
2017.12.14 腎移植の基本情報
ドクターコラム
日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第二病院 腎臓病総合医療センター
移植内科 部長 後藤 憲彦 先生
日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第二病院
腎臓病総合医療センター 移植内科 部長 後藤 憲彦 先生
掲載日:2017/02/10
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「生着率」と「生存率」はいずれも、腎移植の成績を示す重要な指標です。2017年時点の日本での腎移植後5年生着率は生体腎移植で94.3%、献腎移植で88.0%、10年生着率は生体で85.2%、献腎で70.7%です。5年生存率は生体腎移植で97.1%、献腎移植で93.1%、10年生存率は生体で92.0%、献腎で81.4%です(*1)。生着率、生存率ともに年々向上しています。この最大の要因は、免疫抑制薬の進歩です。
腎移植は、他人の腎臓をレシピエント(移植を受ける患者さん)の体内に置くことです。人間には免疫というシステムがあり、"自分のものではない異物"が体内に侵入すると、それを排除しようとします。そのため、腎移植の際にはレシピエントの免疫反応を抑制しなければ、ドナーからの腎臓を自分のものではないと判断して拒絶します(拒絶反応)。
免疫抑制薬の種類が少なかった時代には、他人の腎臓を長くとどめておくことができませんでした。また、少しでも長くとどめようとして免疫抑制薬の量を多くした結果、感染症や癌などで亡くなられることもしばしばありました。当時は双子や親子間でのドナーを選ぶ必要があり、腎移植は選ばれた腎不全患者さんだけに提供される医療でした。
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<出典>
*1 日本臨床腎移植学会・日本移植学会 腎移植臨床登録集計報告(2018) 移植 2018;53:89-108
*2 花房規男 他. わが国の慢性透析療法の現況(2021年12月31日現在) 透析会誌 2022;55:665-723
*3 R.A. Wolfe and others. Comparison of Mortality in All Patients on Dialysis, Patients on Dialysis Awaiting Transplantation, and Recipients of a First Cadaveric Transplant. N Engl J Med 1999;341:1725-1730