教えて!ドクター

Q

慢性腎臓病(CKD)は
どのような経過をたどるのですか?

慢性腎臓病(CKD)は
どのような経過をたどるのですか?

回答いただいた先生
帝京大学ちば総合医療センター 第三内科(腎臓内科)
教授 伊藤 孝史 先生
帝京大学ちば総合医療センター 第三内科(腎臓内科)
教授 伊藤 孝史 先生
CKDの経過

掲載日:2023/10/06

A

慢性腎臓病の初期段階では、ほとんど自覚症状がありません。血液検査で腎機能を示す血清クレアチニンやeGFR(イー・ジー・エフ・アール)などの検査値に異常がみられたり、尿検査で蛋白尿血尿がみられたりしますが、多くの場合、体調に異変がなく、尿の見た目も変わりません。

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※eGFRは、血清クレアチニンの値が分かればご自身で計算できます。トップページの「あなたのeGFRは?」をご使用ください。

慢性腎臓病が進行すると、腎機能が徐々に低下していきます。腎機能が正常時の30%(eGFRで30)以下になると、慢性腎不全という状態になります。慢性腎不全になると、その後に腎機能が回復することはなく、さまざまな自覚症状があらわれるようになります。

症状


さらに腎機能の低下が進み、末期腎不全という状態(eGFRで15未満)になると、腎機能を補うために腎代替療法腎移植透析)が必要になります。

腎代替療法


慢性腎臓病の進行の速さは、原因疾患などによって異なります。発症から末期腎不全に至るまで、数年の場合もあれば、数十年の場合もあります(*1)

CKDの経過のイメージ


また、腎機能の低下にともなって、心筋梗塞や脳卒中などの命にかかわる心血管疾患になりやすくなります(*2)

ただし、必ずしもすべての慢性腎臓病患者さんが、慢性腎不全や末期腎不全になるわけではありません。大半の場合は、早期から適切な治療を行うことで、治癒(ちゆ)できる、または悪化を抑えられる可能性が高くなります(*3)
できるだけ早く診断を受けて治療を始め、自覚症状がなくてもきちんと通院し、医師の指導に従ってしっかり治療を続けることが大切です。

☞ 参考:教えて!ドクター「Q. 慢性腎臓病を治療するためには、どのような病院を受診すればいいですか?」「Q. 慢性腎臓病の治療について教えて下さい

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<出典>
*1 矢崎義雄 編. 内科学 第11版. 朝倉書店, 2017:1417-1426
*2 Go As, et al. Chronic kidney disease and the risks of death, cardiovascular events, and hospitalization. N Engl J Med. 2004 Sep 23; 351(13):1296-305
*3 日本腎臓学会 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018:ⅴ


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