2015.11.17 透析の基本情報
末期腎不全になった際の治療法「腎代替療法」には、大きく分けて、血液透析、腹膜透析、腎移植の3種類があります。
最も一般的な治療法は血液透析です。基本的に週3回、透析施設に通院して、1回あたり4~5時間程度の透析を受けます。ご自宅にいる間や、透析中は静かに過ごすことができます。
もう1つの透析方法として、腹膜透析があります。腹腔内に溜めた透析液で透析を行う方法で、自宅で透析を行うことができます。体の状態や、透析液の交換がしっかりできているかを確認するために、月1、2回程度、病院に通っていただく必要はありますが、ご自宅で静かにのんびりと過ごす生活を続けやすい治療法の1つです。
腎移植という治療法もあります。ドナーになっていただける方がいることが前提ですが、多くの場合、健常者とほとんど変わらない生活ができます。通院は月1回程度ですので、それまでのライフスタイルを維持しやすく、場合によっては、腎不全の頃よりも活動的な生活を送ることもできます。
例として、腹膜透析患者さんの生活パターンについてご紹介します。
腹腔内に入れた透析液は、数時間おきに交換する必要があります。
日中に手動で透析液を交換する方法をCAPDと言い、通常、1日3、4回透析液を交換します。ご高齢の方であれば、1日2回の交換で十分に透析ができる場合もあります。
また、自動的に透析液を交換する機械を用いて、就寝中のみ透析を行うAPDという方法もあります。
CAPDとAPDは、併用することもできます。
患者さんがご高齢の場合、透析液の交換を自分で行えるか不安に思う方もいらっしゃいますが、交換自体はそれほど難しいものではなく、多くの高齢患者さんが腹膜透析を行っています(*)。また、ご家族の方が透析液の交換をサポートしながら腹膜透析を行っている高齢患者さんも少なくありません。
☞ 透析ライフ「腹膜透析の生活パターン」
(補足)神戸大学大学院腎臓内科・腎血液浄化センター 教授・センター長 西愼一先生
血液透析を受けることを考えたとき、週3回の通院ができるか不安という方もいらっしゃると思いますが、多くの透析施設はお車での送迎を行っています。通院を検討している透析施設があれば、事前に確認してみると良いでしょう。
また、透析施設に通うと、施設のスタッフや他の患者さんなど、人と接する機会が増え、それをメリットと感じている患者さんもいらっしゃいます。
高齢患者さんの中には、末期腎不全の治療(腎移植・透析)は受けたくないという方もいらっしゃいますが、そのような選択肢もあります。治療選択の際には患者さんご自身の意思が最も尊重されますので、さまざまな選択肢を知った上で、よく検討して選んでいただきたいと思います。
☞ 「病院を探そう!」奈良県立医科大学附属病院、神戸大学医学部附属病院のご紹介ページ
<出典>
* 日本透析医学会 統計調査委員会 わが国の慢性透析療法の現況(2016年12月31日現在):30