慢性腎臓病患者インタビュー

腎生検の体験談(2)
IgA腎症患者 堀 寛美 さん

腎生検の体験談(2)
IgA腎症患者 堀 寛美 さん

IgA腎症患者 堀寛美さん

目次

Chapter 2: 大学病院での精密検査でも原因は分からず、腎生検へ

----- 大学病院の腎臓内科では、どのような診療を受けましたか。

堀さん
人間ドックから約1カ月後の2011年12月に大学病院を受診し、改めて尿検査や血液検査、超音波検査などを受けました。主治医の先生の見立てでは、膜性腎症ではないかとのことでした。膜性腎症の場合、30%程度は自然に治るという報告もあるので(*)、まずは様子を見てみましょうということになりました。
その後は2カ月に1回、尿検査と血液検査を受けました。その間はお薬も飲まず、食事の塩分制限だけ気を付けていました。体調が悪くなることはありませんでしたが、蛋白尿が悪化していったので、やはり一度、腎生検をして原因をつきとめようということになりました。

----- 腎生検と聞いて、どのように思われましたか。

堀さん
腎生検については事前に調べていて、自分の病気が何かはっきりさせるためには、最終的には腎生検しかないだろうと思っていました。病気が特定できないと治療法も定まらないので、これでやっと前に進めると思いました。特に怖いとは思いませんでした。

----- 病気や腎生検について、職場やご家族の方には伝えましたか。

堀さん
腎生検は入院が必要なので、職場には病気のことをできるだけそのまま伝え、お休みをいただきました。家族については、もちろん主人にはすべて伝えましたが、子どもたちには数日間入院することだけ伝えて、詳しいことははっきりしてから伝えるつもりでした。

Chapter 3: 腎生検の実際

----- 実際の腎生検は、どのように進められましたか。

堀さん
仕事の都合でしばらくお休みが取りにくかったので、2012年の8月に腎生検を行うことになりました。火曜日に入院して、水曜日に腎生検を行い、金曜日に退院するスケジュールでした。病室を個室にしたので、久しぶりに一人でゆっくりできるのが少し嬉しかったです(笑)。
入院初日は、血液検査と、確か蓄尿検査もしたと思います。2日目の午後に腎生検を行いました。場所は手術室ではなく、処置室でした。ベッドにうつ伏せに寝かされて、腰のあたりに局所麻酔を打たれました。うつ伏せなので見えませんでしたが、背中側から腎臓まで針を刺して、腎臓の組織を採るとのことでした。針を刺している時も、麻酔が効いているので痛みはありませんでした。呼吸をすると腎臓の位置が動いてしまうので、針を刺して組織を採る時は息を止める必要があります。「はい、息を吸って...止めて」と言われて息を止めると、ドンと押されるような感覚と「バチン」という音がしました。痛みはありませんが、かなり大きな音なので少しびっくりする方もいるかもしれません。私はその行程を3回行いました。終わった後、先生が腰のあたりに手を当てて体重をかけて止血してくださったのですが、力が強すぎたのか、冷や汗が出てきて、少し気が遠くなったので、先生に言って緩めてもらうということもありました。
検査が終わったら、ストレッチャー(担架)で病室まで運んでもらいました。点滴や尿道カテーテルは着いていますが、まったく動けないわけではなく、ストレッチャーからベッドへは自分で移動しました。

腎生検

※蓄尿検査:一定期間(通常24時間)の尿をすべて収集して、その成分を分析する検査。

----- その後の入院生活は、どのようなものでしたか。

堀さん
翌朝まで、止血のために腰の下に砂嚢(さのう:砂を入れた袋)を当てて安静にしていなければなりませんでした。痛みはありませんでしたが、じっとしていなければならないことがとにかく辛かったです。事前にネットで調べていたので、少しでも体が楽になるように、自分の体に合ったクッションを持っていきました。個室なのでテレビもありましたし、せっかくの一人の時間なので、見ようと思っていたビデオをたくさん借りて、ビデオデッキと一緒に持っていきました。これから腎生検を受けられる方には、じっとしている時間を過ごすためのグッズを持っていくことをお勧めします。ただ、笑うとやはり針を刺したところ(腰背部)が痛むので、その点は注意した方がいいかもしれません(笑)。
食事は、「腎生検食」というものをいただきました。寝たままなので、手で持って食べられるおにぎりなどが入っていたと思います。

----- 翌日からは動けるようになったのですか。

堀さん
先生方が尿に血が混じっていないことなどを確認すると、起き上がることを許可してくださいました。ただ、立ってみると腰のあたりに痛みを感じました。体の深いところがズーンと重たいような感覚です。その痛みは退院まで続き、しばらくして無くなりましたが、1カ月くらい続く方もいると先生はおっしゃっていました。

注)入院期間や検査の流れ、組織採取の回数などは、患者さんや病院によって異なります。

<出典>
* 湯沢由紀夫 他. 膜性腎症 日腎会誌 2010; 52: 894-898


この記事を見た人が読んでいるのは

私の体験談


関連記事


病院検索 閉じる
トップへ