管理栄養士コラム

食事療法の基本① タンパク質

食事療法の基本① タンパク質

増子記念病院 管理栄養士 朝倉 洋平 先生

増子記念病院 管理栄養士 朝倉 洋平 先生

食事療法の基本① タンパク質

掲載日:2016/04/28

私たちの身体にとって、エネルギー源となる「炭水化物、タンパク質、脂質」は三大栄養素と呼ばれています。そのうち、炭水化物と脂質は、炭素と水素から構成されているため、最終的には、身体の中で水と二酸化炭素に代謝され、肺、腎臓、皮膚から体外に排泄されます。ところが、タンパク質には、炭素、水素以外にも窒素が含まれており、最終的には、身体の中で窒素化合物に代謝されます。窒素化合物は、腎臓からしか排泄されないため、腎臓に負担をかけてしまいます。そのため、慢性腎臓病においては、タンパク質の摂取量の管理が必要となります。

摂取したタンパク質は一旦アミノ酸まで分解され、体内で再び必要なタンパク質に作り直されます。そのタンパク質は筋肉や内臓などを作る重要な構成成分のため、タンパク質の制限が必要な慢性腎臓病の方にとっては、質を考慮した上手なタンパク質の摂取が必要となります。

タンパク質は20種類のアミノ酸から構成されています。そのうち、人の体内で作ることのできないアミノ酸は9種類あり、これらを総称して、必須アミノ酸と呼んでいます。残りのアミノ酸は体内で作ることができるため、非必須アミノ酸と呼ばれています。必要なアミノ酸がすべて整っていなければ、特定のタンパク質を合成することはできません。そのため、優れた良質なタンパク質とは、必須アミノ酸が適切な割合で整っているということになります。逆に、良質ではないタンパク質とは、一つ以上のアミノ酸が欠乏している食品ということができます(図1)。これらの食品は、一番少ないアミノ酸に相当するタンパク質しか合成することができず、それ以外は、分解されエネルギーとして使われてしまいます。
タンパク質がエネルギーとして使われてしまうと、窒素代謝物として、腎臓に負担をかけてしまいます。そのため、摂取したタンパク質がエネルギーとして使われないように、良質なタンパク質を摂取する必要があります(表)。

アミノ酸の図

アミノ酸スコア

アミノ酸スコア説明


もうひとつ重要なことは、タンパク質の合成には、十分なエネルギーが必要ということです。質の良いタンパク質を摂取しても、エネルギーが不足していては、タンパク質は合成されず、エネルギーとして消費されてしまうため、注意が必要です(図2)。このことからも、慢性腎臓病の食事療法では、「適正なエネルギーの確保」がポイントにあげられています。

☞参考:慢性腎臓病の進行を遅らせるための食事療法のポイントと食事療法基準

適正なエネルギーの確保

慢性腎臓病の場合、身体の蛋白異化(分解)が亢進しやすい状態であると言われているため、できるだけ良質なタンパク質を摂取し、十分なエネルギーを確保することで、身体の調子を維持した上で、食事療法を実施することが可能となります。

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☞ 【参考】
管理栄養士コラム「食事療法の基本② リン」「食事療法の基本③ 塩分

<参考文献>
中屋豊 タンパク質:体を維持する多様な機能、図解入門よくわかる栄養学の基本としくみ 東京 秀和システム 2009:67-77


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