2016.08.25 透析の基本情報
透析患者さんが高齢化してきていることもあり、近年は透析患者さんの「フレイル」が問題視されています。フレイルとは、筋力の低下や活動性の低下、認知機能の低下、精神活動の低下などによって、介護が必要なほどの健康障害を起こしやすくなっている状態のことです。特に高齢者の場合、筋力が低下すると転倒しやすくなり、骨折してそのまま要介護状態となる危険性があります。そのため、フレイルを防ぐためにも、運動で筋力をつけることはとても大事です。
透析患者さんが行う運動としては、有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせが一般的に良いとされています。
ただし、適切な運動内容や運動強度は、体の状態などによって一人ひとり異なりますので、運動を行うにあたっては、必ず主治医に相談してください。
(補足)神戸大学大学院腎臓内科・腎血液浄化センター 教授・センター長 西愼一先生
血液透析、腹膜透析、腎移植のどの治療法においても運動を行うことはできますが、それぞれの治療法で勧められない運動もあります。
血液透析では、一般的に利き腕と逆の腕にシャントを作ります。シャントは血液透析において非常に大事ですので、この部分に衝撃を受けるような運動は勧められません。
腹膜透析では、透析液を腹腔内に入れたり体の外に出したりするために、カテーテルと呼ばれるチューブを腹部に埋め込みます。このカテーテルの出口部に衝撃を受けるような運動は勧められません。
腎移植では、基本的にどのような運動も可能で、スポーツを続けるために腎移植を受けた有名なプロスポーツ選手もいます。ただし、腎臓を移植した下腹部(主に右下腹部)に衝撃を受けるような運動はあまり勧められません。
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