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Q

慢性腎臓病(CKD)を治すためには
何をしたらいいですか?

慢性腎臓病(CKD)を治すためには
何をしたらいいですか?

回答いただいた先生
大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学 教授 猪阪 善隆 先生
大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学
教授 猪阪 善隆 先生
疑問

掲載日:2024/11/1

A

まずは病院にしっかり通院しましょう

慢性腎臓病(CKD)は、早期に治療を開始することで、治癒(ちゆ)もしくは悪化抑制の可能性が高くなります。そのためには、何よりもまず、病院をしっかり受診し、医師やスタッフの指示に従って治療を継続する必要があります。患者さんご自身だけでCKDを治療することは、きわめて困難です。近年はCKDの治療薬の開発も進んでいます。もし、まだどこの病院にもかかっていなければ、お近くの「内科」や「一般内科」を掲げているクリニックを受診しましょう。

内科受診

CKDの主な治療
原疾患の治療
生活習慣の改善
食事療法
薬物療法
運動療法

腎臓内科での治療が必要な場合

CKDがすでに進行している場合や、速く進行することが予想される場合などは、「腎臓内科」で治療を受けることが望ましいです。
"腎臓の病気"の治療というと、「泌尿器科」を思い浮かべる方もいらっしゃると思います。泌尿器科も腎臓の病気を専門としていますが、主に腎がんや腎結石といった病気の外科的な治療(手術)が専門であり、CKDの専門的な診療は腎臓内科が担当となります。
腎臓内科は総合病院にあることが多く、基本的にはかかりつけ医からの紹介が必要ですが、腎臓内科を専門としているクリニックもあります。

病院・クリニック

以下のような場合は、かかりつけ医から腎臓内科(腎臓専門医・専門医療機関)への紹介が推奨されています(*1)

1)尿蛋白(または尿中アルブミン)と尿潜血の両方が陽性の場合

2)eGFRが60 mL/分/1.73㎡未満で、尿蛋白(または尿中アルブミン)が陽性の場合

3)eGFRが60 mL/分/1.73㎡未満で、40歳未満の場合
※ 糖尿病関連腎臓病では、尿中アルブミンを調べる場合があります。

尿蛋白(または尿中アルブミン)や尿潜血は、尿検査によって調べます。
eGFR(推算糸球体濾過量)は、腎臓の機能を示す指標で、血液検査で調べる血清クレアチニン値と年齢、性別から算出されます。健康な状態のeGFRは、およそ100 mL/分/1.73㎡ です。

尿検査や血液検査の結果をお持ちであれば、一度確認してみるといいでしょう。

尿蛋白、尿潜血の検査結果の例
尿検査

eGFR、血清クレアチニン値の検査結果の例
血液検査

※ 基準値の参考:日本臨床検査医学会「臨床検査のガイドライン JSLM2021」 p18 表1

eGFRの項目が検査結果にない場合は、eGFR早見表 か、以下の計算ツールで確認してみてください。

あなたのeGFRは?

ご利用にあたり必ずお読みください

eGFRとは?

1年齢
2性別
3血清クレアチニン(Cr.)
mg/dL
eGFR値
 
GFR区分
 
もし、上記1)3)のいずれかに当てはまるようであれば、一度かかりつけ医に腎臓内科を紹介してもらえないか相談してみるといいでしょう。
また、以下のような場合は緊急性があるので、速やかに腎臓内科を紹介してもらうか、直接透析クリニックなどの腎臓内科外来にかかることをお勧めします。

3カ月以内にeGFRが30%以上低下した場合(*1)

貧血やむくみなどの自覚症状がある場合

1年に1回は尿検査を受けましょう

現状、腎臓内科の受診が必要ない場合でも、CKDが進行していないかどうか、定期的に検査で確認する必要があります。血液検査はもちろん、尿検査も最低でも1年に1回は行うことが望ましいです(*2)。しばらく尿検査を行っていない場合は、主治医に検査をお願いしてみるといいでしょう。

なお、尿蛋白を(-)(±)(1+)などで判定する「試験紙法」は、尿の濃度(濃縮尿や希釈尿)の影響を強く受けます。そのため、CKDの重症度や治療効果を正確に判定するためには、尿蛋白の具体的な量を調べる「尿蛋白定量」が望ましいとされています(*2)

検尿

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<出典>
*1 日本腎臓学会. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023 東京医学社 2023:17-19
*2 日本腎臓学会. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023 東京医学社 2023:8-10


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