ドクターコラム

腎臓の働きを悪くしないために必要なこと  

腎臓の働きを悪くしないために必要なこと  

筑波大学 医学医療系 腎臓内科学 教授 山縣 邦弘 先生

筑波大学 医学医療系 腎臓内科学 教授 山縣 邦弘 先生

腎臓の働きを悪くしないために必要なこと  

掲載日:2016/01/21

腎臓病は症状が現れにくく、重症になるまで自覚症状はありません。従って腎臓病を早期に発見するためには症状が無くても定期的に健診などで検査をして調べることが重要です。

慢性腎臓病(CKD)は①尿検査で尿蛋白が陽性、あるいは、②腎機能(eGFR)が60mL/分/1.73m²未満 の①、②の両方、または一方が3カ月以上持続することが確認できれば診断できます(参考:CKDの診断)。また、蛋白尿の程度、ならびに腎機能の数値が悪くなるとともに、透析が必要となる腎不全への進行や、心筋梗塞、脳卒中といった心臓血管病発症の危険性が高まることが知られています。

そこで私たち医師は、慢性腎臓病に対しては、

腎機能の低下スピードを少しでも遅らせること
心臓血管病などの合併症をおこさないようにすること

の2つを目標に据えて治療を行います。具体的には、個々の患者さんの慢性腎臓病に至った原因を探り、その原因の治療をしっかり行うこと、さらに様々なCKD進行因子に対し、患者さんの年齢、体格、生活環境を加味して最適な治療法を探ります。なかでもCKDの悪化因子といわれる高血圧、高血糖、脂質異常症、高尿酸血症、肥満、喫煙などから、最も問題となっている項目を確認して、優先順位をつけた上で、最適な管理、加療を行います。

このような的確な治療方針の設定のためには、正確に腎臓の状態を知ることが重要です。そしてこのための指標が尿検査や血液検査などの定期検査です。医師は、尿検査による蛋白尿の程度、血液検査によるクレアチニンや様々な検査データをもとに腎機能を把握し、前後比較することで治療の効果を検討し、あわせて、血圧、血糖、脂質等の検査データにより次の治療方針の参考にします。定期検査は簡便であるため、患者さんによっては軽く捉えてしまうかも知れませんが、継続的にきちんと受けていただくことが大切です。

治療においては、方針に基づき厳格に進めることが理想ですが、一方で、患者さんの事情も尊重すべきだと考えます。治療は、主体である患者さんの理解と意欲があってはじめて成立するからです。

大半の腎臓病の治療は、改善というよりは、これ以上の悪化を防ぐことが目標となり、さらに、自覚症状がなく治療を受けている実感がわきにくいため、ときに治療を続けていくことが辛く感じられることがあるかも知れません。しかし、医師だけでなく、看護師、管理栄養士など、さまざまなスタッフが伴走者となって、患者さんの治療を総合的にサポートしています。困ったことや気になることがあれば、遠慮なく相談していただければと思います。


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