜透析も最初はうまくいっていたのですが、導入から4年ほど経過した頃から尿量が減ってむくみが出るようになり、疲れもひどくなりました。先生から血液透析のためのシャントを作ること勧められ、その時に初めて、血液透析以外の治療選択肢も持っておきたいと、献腎移植希望の登録だけでもしておこうと考え始めました。
-----献腎移植希望の登録をするという話から、どのように生体腎移植の話に変わっていったのでしょうか。
奥様:
主人から『移植』という言葉が出るまでは、私は行動しないようにしようと思っていたのですが、主人の口から「献腎移植の登録をしようかな」という話が出たので、その翌日に私が岡山大学病院にお電話したのが始まりです。その時はそのお電話で、荒木先生や有森コーディネーターから直接移植のメリット、デメリットについて色々とお聞きすることができました。生体腎移植という選択肢についてもお聞きし、「もちろんリスクはあるだろうけれど、可能性があるならば検討してみたい」と思い、主人には生体腎移植の話はせずに、一緒に病院に行きました。
-----献腎移植希望の登録のつもりで病院に行ったご主人はびっくりされたのではないですか。
山上さん:
そうですね。生体腎移植については知っていましたが、選択肢としては全く考えていませんでしたので、病院で妻からの腎提供が可能かどうか検査をしてみましょうか、という話をされたのでびっくりしました。妻はとても健康で、病院が大嫌いなことを知っていましたし、注射も嫌いで胃カメラも絶対しない、というような人だったので、そんな妻から「検査受けるよ」と言われ、とても複雑な気持ちになり、なんと答えたらいいのか言葉が見つかりませんでした。
有森レシピエント移植コーディネーター:
初診時、ご主人が奥様の想いを聞きながら、「申し訳ない、ありがたい」とずっと涙されていたことを覚えています。
-----奥様は、検査の結果が問題なければドナーになろうと決めていたのですか。
奥様:
はい。それまで腎移植に関しては、しっかりとお話を聞く機会が無く、正しい情報を持ち合わせていませんでしたが、荒木先生や有森コーディネーターから納得がいくまでお話を聞くことができ、生体腎移植に伴うリスクのお話もしっかりとお聞きしましたが、私にとってはデメリットよりもメリットが上回っているように感じました。
-----ご主人は、どのような気持ちで腎移植のための検査を受けたのでしょうか。
山上さん:
移植するかどうかはまだ分からないものの、とりあえず検査だけ受けようということになったのですが、自分の体のことよりもとにかく妻のことが心配で、申し訳ないという気持ちが強く、不安ばかり口にしていました。
-----検査を受けることで気持ちは変化していきましたか。
山上さん:
検査を受ける中で変化していったということもありますが、腎移植を検討し始めた頃から、身近なところで子どものサッカーチーム関係の方の中にも移植された方がいるという話を聞いたりするようになり、移植に対して少しずつ安心感を持つようになっていきました。
奥様:
私も移植を考え始めてから、会社の上司がかなり昔に娘さんに腎提供されていたということを知りました。その上司が「腎提供後何年も経っているけど、私はとても元気だし、娘も元気にしているよ」と話してくれたことで安心感を持てましたし、上司は手術のために会社を休むことに対しても理解がありました。
-----先生、ドナー候補の方が、検査の結果、提供が難しいと判断されることもあると思うのですが。
荒木先生:
そうですね。そのような方もいらっしゃいます。ドナーの検査の結果、がんが見つかるなど、提供ができないと判断されることもあります。また当院では、術後の肥満による腎機能の悪化を懸念し、BMIが30を超えていたらドナーもレシピエントも手術を行っていません。通常は皆さん1年位でダイエット可能ですが、特殊なケースでは4~5年かけて減量してから移植手術を行ったドナーやレシピエントもいらっしゃいます。
-----移植のための初診から実際に手術を受けるまでの期間はどのくらいでしたか。また、移植までに特に気を付けていたことはありますか。
山上さん:
1月に岡山大学病院を初めて受診して、8月に手術でした。腹膜透析を受けていましたので、特にお腹のカテーテル(チューブ)が出ているところからの感染に気を付け、移植が決まってからは大好きなキャンプも控え、おとなしく生活していました。
-----移植に向けてご夫婦で何かお話はされましたか。
奥様:
2人で真剣に話すことはありませんでしたし、特別に何かを準備するようなこともありませんでした。
検査の結果、移植ができない可能性もあるとは聞いていましたが、それすらもあまり気にしていませんでした。移植のための検査がある日は、夫婦2人で自宅がある高松から岡山大学病院まで出かけ、検査後は街歩きを楽しんだりしていました。
不安がまったくなかったかというとそうではないですが、私たち夫婦で話し合ったところで不安要素は払拭されないと思ったので、そうであれば、移植後の話をして前向きに進んでいくことが大切だと思っていました。
山上さん:
私も検査を進める中で、色々と悩まず楽しくいこう、と考えるようになり、妻と「移植した後は何をしようか」とか「どこへ行こうか」という話をよくしていました。
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☞ 【参考】
腎移植者インタビュー
生体腎ドナーインタビュー
透析患者インタビュー
2016.06.30 ドナーインタビュー
2016.10.31 腎移植のアニメ
2017.12.14 腎移植の基本情報
2017.07.27 腎移植ライフ