慢性腎臓病患者インタビュー

腎生検の体験談(2)
IgA腎症患者 堀 寛美 さん

腎生検の体験談(2)
IgA腎症患者 堀 寛美 さん

IgA腎症患者 堀寛美さん

目次

Chapter 5: 「こんな病気に負けるわけにはいかない!」 2年間の治療を経て寛解へ

----- IgA腎症と診断されてからは、どのように治療が進められましたか。

堀さん
主治医の先生から説明を受け、ガイドラインに基づいた治療が始まりました。治療方針については、先生の説明をよく聞いた上で、自分の希望も積極的に伝えるようにしました。「こんな病気に負けるわけにはいかない!」と思っていたので、そのような気持ちも率直にお伝えしました。先生もできるだけ私の希望が叶うように検討してくださり、最終的には納得のいく治療方針を先生と一緒に決めることができたと思います。

----- 治ろうとする強い気持ちと、医師との積極的なコミュニケーションが大切なのですね。

堀さん
最初に入院治療を受けて、その後は通院で治療を続け、食事は減塩、低タンパクを心がけました。しばらくの間はあまり変化が感じられず、体調が悪くて気分が落ち込むこともありましたが、食事療法を調整したりしているうちに徐々に体調が良くなり、尿蛋白も減ってきました。そして、治療開始から約2年後の2014年10月に、先生から寛解宣言をいただけました。あの時は本当に嬉しかったです。

----- 2年がかりで、ようやく以前の状態に戻れたのですね。

堀さん
ただ、4年後の2018年に尿蛋白が再び増え始めた時は、寛解後でも再燃することがあることを改めて認識しました。その後に6カ月ほど治療を受けて再び安定し、今に至っています。現在は尿たんぱくや血尿はなく、血圧も安定しています。しかし、クレアチニンの値は1.0前後で、ステージG3aをギリギリ維持している状態です。病院には3カ月に1回通院しています。

Chapter 6: 早期治療ができるチャンスを逃してほしくない

----- 回復されて、ご家族も喜ばれているでしょうね。

堀さん
家族にも、本当に支えてもらっています。主人は、私がもし透析が必要な状態になったら、自分がドナーになるから腎移植を受けようと言ってくれています。そこまで考えてくれているとは思っていなかったので、言われた時はとても驚きましたが、ありがたい気持ちでいっぱいでした。家族や先生の励ましがあって、ここまで回復できたと思っているので、本当に感謝しています。

----- 過去の自分と同じような状況にある患者さんに、伝えたいことはありますか。

堀さん

堀さん

やはり、病気を少しでも早く見つけて、正しい診断を受け、適切な治療をいち早く始めることがとても重要だと思っています。特にIgA腎症は、私のように寛解状態まで回復させることができる病気ですし、早期治療ができるチャンスを逃してほしくないです。泌尿器科で血尿の原因が見つからない方や、一度でも蛋白尿を指摘されたことがある方は、一度、腎臓内科にかかってみてほしいです。腎生検や確定診断を受けることが怖いという気持ちはあると思いますが、病気が特定されないと、適切で効果的な治療が始まりません。早い段階で目標を定めて、積極的に治療に取り組んでいただきたいです。
私は、2023年4月に腎臓病療養指導士の資格を取得し、翌年の3月に地方公務員を早期退職して32年ぶりに看護師に復帰しました。腎臓病患者としての経験を業務に生かし、患者さんに寄り添っていきたいと思っています。また、「そらまめ日和 ~ていねいに 前向きに~」というブログも始めました。透析の回避・先延ばしを目指した、腎臓をいたわる生活のコツを紹介しており、腎臓病患者さんのお役に立てればと思っています。

※腎臓病療養指導士:慢性腎臓病(CKD)の患者さんに対して、質の高い療養指導を行うための資格。

じんラボでも、堀さんの食事療法の体験談や医療への想いが紹介されています。


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